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ラグナロク  作者: ピロ
第4章 地下迷宮へ
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地下迷宮へ

眠いっすー。気付くと寝てしまう怠惰な私でございます。

時間が足りないッS。一日36時間欲しい・・・

地下迷宮、その昔ドワーフが地下帝国を築いた際に造ったものだ。

地下帝国が簡単に攻め込まれないように、国と国の間に迷宮を設けたのだが、そこが魔物の巣窟となってしまった。ドワーフは一人一人が屈強ではあるが、暗い迷宮内では魔物の方が圧倒的に有利であり、徐々に数を減らして最終的には滅んでしまう。

魔物の巣窟になってしまっているのと、地下迷宮は複雑なので誰も入りたがる者はいない。

しかし魔物から採れる素材は貴重な物が多く、一攫千金を求めて地下迷宮に入る冒険者達が大勢いた。


ドワーフ達はミストルティアの山脈から地下帝国を築いた。だから本来の入り口はミストルティアにある。

そしてミストルティアのとある冒険者達が迷宮を探索していた時、彼らは大量の魔物達に追われ、逃げている内に迷ってしまった。

ここは大迷宮。迷宮で迷うことは命取りだ。彼らは何日も彷徨い、やがて食料も尽きてしまう。

倒した魔物を食べ、やっとのことで外に出る事が出来たのだが、そこはアルジウスの廃坑だったという。

国を跨ぐほど迷宮は巨大で、その時初めて迷宮がアルジウスと繋がっていることが判明したのだった。


「うひゃっ!!」

ポタポタと落ちる水が小夜の背中に落ちる。あまりの冷たさにビックリして声が出てしまう。

「そんな可愛い声を出しても、魔物は萌えてくれませんよ」

小夜とアイラは少し休憩した後、廃鉱山の中に入った。確かに魔物は多かったが、大妖怪の頃の力を取り戻している小夜の敵では無かった。アイラも薙刀のブレードで魔物を切り裂いているが、二人の脅威になることは無さそうだ。

「何かジメジメしてて気持ち悪いね・・・」

「湿度が90%を超えているので不快指数は上がっています。私にはデータとしてしか分かりませんが、小夜は大変なんでしょう」

「お風呂入りたいよね」

「いえ、私はナノプロテクターを着ていれば問題無いと思います」

そうだった、アイラちゃんは合理主義だから風呂なんか入らなくてもスーツがキレイにしてくれるって言い張るんだった。

「何だよー、アイラちゃんはノリが悪いなぁ。もう少し気楽に行こうよぉ」

「いいえ。私は体重も重いので、比例して心も重いんです」

まだ体重のこと根に持ってるのか。ホントしつこいんだなー。

「ハァ。悪かったってば。アイラちゃんは骨が金属で出来てるから重いだけで、重くは無いし、可愛いし、完璧なアンドロイドだよねー」

「・・・それほどでも無いですけど」

「ううん。アイラちゃんは本当にキレイで可愛くてズルいよ。私は反則だと思うな。いつも嫉妬しちゃうもん」

「・・・・・・まぁ、それほどでも、ありますよ」

あれっ?アイラちゃんの口角が上がってる?

「スタイルもいいしさ、完璧な美しさっていったらアイラちゃんのために存在するって感じだよね」

「そんなこと言われても何も出ませんよ」

もの凄い笑顔だー。分かりやすっ!!

「頭脳も完璧だし、パーフェクトビューティって言葉は、アイラちゃんの為にあるなってずっと思ってたんだ」

「小夜。今日はお風呂に入ってもいいですよ。いちご牛乳もつけますね」

チョロ。超チョロインじゃないか。

アンドロイドなのに、もの凄い笑顔だ。


気分を良くしたアイラは投光器を出した。坑道内が昼間と変わらないくらいに明るくなる。

「おおお。メチャ明るくなった。さすがアイラちゃん。出来るアンドロイドは違うなー」

「ええ。それほどでもありますけど、小夜が思っているより私は更に出来るアンドロイドなので、こんなのもあります」

気分を良くしたアイラはここぞとばかりに色々なアイテムを出してくる。

なんだよ。便利グッズいっぱいあるじゃないか。

最終的には二人よりも前後に浮かんでくれるドローンに投光器やセンサー類を持たせ、立体マップを投影しながら進むことになった。

赤外線センサーがあるから奇襲されることも無くなったし、これなら擬態していたとしても分かるよね。

マップにも生体反応があるが、明るいのが嫌なのか離れていってくれる。戦闘ばかりしていても進まないからね。逃げてくれるなら正直ありがたい。


坑道は金が採掘される方に掘っていったという感じなので、規則性などはない。

何度も行ったり来たりを繰り返している内に地震で崩落したであろう場所へと到着した。

「ここから手掘りで掘った感じではないですね」

崩落した石がそのままにされているから間違いなくここが地下迷宮に続いているのだろう。

「風が流れてる?」

「ドワーフはちゃんと空気の流れも考えて迷宮を創っていたのですね」

空気が流れないことは死に直結する。

国を跨ぐ迷宮を創るだけあって、さすがといったところだ。

迷宮に入ると鉱山とは違った造りになる。空気の流れを作る為に大きめの穴が掘られていて、床は石を削り出したパネルが敷き詰められていた。

「地下迷宮のイメージって、手彫りのトンネルだったから正直驚いたよ」

床だけ手が込んでいるのかと思っていたが、迷宮を進んで行くと広い空間などは彫刻なども施されている。そう考えると途方もない労力が掛けられていることが分かった。

迷宮というだけあって、想像以上にいやらしい造りをしている。直線の通路がずっと続いているように見えているが、実は90度くらい曲がって方向感覚を狂わせるなど、かなり手が込んでいるのだ。

「アイラちゃんの立体マップがあれば、迷う事もないよね」

「座標もあるので方向も間違えることはありません」

向かって行く方向が分かれば、迷ったとしても時短に繋がる。この地図は相当ありがたい。


地下迷宮は全部ドワーフが創ったものでは無かった。山脈を浸透する水が長い年月を掛けて土を流し、岩を削って大空間を作り出している。

中には轟音を立てて流れる地下水脈まで存在して、この山脈の巨大さを物語っていた。

当然のことだが巨大な空間には巨大な魔物が住んでいる。二人から逃げたくても逃げる場所が無ければ、必ず遭遇してしまうのだ。

そして逃げる事の出来ない魔物は必ず襲ってくる。

「アイラちゃん!!」

天井に張り付いていたスライムが、私達が通り過ぎようとした時、不意打ちで襲ってきた。

「大丈夫です」

呼吸を止めて死に至らせようと、スライムは頭にへばりついてアイラの体中を囲む。

しかしアンドロイドのアイラは呼吸をしていない。透き通っている体の中にある核を薙刀ブレードで突くと、アイラの体から流れ落ちるように地面に落ちてくる。アイラを囲んでいるだけの大きさと思ったが、体のほとんどが天上部分にあって一斉にボタボタと落ちてきた。

「うわっ!!こんなにでっかいスライムもいるんだね」

「そうですね。私もこのスライムのデータは持っていません」

二人は知らなかったが、このスライムの名はグラトニースライム。魔法も物理攻撃も効かず、全てを飲み込んでしまう厄災として知られている伝説の存在だった。

そんなグラトニースライムであったが、アンドロイドのアイラの前では形無しであった。


床に流れたスライムの体は、地面に落ちるとジュウジュウと音を立てている。体液が硫酸のような感じなのかもしれない。何も装備していなければ相当ヤバかっただろう。だが、ナノプロテクターを着るアイラには何一つ脅威ではなかった。

「アイラちゃんはさすがだね。カッコイイ!!」

「それほどでもありますよ。この広い空間ならゲルを出せますね。今日はこの辺で野営しましょう」

地下水脈の水でスライムの液体を流したアイラは、少し離れた場所でハイテクのゲルを出してくれた。

アイラちゃんは褒められる嬉しいんだね。冷凍物の食品だけど、ハンバーグを出してくれたり今までの塩対応とは違って至れり尽くせりだぜ。

薪をくべて沸かす簡素なお風呂だけど、コレはコレであったまって気持ちがいいんだよねー。

幸せじゃー。



いちご牛乳を飲みながら幸せを噛みしめる小夜であった。



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