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ラグナロク  作者: ピロ
第3章 商会 前編
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商会を立ち上げる 6

なかなかカゼが抜けなくて困ってます・・・

こんなに長引くのは初めてです。

辛ひー


「色々言いたいこともあるだろうけど、まずはやる事をやってからにしよう」

バレてしまったから、遠慮は無しだ。

さすがに機械類を出して音を出すのはマズいから止めたが、作業用の服を全員分出して、軍手や雑巾、モップなども渡した。

「あんちゃん、この服伸びるぞ。動きやすくてすげぇな」

「だろ?」

ジャージはこういう時最強だ。

ルシェリやエスターはジャージのジッパーがどうやって重なっているのか確かめる為に、何度も上げ下げをしている。

考えても理解出来ないと悟ったのか、最初の目的の掃除と草むしりを再開する。


庭は表に面している場所は花壇になっている。今は雑草の温床になっているが、赤いゼラニウムのようなコントラストの強い花を植えると見栄えがいいだろう。

建物の裏に回ると中庭があり、俺が来た施設はここから下る通路を作れば、表を通らなくても行くことが出来る。

この建物は大きいから、他の建物からは施設に面している建物が存在しない。

ラッキーだな。

ユキとネルに草むしりを頼む。

俺はタブレットを開いて、大きなコンクリートブロックが買えるか試してみる。

思った通り買うことが出来た。崩れることがないように大規模の土台工事で使われる大きいブロックを購入して並べてみる。

「これなら及第点だろ」

多少階段の高さがあるものの、階段としては充分機能している。

「すげぇなあんちゃん」

草むしりを終わらせたユキとネルが、俺が用意した階段を見て驚いている。


「よし。今度は中の掃除を手伝うぞ」

「あいよ~」

屋敷の掃除を手伝う為、集めた草を次元収納にしまう。


「このモップという掃除道具、凄くいいです!!」

勝手口から屋内に入るとルシェリが俺を見つけるなり、感動して俺に詰め寄ってくる。

「そっか。それは良かった」

「コレも凄く使いやすいです」

エスターも目を輝かせて詰め寄ってくる。

雑巾が?って思ったけど、この世界にタオル地なんて存在していないんだった。

「俺達も手伝うよ。まだやっていない所はあるかな?」

「はい。2階はミレーヌが一人で掃除しているので、手伝ってあげて下さい」

2階に上がると、ミレーヌがせっせと掃除をしている。

「ゴシュジンサマ、ゴメンナサイ。ソウジ、マダ、オワッテナイ」

「謝らなくていいよ。こっちは部屋が多いからね。俺達も手伝うから」

それにしても1階に比べると埃っぽくない。内覧に来た時はもっと埃っぽかったよな。

「2階は埃が全然ないけど、ミレーヌが掃除したの?」

「ハイ。カゼノセイレイに、タノンデ、ソトニ、ホコリを、トバシテモライマシタ」

「それは凄いな」

魔法という物を実際にまだ見たことがないから、見てみたかったな。

「今度使う時があったら見てみたいな」

「ワカリマシタ。ミテ、クダサイ」

ミレーヌは俺の聞いたことのない言葉を口にしている。

手を前にかざすと風の渦が起きて、手の平に乗るようなサイズの、半透明の女性が現れる。

「おおっ・・・」

初めてみる魔法に感動する。精霊だから思っている魔法とは違うけど、それでも超常現象なのは間違いない。

ミレーヌに向いて話し掛けているが、俺には何を言ってるのか分からない。

ミレーヌは精霊に何か話しかけると、精霊は頷いて部屋の中に風の渦が出来る。

ゆったりとした、優しい風。それが徐々に強くなって行くと、部屋の中の壁が振動を起こす。

これ以上強くなったら大丈夫か?

そう俺は心配すると、その風は窓の外に逃げて行く。

「コウヤッテ、ヘヤノホコリ、ダシマシタ」

ハッキリ言って感動した。

子供の頃のような純粋な気持ちで見る事が出来るなんて思いもしなかった。

「ミレーヌ、ありがとう」

ミレーヌの頭を撫でると、嬉しそうだ。

ハーフエルフだから普通の人より背は低くて、顔も堀が深くないから子供のように見える。

でもミレーヌは俺より年上なんだよな。

「ドウイタシマシテ。ゴシュジンサマガ、ウレシソウデ、ヨカッタデス」

身長差があるからか、上目遣いになるのが可愛らしい。


この屋敷は2階だけで10部屋もある。元々は前の領主の配下の家だったそうだ。

大きさを考えると、使用人もそれなりにいたのだろう。

貴族の部屋だけあって、それぞれの大きさがかなり広い。掃除だけでも数人で行わなければ大変なはずだ。

結局、1階部分には客を迎える為のロビーがあり、パーティが出来るホール。ゲスト用の部屋が3つ、炊事場、食堂、執事やメイド長などの地位の高い使用人の部屋。貴族の家族用の住居が2階部分になっていて、屋根裏には使用人の為の部屋が6つあった。使用人の部屋に行くには、炊事場から屋根裏まで続く螺旋階段を使用しないと行けないようになっている。2階部分にも扉は設置されているが、あくまで緊急用の扉で基本的に顔を合わさないように動線が造られている。


屋敷が大きくて管理が大変ではあるが、やり易い部分もある。

商会を作るにしても狭ければ色々と考えなければならないことが多くなる。だがここに関しては何の問題も無い。ロビーを受付にして、パーティ用のホールに商品を置けばいい。

俺は貴族や富豪の欲しがる装飾品や日用品を置けばいいだけだ。巨大な倉庫も必要ない。

あっちの商品を買ってこっちで売れば、かなり高額で売れるのは間違いないからね。

資金も潤沢だし、悪目立ちしない程度に組織を運営していけばいいだろう。

あとは敵対勢力を作らないことかな。これはかなり重要なことだ。

大規模の組織にすれば早々に手出しは出来なくなるだろうけど、だからといって目立つ訳には行かない。


「大体終わったな。思った以上に広くて大変だったけど、皆が頑張ってくれたからキレイになったよ。ありがとう」

手当したマークと目があまり見えないフェリシアは置いといて、皆をロビーに集め感謝の言葉を伝える。

「これから俺はここに商会を立ち上げる予定でいるけど、しばらくは何もない。だから細かい掃除はこれからやって欲しい。それから皆にはここに住んでもらう。だから部屋は自分が好きな所を選んでよ」

「はい。私はご主人様の部屋で一緒に寝たいです」

「ずるい。私も一緒の部屋がいいです」

「あんちゃんはオイラと一緒に寝るんだ」

また始まった。こうなることは何となく察していたけどね。

「部屋はいっぱいあるんだから、一人一部屋ね。ここがいいって部屋を決めてくれ。その後で俺は自分の部屋を選ぶから」

そうじゃないと誰が俺の隣の部屋にするか、言い合いになるだろうからね。

だがコレには反発があった。

「ご主人様が一番いい部屋を取るのは当たり前です」

2階の一番奥にある部屋は一番豪華な部屋になっている。おそらく当主の寝室になるのだろう。俺はそんなに大きな部屋なんていらないんだよな・・・

ただでさえデカい石を使った造りで寒々しいってのに、部屋がデカいってことは、冬は更に寒いってことだろ?

俺は反論したが、コレだけは通らなかった。

確かに俺が一番でないと、組織として示しが付かない。俺は渋々その部屋にする。

ただ驚いたことに、俺達の人間関係にあるヒエラルキーの順番で、部屋の位置が決まると思っていた。

しかし皆の選んだのは屋根裏にある使用人用の部屋だ。

「これからまだ人が増えると思いますし、貴族のお客様が大勢いらっしゃって2階に泊まることもあるかもしれません。その時に同じフロアで使用人が部屋を使っていると知ったら、お客様はいい気分はしないでしょう。だから私達は使用人用の部屋を使わせてもらえれば問題はありません」

「オイラもあんちゃんと一緒じゃないなら、屋根裏部屋の方が落ち着くぞ」

ユキの言葉に獣人達は頷く。

結局ユキとネルとミレーヌの3人。ルシェリとエスター、マークとフェリシアの二人づつで部屋を使用することになった。

俺一人で二階のフロアに寝るのも寂しいけど、誰も二階の部屋を使うと言い出さなかった。


この世界の常識として、越えちゃいけない何かがあるのかもしれないな。

俺は男性が上とか、女性が上とか考えたことは無いが、この世界ではやはり男性の地位が女性より高い。力が全てとは言わないけど、最終的には力が全てだ。

男性だけにこだわるのはどうかと思うが、リーダーシップを取ることが出来る人材を探さないと駄目なような気がする。

エスターやルシェリは商人ギルドにいたけど、リーダーとしては正直心許ない。俺がいなくても回せる存在が必要だ。

これからも基本的に奴隷を購入して仲間にして行こうと思う。

奴隷には主人が不利になることが出来なくなるように、ギアスの魔法が掛けられている。

俺としてはその方が、都合がいい。内部の情報を流されたらそれこそアウトだからだ。

俺には内密にしなければならないことが多すぎるからな。

秘密がバレたら俺はどこかの貴族に捕らえられて、ずっと利用されるに違いない。

逃げる事は可能だと思うけど、表に出て行動する事は出来なくなるだろう。


ユキやネル、マークにフェリシアは獣人で奴隷では無いが、彼らは俺がちゃんと接していれば裏切ることはないと思う。


それと俺の事も話さないと。

さて、どうやって説明するかな・・・



毎日投稿してたので、更新ペースを落とすのは変な感じですけど、このくらいのペースじゃないと今の生活ベースでは更新が間に合わなくなりそうです・・・

これからも宜しくお願いします~♪

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