奴隷を求めて 3
大人の女性達と会話をしていると、後ろから痛い視線を感じる。
「ユキ。いつまでムクれてるんだ?」
ご機嫌斜めなお姫様を抱きかかえると、ユキの口がへの字口になっていた。
ユキは小さい頃の小夜によく似てる。だからかは分からないが、ほっておくことが出来ないんだよな。それとも高校に入って小夜がいなくなってしまった寂しさを、ユキで紛らわせているのか?
ユキには何だか懐かしさを感じる。初めてみた時からそう感じていた。どこかで会ったような気がする。でもどこで会ったのかは分からない。
“ やっと会えたね。 ”
「ああ。やっと会えたな」
「??あんちゃん?いきなりどうしたんだ?」
ユキが俺を不思議そうな顔で見ている。
「ユキがやっと会えたって言っただろ?」
「んっ??そんなことオイラ言ってないぞ」
俺の顔を掴んで俺の顔を覗き込む。
近いっ。ユキ、近すぎるから・・・
「グッ!!!!!!!!」
突然俺の体に電撃が走ったかのように筋肉が収縮した。目の前が一瞬真っ白になって力が入らなくなる。そのまま倒れそうになるが、何とか踏ん張ることが出来た。
「あんちゃんっ!!」
「ああ。大丈夫だ。怖い思いさせて悪かったな、ユキ」
「オイラよりあんちゃんの方が心配だよ。大丈夫?どこか痛いのか?」
「どこも痛くないよ。もう大丈夫だから。心配してくれてありがとな」
ユキが抱き着いてくる。心配してくれるのは嬉しいな。ユキの頭を撫でる。毎日トリートメントをしているからサラサラだ。
「その子の言う通りだよ。アンタ本当に大丈夫かい?」
女将も心配して店の奥から椅子を持って来てくれた。
「ありがとう。ここに来てまだ慣れて無いから、多分疲れているんだと思う」
「まぁ無理はしなさんなよ」
そういうと女将は俺の背中をバンバンと叩く。
コッチの方がダメージがデカそうだ。
採寸が終わってお金を支払うと、元ギルド員の二人が値段に驚いていた。
アリューシャが元同僚二人に何やら耳打ちしている。すると驚いたように目が大きく開かれた。おそらくネックレスの話でもしたのかもしれない。もしお金の事を聞いたとしたなら他言無用にしてもらわないとな。
「今から歓迎会として食事をしようと思う。そこでみんなの事教えてくれるかな?」
「「はい。分かりました」」
「リョウカイ、デス。マスター」
仲間が一気に増えたな。でもこれじゃあまだ少ない。もっと信頼出来る仲間を増やさないとな。




