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ラグナロク  作者: ピロ
第一章 次元を超えて
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プロローグ 日常2

三度目の投稿になります。物語を書く難しさが身に染みてます。

小夜を誘ったカフェは、古民家風のレトロな外観だ。

中に入るとジャズが流れ、木材をふんだんに使った内装が落ち着いた雰囲気を醸し出している。

レトロチックな照明が暖か味を出していて、冬目の浮いたテーブルの板が店の雰囲気にあっていた。

「ここのスタマ、いい感じだね」

スターマックスカフェは全国に展開するチェーン店だ。

注文を済ませ、コーヒーだけ受け取って席に座る。


「今日はいいのが買えたよ~」

「いい感じの店だったな。男物もあれば俺も買いたい物がいくつかあったよ」

「でしょ。初めて見た時から一目惚れだったんだ~」

エスプレッソラテにアーモンドミルクエクストラチョコチップ&エクストラホイップクリームを追加したラテを飲み、幸せそうな小夜。

「それにしても、よくこんな呪文みたいなオーダーがスラスラと言えるよな」

「基本の商品と大きさにトッピングを言ってくだけだからね。慣れだよ慣れ」

そういいながら美味しそうに飲んでいる。

苦い物に甘いものをトッピングしまくって飲むとかどうなの?とか思いつつ、俺は本日のコーヒーを飲む。

でも、これで小夜の不安が取れるなら安いもんだ。


明日行う手術は、クローン技術で培養したもう一つの小夜の体から足を移植する。

人間のクローニングは本来禁止されている。この手術は禁忌とされている行為なのだ。

だからラボからは、この事は誰にも話してはいけないと制約されている。


このプロジェクトにはとんでもない資金が掛かっているはずだ。

資産家の家に生まれたとはいえ、自分達でこの資金を調達するなどということは不可能である。小夜にも色々協力をしてもらうのが条件ではあるが“ 他言しない ”

ただそれだけ足が元に戻るなんて有難いことだ。


「お待たせしました、ボンゴレビアンコにカルボナーラです」

パスタと共に冷えたレモン水の入ったグラスも持って来てくれる。

「美味しそう~」

「食べたかったら俺のも食っていいぞ」

「やった。ひと口いただきま~す」

パクパクと幸せそうに食べる小夜を見ると癒される。この笑顔が無くならないように手術の成功を祈るばかりだ。

「パスタの茹で加減が最高だね。ちゃんとパスタも塩気が効いてて美味しいよ」

「カルボナーラも美味しそうだな」

「うん、前に食べたことあるんだけど、美味しくてここにくるとカルボナーラばっかり頼んじゃうんだよね。お兄ちゃんも食べる?」

「うん、いただくよ」

スプーンの上に平麵のタリアテッレを乗せ、フォークでクルクルと巻いていく。

カルボナーラだけど、スープスパに近いから巻きやすいな。

そしてクリームがよく絡んで食べやすい。

「おっ。美味いなコレ」

小夜がこれしか頼まなくなるほどコレは絶品だ。

小夜に返すと待っていました、とばかりに大口を開けてパクついている。口の端にクリームをつけているのを見ると、まだまだ子供っぽさが抜けていない。

「お兄ちゃん、早く食べないと冷めて美味しくなくなっちゃうよ」

「言われなくても食べるよ」

小夜の口に付いたクリームを拭く。

「なんだよぅ。子供扱いしないでよね」

そう言いながらも何だか嬉しそうだ。

小夜はきっと俺に迷惑掛けたくないとか考えているのかもしれないが、俺は小夜の面倒を見ているのが好きだ。

高校に入るまでは、風呂に一緒に入っていたし、小夜の体も俺が洗っていた。

その位俺は小夜に対して過保護な兄貴だ。

微笑ましく小夜の食べる姿を見ながら食べていると、店員がやってくる。

「お客様、間もなくラストオーダーとなります」

「えっ?もうそんな時間?」

小夜との会話を楽しんでいると、店員がやってきて閉店の時間を告げていく。

「時間が経つのが早いよね」

オンラインゲームで毎日のように会話しながらゲームをしているが、直接会って話すと会話も弾んで時間が経つのが早い。

「そうだな、明日は早いしもう帰ろうか」


実家は京都にあるので、こっちにくる時は小夜の住むマンションに泊まっている。もちろん研究所が用意してくれた部屋なのだが、3LDKで共用施設にジムやプール、大浴場などがある高級マンションだ。

研究所の敷地内にあるので、住んでいる人は関係者なのだろう。

「ただいま~って、誰もいないんだけどね・・・」

部屋の照明を付けて、お風呂を沸かす。

「お兄ちゃん、その辺に座ってて」

俺は勧められるようにソファーに座った。

小夜はお湯を沸かし、お茶の準備をしている。

段取り良く用事を済ませる妹を見つめていると、嬉しさ半分寂しさ半分といった気分だ。

「はい、どうぞ」

スリッパをパタパタさせながら紅茶とお茶請けにクッキーを持ってくる。

「ありがとう」

そう言いながらひと口摘まんでみる。

「私が作ったクッキーだけどどう?美味しい?」

紅茶の茶葉を混ぜこんだ香りの強いクッキー。少し違和感があるが十分美味しいレベルである。小夜がコレを作ったって考えると兄として喜ばしい。今までの小夜のことを考えると、涙が出てしまいそうだ。

「うん、美味しいよ」

「ホント?まだまだあるからどんどん食べてね」

「そんな嬉しそうな顔されたら、食べないなんて言えないだろ?」

「じゃあいっぱい食べてね」

満面の笑顔で言われたら食べない訳にはいかないよな。妹が作ったものを食べない兄貴が、世の中にいるだろうか?いや、いないはずだ。あまり夜は食べないようにしているが、こういう日があってもいいだろう。

「ご馳走様。美味しかったよ」

「うん、もうすぐお風呂沸くと思うからお風呂に入って。着替えも置いてあるから」

小夜に着替えの支度をしてもらう日がくるとは・・・

「先に入っちゃっていいのか?」

「今日のお兄ちゃんはお客さんだからね、いいに決まってるじゃん」

「分かった。入らせてもらうよ」


風呂の天井を見つめながら俺は考えていた。

明日は手術か、絶対成功してほしいよな。小夜に不安はないのかな?今日はずっと笑顔でいたけれど、本当は不安の裏返しなのかもしれない。

小夜が手術を終えた後、しばらく歩くことも出来ないだろう。色々不自由するだろうから、足が定着するまでは側にいるつもりでいる。夏休みを挟むけど、日数的には足りないと思う。まぁ担任にはそれと無く伝えてあるから大丈夫だ。

そんなことを考えていると、目の前がクラっとする。

少しのぼせたか?色々考えて長風呂してしまったかもしれない。


「ありがとう、いいお湯だったよ」

小夜の用意してくれたバスローブに俺は着替えると、リビングにいる小夜に声を掛ける。

「少しのぼせたみたいだから、悪いけど横になりたいな」

「えっ?本当?私に気を使わなくていいから、そのまま寝ちゃいなよ」

俺はゲストルームに案内される。こっちに来た時にいつも泊まらせてもらう部屋だ。

「分かった。そうさせてもらうよ。明日は手術なんだから、早く寝るんだぞ」

「もー。お兄ちゃんは相変わらず心配性だなぁ。私もお風呂入ったらすぐ寝るから大丈夫

だって」

そうだよな。ずっと待ち望んでいたしな。

「おやすみ」

「うん。おやすみ」

小夜が部屋を出ると強烈に睡魔が襲う。

やばいな、俺自身が気を張り詰めすぎていたのか?小夜を勇気付けるために来たってのに、眠気に勝てないなんてな。

でも頭がクラクラして起き上がることすら出来ない。



そして、俺は知らぬ間に眠りについていた。




何度も見直しているのですが、誤字、脱字が多いです・・・

気を付けてはいるのですが、不快に思われたらゴメンナサイです。

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