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ラグナロク  作者: ピロ
第3章 商会 前編
29/44

奴隷を求めて 1

目標にしていた1カ月毎日更新は何とか出来そう♪

書置きもそんなに残っていないので、さすがに毎日更新は出来そうに無いっS。(´ー`)y─┛~~

なので3日に一度の更新率に落とすつもりでいます。

さてと。今日は仲間を増やす為に奴隷商に行く。

奴隷商は街の外れの一角にて定期的に行われている。

奴隷は売れ残ると最終的には鉱山の作業者として売るしかない。売れ残りを安く買い叩かれるなら、値段を下げてでも普通に売った方がいいのだそうだ。

だから鉱山のあるこの街は、奴隷商にとっても奴隷にとっても、最後の砦といっても過言ではない。何故なら鉱山送りになる奴隷は普通の鉱山夫と違い、危険な所に奴隷が行かされる。食料も休憩も最低限、使い捨てといってもいい扱いだ。

奴隷達も過酷な環境になることは知っているし、生きて借金を返すことの出来る奴隷はほとんどいない。

だからこの街にくる奴隷達は必死でアピールをするのだそうだ。

だが売れ残るのは、売れ残る理由があるとのこと。稀にお買い得な奴隷がいるから、それを狙うのだと受付嬢のアリューシャが教えてくれた。

ちなみにここでの相場は一人金貨50枚~100枚の間とのこと。

それ以下の金額で売られている奴隷は病気を持っているとか、体に欠損があるとか、高齢者などだそうだ。


この街に奴隷商が無いわけではないが、鉱山のある街には各地を回る奴隷商の行商人が多く訪れる。

理由は不要の奴隷の在庫処分。

奴隷市が定期的に行われるようになって、高額で取引される奴隷がお買い得で買う事が出来る。

ということもあって、割と賑わっているのだそうだ。

「さっ、レンさん。早く行かないと、いい奴隷は売れてしまいますよ」

アルバート辺境伯の屋敷から帰る時、馬車の中で受付嬢のアリューシャが、奴隷市場に付き合ってくれると提案してくれた。それを聞いたベルクさんが、仕事の一環として俺に付いて行くように言ってくれたので、ギルド公認で奴隷を買いに行くことが出来るのだ。

「今日は宜しく頼むよ」

アリューシャは商人ギルドの倉庫の人員を確保する為に、何度か訪れているらしい。

値段的な交渉もしてくれるとのこと。何もかも分からない俺としては本当にありがたいね。

抑えるべき所に投資することは大事なことだ。

「あんちゃん。オイラのこと奴隷として売ったりしないよね?」

「そんな訳ないだろ」

ふざけたことを言ったのでユキの頭にチョップする。

「あいたっ」

ここに来る途中、奴隷商の男にユキを売らないかと持ち掛けられた。

当然ながら俺は断ったが、それを聞いたユキは不安になったみたいだな。


奴隷商や護衛の冒険者達はあまり品の良さそうな感じの連中はいない。ユキが不安がるのも仕方ない。

下手をすると、ユキが誘拐されて奴隷にされる可能性は充分ある。獣人がどれだけ叫ぼうと、この街で助けてくれる人はいない。見て見ぬ振りをされる可能性の方が高い。

「これなら不安にならないか?」

俺はユキを抱きかかえる。これならいきなり連れ去られることはないだろう。

「うんっ」

会場に着くと奴隷商ごとにブースがあって、奴隷達は檻に入れられて販売されている。

「レンさんの欲しい奴隷は家の管理人、食事を作る人、帳簿管理が出来る人、戦う事が出来る人が3~4人で良かったでしょうか?」

「そうだね。必要に応じて増やすのは構わない。とりあえず聞いてみないとだね」

アリューシャに言われているのは、恐らく管理が出来る人は、売れてここにはいないと思われること。それから一度で揃えられると思わない方がいいとのこと。

何度か時間を掛けて探さなければ、いい人材を揃えることが出来ないのだそうだ。

「兄ちゃん。どんな奴隷を探してるんだ?ウチの奴隷達を見ていきなよ」

声を掛けて来た男は、いやらしい顔つきをしていて、如何にも女好きといった感じだ。

扱う奴隷にも自分の趣味が繁栄されているのか、女の奴隷が5人、男の奴隷が1人だ。

俺は希望を伝えると、飯なんてものは女なら誰でも作れるだろと適当な答えが返ってくる。

「ここは奴隷を売りたくてしょうがない場所です。多少の誇張は絶対にしてくるので、必ず話をして確かめないといけません」

アリューシャは何度もこの手の売り主を相手にしてきたからか、必ず奴隷と会話した方がいいとのことだ。

日本で生まれ、のほほんとした環境で育った俺なんかじゃ、駆け引きとか太刀打ち出来ないだろう。

そう思った俺はアリューシャに全てを任せることにした。

「ここには家事が出来るのが2人です。それも特に秀でたという感じじゃないですね」

「男の方はどうなんだ?」

「彼は恐らく元冒険者です。でも足が悪いように見えますね」

確かに左足を庇っているような感じを受ける。冒険者が怪我をしてから収入が無くなって、借金のかたに奴隷落ちなんて、よく有りそうな話じゃないか。

「家事が出来るのは他にもいます。だから他も回って見てから決めましょう」

次は男ばかりを扱う奴隷商だ。

「ここは戦闘の出来る人材がいそうじゃない?」

ここには体格のいい男が5人ほど並んでいる。どの奴隷も屈強そうで、戦士としては問題なさそうな気がする。

「レンさん。確かに見た感じは屈強そうです。でも犯罪者が奴隷落ちになった場合、そうそう売れることはありません。魔法によるギアスはありますが、条件によっては主人への攻撃が出来ない訳ではないからです」

「攻撃が可能なのか?」

「はい。意識していなければ、可能なんです・・・」

マジかよ・・・だけど犯罪者だったかどうかの見分けが分かるのか?

アリューシャは犯罪奴隷は背中に犯罪者の烙印を押されていると耳打ちしてくる。

「背中を見せてくれないか?」

すると案の定烙印が押されている。アリューシャに付いてきてもらって本当に助かった。

知らなければ、ここで3人ほど買っていたかもしれない。

他にも何件か見て回ったが、同じような感じの奴隷ばかりだ。

「ハァ。ここも駄目ですね」

アリューシャも段々と疲れてきたようだ。少し休憩を取ろうと提案しようとした時、アリューシャが近くにあった奴隷商の所に向かって行く

「どうしたのかな?」

今までと違って足早に向かって行くので、アリューシャの後に遅れないように付いて行くと、奴隷商に話掛けずに奴隷がいる檻に直接向かっていった。

「何であなた達がこんな所にいるの?」

アリューシャが話しかけている女奴隷は、他の奴隷達と比べても汚い恰好をしていた。ボロボロになった汚れた木綿のシャツ。破れた隙間からは乳房が露わになっている。目はうつろでどこか諦めた顔をしていたが、アリューシャの顔を見て、瞳に命が吹き込まれていく。

「アリューシャ?アリューシャなの?私達何もしてない。それなのに、捕まって・・・」

知り合いにあったからか、二人は泣き崩れる。

「アリューシャ。知り合いか?」

「はい。私の知り合いです。二人共前まで商人ギルドの受付をしていました」

怒りに震えるアリューシャは奴隷商の店主に向く。

「店主。この二人はなんで奴隷になっているのですか?」

「俺は知り合いから譲り受けたんだ。事情なんか知らねぇよ」

「アリューシャ。落ち着いて。まず二人から事情を聞こう」

「そうですね。すみません、取り乱しました・・・」

俺達は彼女達にことの経緯を聞くことにした。

一軒の家を二人で借りていたのだが、そこへミレニア教の魔女狩りにあって捉えられたそうだ。ミレニア教徒に何カ月も地下牢のような所に閉じ込められていて、先日再び移動させられることになる。

馬車で何日も移動していた時、突然二人の女性が襲撃をかけてきた。彼女達は見たこともない光る剣で次々とミレニア教の連中を倒していって、魔女狩りにあった女性の手枷と足枷を外していってくれたのだそうだ。

光る剣?魔法の剣?もしくはレーザーブレードとかフォトンソードとかいうやつか?

「彼女達の名前は聞いたか?」

「名前は教えてくれませんでした」

「どんな感じの女性だった?」

「はい。全身をマントで覆っていて、ストールで顔も見せないようにしていました」

小夜の可能性が出て来たな。だけど、小夜にそんな戦闘能力あるのだろうか?

「それで、何で奴隷になったのよ?」

「逃げている時に奴隷狩りにあったの・・・そしてこの奴隷商に売られたわ」

ハァとため息を付くアリューシャ。

「それで店主。彼女達はいくらで売ってくれるの?」

奴隷商の店主の口元が少し笑みを浮かべる。

「一人白金貨10枚だね」

「ふざけないでっ!!ここの奴隷の相場は知ってるでしょ?なんで白金貨10枚なのよ」

「へへへ。お客さん、ギルドの受付をしていた女性ですよ。教養のある女性は高く売れるんでさぁ。この後都に行くんで、あっしはそこで売ったっていいんですけどね」

明らかに足元を見ている。

これはアリューシャの失態だ。この奴隷商はもっぱら安く二人を手に入れたに違いない。だからこんな汚い恰好のままで、体も臭いままでいさせたのだ。だが、アリューシャがギルドの職員だったと、奴隷商の耳に入れてしまった。

アリューシャは昨日俺が渡したお金で二人を買うつもりだったのだろう。しかし、自分の失態でチャンスを無くしてしまったのだ。

悔しくてアリューシャの手が震えている。

「アンタさぁ。これからも商売をしたいんだろ?」

「何だよ。兄ちゃん、脅してくるのかよ」

いかにもな男たちが得物を持ち立ち上がる。


「彼女は商人ギルドの人だ。ここの領主様と面識があるくらいには偉い立場でもある。これからもココで商売をしたいなら、少し譲歩をしてくれないか?」

「一人白金貨10枚だ。コレは譲らねぇ」

「二人で15枚。俺が持ってる全額だ。ここで欲張って店を開けなくなるよりはいいんじゃないか?」

「・・・17枚だ」

「俺は15枚しかないと言ったぞ。俺が彼女に白金貨15枚を貸して、冒険者ギルドに二人を取り戻してくれって彼女が依頼したとする。受ける冒険者はいないだろか?」

「それこそアンタが犯罪者になるぞ」

「二人は正式な手続きで奴隷になったのか?さっき俺の耳には奴隷狩りって聞こえたぞ。アンタこそバレたらヤバいんじゃないのか?」

「・・・分かった。15枚でいい。本当に払えるんだろうな?」

譲歩してきたということは、さすがに奴隷商の男もヤバいと思ったらしい。

「嘘じゃないさ」

そういってバッグから白金貨を15枚渡す。

信用出来ないのか、念入りに本物かどうかを確認する。だが本物だと分かると笑顔になった。

やっぱり大した値段で仕入れていなかったんだろうな。かなりの儲けになったはずだ。

「レンさん。ありがとうございます」

「まぁ気にしないでよ。アリューシャには感謝してるからね。それにこれからは俺の元で二人には働いてもらうんだから、丁度いい人材を確保出来て良かったよ」

「はい。掘り出し物ですからね」

アリューシャは少し涙ぐんでいた。きっと二人とは仲が良かったんだろうな。俺も助けられて良かった。

奴隷商が奴隷の譲渡の魔法を二人に掛ける。

「コレで二人は兄ちゃんのもんだ。夜伽も契約に入ってるからな。楽しんでくれよ」

店主はいやらしい笑みを浮かべる。この男にピッタリの笑顔だ。

「これから宜しくお願いします。助けて頂いてありがとうございます。私の名はルシェリと申します。ご主人様の為に一生懸命奉仕するので可愛がってください」

「私はエスターと申します。ご主人様に昼も夜も一生懸命奉仕致しますので、どうぞ宜しくお願いします」

二人の言葉にアリューシャの動きが止まる。

「とりあえず二人共何か羽織るものが必要だね」

俺はコートとシャツを脱いで二人に着るよう促す。

「こんな上等なお召し物を汚す訳には行きません。どうかお気になさらずに・・・」

「いいから着るんだ。これは命令だからね」

「「はい」」

自分達の胸がはだけていることが恥ずかしくなったのか、二人は隠すようにコートとシャツを羽織った。

二人に俺の事情を話すと、家の管理から食事まで二人でやれば出来るそうだ。ちょっと不機嫌になったアリューシャだったが、二人が無事だったことが嬉しかったようだ。



優秀な人材を早速二人確保出来たのは大きい。高くても優秀で信頼出来る人を確保するのは難しいからな。俺は幸先のいいスタートに手応えを感じていた。




奴隷商とかここでは簡単に書いていますが、本来、人身売買なんて最低な商売です。

日本だって奴隷商なんて言葉は無かったですけど、実質売られたなんてことはいくらでもありました。

誰かが儲かれば、誰かが損をします。儲けがデカければデカいほど、損する人は損をしているのですが、最近はその傾向が強くなってきました。高所得の人の税金を優遇したために、所得の低い人は苦しいだけの状況です。もう少しマトモな生活が出来るようになってほしいものです。


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