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ラグナロク  作者: ピロ
第2章 異世界
13/43

売春宿 大鷲の羽亭

3連休いかがでしたか?日曜日しか休みの無い私はボロボロです・・・


店を出たついでにユキに街を案内してもらう。

エクリプスの世界だと、この街はアルタリウムだった。しかしこの街の名前はナーセルという名前だ。カルヴァン王国の辺境に位置し、アルジウス王国との国境付近に存在する。

街は山に囲まれていて、南にしか街の出口は無い。

「こんな辺境でこんなに栄えているのか・・・」

「うん。この街の北側に鉱山があるんだ。銀がいっぱい出るから、この街は栄えてるんだって」

随分と広い街だ。一日ではとてもじゃないが、回り切ることは出来なかった。

俺が来た施設に戻ろうかと思ったが、何があるか分からない。

何件か見て、キレイそうだった大鷲の羽亭に泊まる事にする。

「俺とこの子の二人だ。ベッドが二つ空いてる部屋はあるかな?」

「空いてるのはベッド一つの部屋だけだよ。ベッドは大きいからそれじゃあダメなのかい?」

入ってから気付いたが、ここは売春宿だ。

気に入った店員の女の子にお金を払って、そのまま一晩を過ごす宿でもあるから、当然ベッドは一つしかない。

「オイラは床で寝るからいいよ」

ユキは今まで過酷な環境にいたから、常に相手の顔を伺っていた。

「子供が気を遣うんじゃない」

大銅貨5枚を支払って部屋に荷物を置く。

「うわっ・・・」

部屋の中は男と女の事後の匂いが部屋に染みついている。

ユキはクンクンと匂いを嗅いでいた。何の匂いか分かっていないだろうかと思っていたら

「交尾した後の匂いがする」

って言っていた。

窓を開けて換気をしてから、一階の食堂兼酒場に降りる。

日が落ちて店内には傭兵や冒険者、鉱山夫などの男達が大勢いた。

この街には娼館も多いが、こういった店も多くあるようだ。

ユキは怖いのか、俺の腕を手に取って後ろに隠れている。

「怖がらなくても大丈夫だ。俺がいるだろ?」

「う、うん」

獣人は差別の対象だからか、他人というのは怖いらしい。

空いてる席に座ると女性がオーダーを取りにくる。

「ねぇ。お兄さんカッコイイよね。私と一晩どう?」

女性は胸元の開いた服装で、明らかに男を誘う格好をしている。

「いや、間に合ってる」

「へぇ~。その子がお気に入りなの?その子も入れて3人で楽しむってのはどう?」

「悪いけど、夕飯だけでいい。あと果実を絞った飲み物を二人分貰えるかな」

「ちぇっ。お兄さんカッコイイから、いっぱいサービスしてあげようと思ったのにぃ」

特にメニューを聞かずに去って行ってしまった。

メニューは置いて無いから、その日ごとに決められているのだろう。

しばらくすると飲み物が運ばれてくる。柑橘系を絞った飲み物で、酸味が効いてて美味い。

ユキも美味しそうに飲んでる。

「あんちゃん。コレ美味しいな。オイラこんな美味い飲み物初めてだ」

昼の肉にはガッカリしたが、これは日本でも美味しい飲み物の部類に入る。

普通の酒場ならここで情報を集めたりするのだろうが、この店は一晩の相手を求めてくる店だ。

飲んでいる連中に話し掛ければ、嫌そうな顔をされるだけだろう。

ユキと話をしていると煮込まれたスープにパン、サラダの乗ったプレートが運ばれてきた。

スープは肉も野菜もクタクタになるまで煮込まれていて、臭みも無くて美味い。

ユキは夢中になって口に頬張っている。

「誰も取ったりしないからゆっくり食べなよ」

「うん。分かった」

ユキは素直な所が可愛い。


何だか疲れたな。そういえばこの体は本当の俺の体じゃなかった。

「ユキ、お腹空いてたら、おかわりしていいからな」

「大丈夫。もうお腹いっぱいだよ」

明日は冒険者ギルドと商人ギルドに行かなくちゃな。

食事を終えて部屋に戻ると、部屋の前にお湯の入った桶が用意されていた。

「あんちゃん、コレで体洗うの?」

「あぁ、そうだよ。風呂には入ったけど、時間経ってるからもう一度体を拭くか」

獣脂の入ったランプに火を灯してから部屋に入る。

辛うじて部屋に何があるか分かるくらいの明るさだが、この世界の明かりはこんなものだ。

2階に登ってから分かってはいたが、隣の部屋から艶めかしい喘ぎ声が聞こてくる。

「あ、あんちゃん。オイラ、あんちゃんが気持ちよくなるように頑張るからな」

ユキが服を脱いで、恥ずかしそうにモジモジしている。

「何バカなこと言ってんだ。お前はまだ子供だろ。もっと大人になってからそういうことはするもんだ」

言葉遣いや仕草は少年のままだが、体と髪の毛を洗ったらユキはかなりの美少女だった。

アバラが浮いて痛々しい見た目なので、とてもその気にはならない。

年齢的にも欲情することは無いが、体つきが女性らしくなってきたら、今の言葉に流されてしまわないか心配だ。

「じゃあオイラが大きくなったら、あんちゃんにいっぱい気持ちいい事してあげるからな」

「ああ。楽しみにしてるぞ」

って、おい。無邪気に言ってくるから普通に返事しちゃったじゃねぇか・・・

それにしてもヤリっぱなしの状態の布団を、直しただけの状態なんじゃないのか?

窓を開けていたが、淫臭が染み込んでいるようだ。

それとダニもいっぱいいそうな気がするな・・・

俺はバックから取り出したかのようにシートと毛布を取り出す。

「あんちゃん魔法のバック持ってるのか?」

「まぁな。内緒だぞ」

「分かった!!」

屈託の無いいい笑顔だ。こんなに素直な可愛い奴を邪険にするのかよ。

魔女狩りのことといい、俺はこの世界の闇を感じた。

「よし。寝るからこっちこいよ」

ユキは部屋の隅で横になろうとしていた。今までは屋根すら無い所で寝ていたから、今までの状態よりいいのかもしれないが、俺だけベッドで寝るのは気が引ける。

「あんちゃん。おいらが一緒だと狭くないのか?」

「寒いからな、引っ付いて寝る方があったかいだろ」

「分かった。オイラ、あんちゃんとくっ付いて寝る」

今日は色々あったからか、ユキはすぐに寝てしまった。

ゴミのように扱われて報酬は貰えない。生きるギリギリの飯しか食べさせてもらえないなんてな。

酷い世界だ。

今日いた奴等は冒険者だ。子供のユキに荷物持ちをさせるってことは、獣人はかなり力があるのだろう。

俺はユキに荷物を持たせることはしない。

だがユキの能力によっては戦闘の補助をしてもらう。

俺と一緒にいるならユキには強くなってもらわないとな。

「あんちゃん。おいらのこと捨てないで」

寝言か・・・

いつもこんな精神状況でいたのだろうな。

ユキの頭を撫でていると強く握っていた手の力が弱まる。

小夜も小さい時は俺にくっ付いて寝ていたな。

どこか小夜に似ているからか、俺はユキのこと捨てては置けなかった。


これからいろんな人に協力してもらわなければならない。探すにも仲間を集めないとならないだろう・・・

やらなければならないことを考え込んでいると、俺も疲れていたからか、そのまま寝てしまった。


タイトル詐欺です。エッチなことは何もありません・・・

売春宿に泊まってしまった二人。そんなの知らなければ普通に入っちゃいますよね・・・

昔の藁を敷いたベッドはどんなもんなんでしょうか?背中にブスブスと刺さりそうなイメージがあります。

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