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ラグナロク  作者: ピロ
第2章 異世界
11/40

獣人の少年

前書き、後書きが消えてました・・・

レンは慎重な性格な為、絶対に小夜を見逃すことをしたくないので、回りくどいことをしていきます。

それが功を奏するのか?それとも逆効果になるのか・・・


キャラバン隊は様々な物を扱っているが、原材料が多いんだな。

ゲームはプレイヤーの都合で商品を用意する。だからキャラバンでは武器や防具を扱っていた。

だが、ここにはそんな物は置いていない。

「そこのお兄ちゃん。ウチで何か買ってって」

さっきの店と違って色々な物が置かれている。装飾類を主に扱っているようだ。

キラキラとしたネックレスや指輪類が並ぶ中、異彩を放った物が置いてある。

「店主、コレは何だい?」

ゴツゴツとした指輪ばかりが入ったケースが気になって聞いてみる。

「コレは迷宮で発見された指輪だよ」

ケースを取って店主は俺の前に置いた。

「なんか特別な物なのか?」

「見た目が悪くて買い取りされなかったとさ。泣きついた冒険者からまとめて買い取ったものだよ。欲しいならどれでも銀貨1枚でいいぞ」


手に取ってみると変わったデザインの物ばかりで、宝石などは一切入っていない。

おそらく趣味なんだろな。

一つ一つ手に取って見る。鑑定には指輪とだけ出てくる。

んっ?

その指輪を持った時、指輪ストレングスリング+1と表示される。

置かれている指輪は全部で20個ほど。その内5つに魔法が付与されていた。

この店主はガラクタだと思って鑑定を怠ったな・・・

「この三つをもらうよ」

「3つも買ってくれるのかい。なら銀貨2枚でいいよ」

魔法が付与されていれば、かなり高い金額で売買されているはずだ。

無知とは罪だな・・・

残りの指輪はヒールリング+1、それとレジストリング+2。

カースリングも2つほどあったが、そんなもの買う訳ないだろ・・・


効果はどのくらいか分からないが、魔法付与されているのか。

この世界には魔法が存在することが確定した。


ちなみに次元収納にしまって値段を見たら売却金額は1000円だった。

魔法が掛かっているかどうかは値段に反映されないようだ。

それにしても見た目通り、指輪に価値がないんだな。


指輪を嵌めてみるとブカブカだったリングがピッタリの大きさになる。

なかなかの優れものじゃないか。

どのくらいの効果があるか分からないが、指輪を嵌めておくことにする。

あらかたテント市を見る事が出来た。


「腹が減ったな・・・」

この世界がゲームの世界でない証拠の一つ、お腹が空くことだ。

歩いていると肉が焼ける匂いがしてくる。

匂いの先にレストランがあったので、情報収集を兼ねて入ってみることにした。

「いらっしゃい。空いてる席に座って」

忙しそうに食事をテーブルに運びながら、恰幅のいい女将の声が店内に響く。

開いてる席に着いてしばらくすると女将がやってきた。

「何にする?」

「おススメは何?」

「いいオークの肉が手に入ったからね、オークのステーキが今日のおススメだよ」

「じゃあそれで。飲み物は何があるんだい?」

「果実酒かエールだね。あとは水しかないよ」

「じゃあ水をもらおうかな」

「あいよ。大銅貨2枚と銅貨5枚だよ」

この店は先払いのようだ。他の客のオーク肉のステーキが運ばれてくる。

嘘だろ・・・

厚さ5cmくらいはありそうな肉の塊が運ばれていく。

更に大きめのパンが2つとスープも付いている。

客層は冒険者達が多い。体が資本だから当たり前なのだろう。女性の冒険者もガツガツと食べている。

すげぇな。

って、思ってると俺のテーブルにも同じ物が運ばれてきた。

「アンタは初めてだろ。肉の量をサービスで増やしておいたからね」

「ハハハ、ありがとう」

マジかよ。

他の客より更に盛られて、倍近い量があるぞ・・・

現代っ子の俺がどうやって食うんだ?

ナイフで肉を切ろうとすると更に衝撃的なことに気が付いた。

コレは肉なのか?全然切れないな。

辛うじて切れた肉を口に運ぶと、筋っぽくてなかなか嚙み切ることが出来ない。

パンもパサパサで飲み物が無いと、とても飲み込めるような代物ではなかった。

スープに浸して何とか食えるレベルだ。

俺は日本という美食の国に生まれたことを、これほど恨んだことはない。

和牛の柔らかさに感動している外国人の気持ちも同時に理解出来たのだった・・・




「ったく何やってんだ。このクズがっ!!!」

店内に男の声が響く。

奥の方に座って陣取っている冒険者らしき男はソファーにドカッと座り、獣人らしき少年を怒鳴りつけ蹴りを入れている。

少年は委縮して頭の頂上に付いた猫耳が垂れてしまっていた。

少年は別に何をしたわけではない。彼は床に置かれた飯を食べているだけなのだ。

着ている服はボロボロで奴隷なのかもしれない

彼らは少年をこき使って、ロクな金も食事も与えていないのか?

あーっ。嫌な気分になっちまったな。

テーブル席に一緒に座っている連中は、ニヤニヤしてその様子を眺めているだけだ。

「おい。お前はもうウチの荷物持ちはしなくていいぞ」

「そんなこと言わないでくれよ。オイラ明日からもっと頑張るよ。だからこれからもオイラをこのパーティに置いてくれよ」

「お前みたいなドジはな、もういらないんだよ」

10歳になるかどうかの少年に、彼らの荷物持ちをするには正直無理があるのだろう。

何かしらのミスをしたのかもしれないが、それを責めるには少年は幼過ぎる。

「女将さん、あの子は何をしたの?」

側を通り過ぎようとした女将に話掛ける。

「可哀相だけどね、この世界じゃ獣人や亜人は差別の対象なんだ。彼等はまともな仕事も付けないからさ、理不尽な仕事でもやっていくしかないんだよ」

冒険者達は食事を済ますと獣人の子供を無視して出て行く。

獣人の少年は泣きながら床に置かれた食事を食べている。

可愛そうに・・・


「君は彼らからいくら貰っているんだい?」

俺は見てもいられなくて少年の元に行き声を掛ける。

「一日大銅貨2枚・・・だけど、そんなお金一度だって貰ったこと無いんだ」

「いちゃもん付けられて、タダ働きさせられていたのか」

「・・・・・・・・・」

少年の目から涙が溢れている。図星だな。これが真実というやつか。

「なぁ。もしよかったら俺の手伝いをしないか?」

「えっ?」

「俺はここに来たばかりでさ、妹を探しに来たんだけど、この辺のこと全然知らないんだ。この辺の事詳しいんだろ?報酬はちゃんと支払う。一日いくら欲しいんだ?」

「あんちゃん、オイラのこと雇ってくれるの?」

「勿論だ。その変わりちゃんと案内してくれよ」

「うん。一日大銅貨1枚でいいよ」

大銅貨一枚・・・それじゃあここの食事より安いじゃないか。

さっきの連中はそれすら払ってやらないのかよ。

「じゃあ一日大銅貨5枚だ」

「そんなにくれるの?大丈夫、オイラもっと安くても文句言わないよ」

そういって俺は獣人の少年を座らせる。

「いいんだよ。それより俺の食べかけで悪いんだけど、お腹いっぱいでさ、食べてくれないか?」

そういって少年を座らせると、目を輝かせている。

「あんちゃん、オイラが食べていいの?」

キラキラした目で俺を見てくる。

「勿論だ。食べなきゃ捨てられるだけなんだよ」

「ホントにオイラが食べていいの?」

「ああ。いいに決まってる。」

少年は皿を下に置いて食べようとするから、俺は椅子を引いて座らせて俺は反対側に座った。

少年はガツガツと食べだした。それにしても美味しそうに食べるな・・・

ここの人達にとっては、この肉がご馳走なのだ。

「名前を聞いてもいいか?」

「オイラ名前無いんだ。だからおいとかお前とかしか呼ばれてなかったんだ」

「そうか。俺はレンだ。レン、タチバナ。レンって呼んでくれればいいよ」

「分かった。レンのあんちゃん」

相当お腹が空いていたのだろう。あの硬い筋だらけの肉がどんどんと消えていく。

気持ちいい食べっぷりだ。この世界の人達の顎の筋肉は凄いんだな・・・

幸せそうに食べる少年の服を見る。

酷い服だよな。それに髪もボサボサでずっと体を洗ってないよな・・・

「なぁ女将さん。この辺で風呂がある所はあるのかな?」

テーブルを片づけている女将に声を掛ける。

「それなら宿屋の組合に共同風呂があるよ。私の名前を出せば使わせてもらえるから行ってきなよ」





初めて獣人が出てきました。頭の頂上に耳があると、人に付いている耳の部分はどうなっているのでしょうか?謎ですよね。考えていると眠れなくなります。zzz・・・


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