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ラグナロク  作者: ピロ
第2章 異世界
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この世界で生きるために

いよいよレンはこの世界で行動を始めます。

何も情報も無く、誰も知り合いがいない状態から、妹の小夜をどうやって探すのか・・・

小夜を探すには準備が必要だ。資金が必要だが、俺はこの国のお金なんか持ってない。

俺はタブレットでロボ太を呼び出す。

通じるのか分からないが、小夜を探すのに資金が必要で、お金を持って行きたいと伝えてみる。

するとロボ太が近くにある引き出しを開けると、この国の硬貨であろうものが入っていた。

コインストッカーにズラリと並んでいる。

「コレを持って行っていいのかな?」

マジックハンドのような手がOKサインを出している。

適当に次元収納に入れようと思ったら全部入ってしまった。

カルヴァン王国硬貨と表示されて、白金貨、金貨、銀貨、大銅貨、銅貨、鉄貨の5種類の硬貨が上から順に並ぶ。

鉄貨が十円だと考えて、銅貨百円、大銅貨千円、銀貨一万円、金貨十万円、白金貨百万円。

10進数で考える場合だが、全部50枚づつあるぞ・・・

俺の考えが間違いでなければ5000万以上はあるってことだよな・・・

次元収納に入るからパッと見ても、金を持っていることは分からない。大金だけど持っていても大丈夫だろう。

銀貨と大銅貨を小袋に入れて財布代わりにポケットにしまう。


そうだ、小夜が戻ってくる可能性を考えて、何かメモを残しておくか。

俺が小夜を探しにここに来た事、日付を計算してまた戻ってくること、ここに来たら出来れば動かないでいて欲しいこと、動くならメモを残して欲しいと書いた。


「さて、いろいろ買い出しに行ってくるか」

アルタリウムと同じ構造ならば、キャラバン隊が開いている市場がある筈。

キャラバン隊は、街の中央にある噴水から南下した広い場所に市場を開いている。

「やっぱりアルタリウムにそっくりだよな」

足を運ぶと案の定テントを張って、店を開く商人達が溢れていた。

この世界は定価という概念は存在していない。商人達は必ず高めの値段を言ってくる。

だから買い手側は相場より低めの値段を言うのだ。だからといって低い金額を言い過ぎると、相手にしてくれないので注意しなければならない。

値段交渉を何度か繰り返すと適正の値段になってくるから、自分がいいと思えば買う。

コレが基本になる。

まずは服を購入したいけど、キャラバン隊が売っている物は反物だ。

ゲームの時は、服を売る店舗が隣接していたが、背景でしか無かった。


メインメニューから課金で買う事が出来たが、街で買う事は出来なかったから、その辺は味気なかったな。

でもこうやって直接買う事が出来るのはなかなか楽しい。

と、最初は思っていたのだが、現実に直面してしまう。

思った以上に酷い。縫製が荒いし、布がとてつもなく重い・・・

冒険者達はおそらく自分で縫い直したり、補強しているんだなと実感した。

もしかしたらと思い、人気の無いところで次元収納にあるタブレットを見られないように開く。

服と入力するとエクリプスで課金購入する画面と同じものが出てきた。

「やった」

自分の欲しいデザインを色やサイズ、布の素材までカスタムして選ぶことが出来る。

この世界であまり浮かないようなデザインの物を選んで何着かチョイスした。

お金が発生しないで入手する事が出来るのは不思議な感じだ。

と、思っていたのだが、よくよく見ると下の方に日本円のカウンターが表示されている。

減り具合からして元々の所持金が100万円で、買った分だけ減ったようだ。

もしかして初期の所持金は100万円なのかもしれない。

おかげでマントやバックパック、旅に出るもの全てが揃ってしまったな・・・

カウンターの残高はまだ90万円近く残っているが、金が無ければ何も出来ないからな。

正直ありがたいことだ。


この世界の金銭価値や技術レベル、一般常識的なものを確認したかったから、お店を見て回ることにした。

キャラバン隊の商人達は食料品、反物や、絨毯などを扱っている所が多い。

果物はどれも1個、銅貨1~2枚で買うことが出来る。保存が出来るか分からないが、とりあえず何個か買って次元収納にしまっておく。


「兄さん。ウチはいい宝石扱ってるよ。見てってよ」

宝石を扱うお店のおっさんが声を掛けてきた。手には巨大な宝石の入った指輪が、全ての指に嵌められている。いかにも銭ゲバっぽいおっさんだ。

置いてある宝石を見ると、なかなか大きい宝石が置いてある。

宝石はカラット、カラー、クラリティ、カット、それと希少価値で価値が決まる。

しかしこの世界にカットする技術は無いからか、形はオーバルタイプだけのようだ。

だから基本は色や透明度、内包物や亀裂、傷、大きさなどを見て、後は希少かどうかで決まるみたいだな。

ルースを手に取ってじっくり見ていると、突然視界に文字が現れる。

「うわっ」

「兄さんどうしたんだい?」

焦って宝石を落とすところだった・・・

「あー、何でもない。コレなかなかいいものだね」

「だろ。ウチはいい物しか扱ってないからね」

このおっさんは嘘つきだ。この宝石は内包物が多く、宝石としてはクズ扱いだ。

何故そんなことが分かったかというと、エメラルド、1,98カラット、ランクF。

と俺の視界に表示され、収納しますか?Y/Nと出たからだ。

いきなり文字が現れたことに驚いて、つい声が出てしまった。

さっきボールペンで表示が出るのを見たんだよな・・・

買った物じゃなくても出るとは思っていなかったし、鑑定まで出来るとは思ってもいなかった。

買ったかどうかなんてのは、ゲームならフラグが立っているから分かるのだろう。

リアルで、そんなこと分かるわけないか・・・

でも次元収納のリングを付けていれば、鑑定も出来るってことは分かった。

「コレはいくらになる?」

「そうだね、白金貨10枚でどうだい?」

コレが1000万??そんな訳ないだろ。

「おいおい、冗談だろ?金貨2枚の間違いだろ」

「兄さん、そんな値段で売ったらウチは潰れちまうよ」

正直この世界の宝石の価値なんて俺には分からない。

もしかしたらこのおっさんは本当のこと言ってるのかもしれない。

でも俺は欲しいわけではないからな。

「ならコレならどうだい」

話にならないとばかりにルビーを出してくる。

「コレなら金貨5枚でもいいよ」

おいおいコレはピジョンブラッドだろ。しかもぱっと見で5カラット以上はあるぞ。

持ってみると宝石のランクとしてもSと出てくる。

ウチのグループ会社にジュエリーを扱っている事業部もあるからな。

俺もそれなりに勉強はしているつもりだ。

ルースだけでこれなら200万は下らないぞ。

値段が崩壊してないか?でもこの世界じゃルビーの価値が無くて、エメラルドの方が希少なのかもしれない。


「いやいや。コレは金貨3枚が相場だよ」

とりあえず吹っ掛けてみると、おっさんが考えて唸っている。

マジかよ。

食いついたってことは金貨3枚で利益が出るってことだな。

「兄さんには叶わねぇな。金貨3枚と銀貨5枚でどうだ」

「金貨3枚と銀貨3枚。コレしか俺は出せない。この値段じゃなきゃ俺は買わない」

おっさんは少し考えてため息をつく。

「分かった。俺の負けだ。金貨3枚と銀貨3枚でいいよ」

バックからお金を出すフリをして硬貨を出す。

分銅を持って来て金貨と銀貨が本物かどうかを確かめてからルースを俺に寄越した。

「兄さんには叶わねぇな」

参ったって顔をしているが、このおっさんは毎回こんな感じで、お客に対応しているんだろうな。

ルビーを受け取ったが、別に欲しかったわけじゃないんだよな。

でも宝石なら支払いに使えないこともないだろう。

俺は次元収納に入れてみてコンソールから入れたルビーを表示してみる。

ルースの表示する欄の横にBUYなんて出ている。

スライドさせると売却しますか?Y/Nと表示された。しかも売却価格が230万円と出ている。

何だコレ。笑いが止まらないシステムだろ。

俺は早速売却して230万円を手にいれる。

90万だった残高が310万まで跳ね上がった。

俺は気になったことがあった。人工宝石と入力する。

人工宝石は大きさもカットも指定出来るし、ネックレスや、リングも色々指定出来た。

俺はエメラルドの人工宝石を購入する。

「この店は宝石の購入もやってるのかな?」

「物によっちゃ買い取るけど、状態の悪い物は買わないな」

「コレなんだけど、いくらになる?」

俺は人工エメラルドを出して店主に渡す。

「兄さん、コレどこで手に入れた?」

店主のニヤついた顔が、突然真顔になる。これが本来の顔なのだろう。

その表情を見てコレはかなりヤバい代物なんだと気付く。

「コレは迷宮で手に入れた」

その辺で手に入れたなんてことは理由に出来ない。

恐らく盗品と思われるだろう。

「兄さんは運がいいんだな。こんないい宝石は今まで見たことないよ。でも気を付けた方がいい。こんな物を持ってるって知られたら、命を狙われる可能性だってある」

店主が真剣な顔で答えるから、その位希少なのだろうな。

「そんなにヤバい物になるのか」

「そうだな。ウチじゃちょっと高すぎて買い取れないな」

元のニヤついた顔に戻ると人工エメラルドを返してくる。

「どこだったら買い取ってくれるかな?」

「そうだな。商人ギルドに登録すれば、安くはなるけど買い取ってくれるよ。でもギルドだってすぐに金を用意出来るか分からない。あとは貴族に伝手があれば間違いなく高値で買い取ってくれると思う。それはそういう物だ」

「いくらなら売りだと思う?」

「おいおい、それは商人の口からは言えないな」

「そういうと思ったよ」

口止め料として金貨1枚を渡す。

「毎度あり。また宜しく」



いい勉強になった。採掘出来る物が違えば、価値が相当変わるってことだ。

だが、コッチの物が高額で日本円で換金出来るなら、資金の調達が可能になった。

コレならいけるかも・・・



読んで頂きありがとうございます。世の中は3連休なのに、私は日曜日しか休みが無いです

休みが欲しい・・・

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