壊れた魔導人形
実に5カ月ぶり・・・すみませんでした
.特に用事も予定もない本日。普段なら家でいろいろ研鑽を積んだりするのだが、今日は気分を変えて散歩をしながら面白いものを探すことに。
日が違うからか、何かあるからなのか、前に歩き回った時よりも活気がいい気がする。
とりあえず、屋台で焼いた肉を串に刺したものにかぶりつきながらぶらぶらと当てもなく歩く。
目に入る人には屈強そうな体をもったもの、魔術師、魔法使い然としたローブや杖をもっているものなど、なんとなく冒険者っぽい人たちがよく目に入る。
前回はちらほらいる程度で、ここまでどこでも目に入るほどにいたわけではない。
まぁそんなことは知ったことではない。そう判断を下して歩き続ける。
そんなとき、隣を歩くようにしていたリンが、
『ショーゴ』
「なに?」
『あちらのほうから何やら懐かしい者を感じる』
『あー……。言われてみれば』
『しかし……なんでしたっけ?』
リンの言葉にウィン、ヒータが続く。彼女らが向いているほうは……
「また裏通りかよ……」
.あまり良い思いもしてない裏通り。しかし、彼女らが行きたいというなら仕方ない。
ぶっちゃけお前らだけで行ってこいと言いたかったが、後でフルぼっこにされることが目に見えているので素直に従う。
彼女らの指示に従って進んでいくと、鈍い青の光を放つ扉の前に到着した。どうやら目的地はここらしい。どう見ても怪しい扉である。
「というか中から凄い魔力を感じるんだが」
総量にして下級から中級程度の精霊と同等とみた。そんなものを感じる家屋に入りたいと思う奴はいるだろうか、いやいない。
というわけでまわれ右して戻ろうと思ったのだが……後ろを見た瞬間すぐにその考えを放棄した。誰だって目が笑ってない女の人達が勢ぞろいしていたらそう思うだろう。
(ええい……ままよ!)
やけっぱちになりながら目の前の扉をあける。中には――――――――――――――想像以上にカオスな状況が広がっていた。
壊れている人形。よくわからないお香。埴輪みたいな置物。薄汚れた箒。カビの生えた食器。刃こぼれしまくった剣…………。
そのどれもが大小で差はあるものの全て魔力を帯びていた。正直言ってこれはやばい。この世界には魔力を帯びた道具というものは希少価値がある。しかし、その多くは曰くつきのものになることが多い。少々の魔力を帯びるのはいい。だが、度を過ぎるとその魔力によってさまざまな事象が発生する。体調を崩してしまったりするのが最たるものだ。最もひどいのは、それらのアイテムが偶然規則性をもった配置を取られ、国一つが吹き飛んだというもの。以前書物で読んだ時は半信半疑だったが、大昔から存在していた精霊であるリンがそのことを肯定。その話を聞いた後、過ちを繰り返さないためアイテムによる魔法陣の作り方を一応教わった。
見る限り特に異常は見られないが、一つ間違えばこの街が吹き飛んでもお釣りがくるほどの魔力。さっさと退散したいと思うのは当然だろう。
『大丈夫じゃショーゴ』
そんな俺の思いを読み取ったのか、リンはそう言った。
『この場所はあの都……いや、あの世界から位相がずれておる。たとえここが吹き飛ぶことがあろうとも影響はない』
そう言われて感じ取って見れば、なんとなくリンの世界に似た感じが見受けられる。まぁだからといってここにいたらいつ巻き込まれるかという恐怖感が消えるわけないんだが。
そんなことを思っていると、奥のほうから背の低い老人が現れた。この店の人だろう。
「おや……いえ、なるほど……」
俺のほうを見てなにやら呟く。何といったのかは聞き取れなかったが。
「いらっしゃいませお客様。本日のご用件は?」
恭しく礼をする老人。しかし、そんなこと聞かれても俺には分からない。みんなの言うことに従ってここまで来たのだから。
というわけで本人らに聞いてみる。帰ってきた答えは奥のほうにかろうじで見える壊れている人形。
「それをお求めでしたか」
後ろからついてきていた老人がそう言う。
「これは何なんだ?」
「昔、精霊と亜人が協力して作った人形だそうです。ほとんど人間と同じに見えるほどの出来だったとか。ただ、人間と違うのはその単体での能力。精霊たちによって与えられた膨大な魔力を使い、一体で国を落としたとか。その後、寿命がきたのか朽ち果てこのような状態になったのだと言われております」
なるほど。懐かしいとか言っていたのはこれを作ったからなのか。
「これはいくらくらいだ?」
「いえ、お客様にはただでお譲りいたしましょう」
「……なぜか理由は聞いていいか?」
「これは今のわたくしたちでは再現が不可能な遺物であり宝の持ち腐れ。しかし、お客様にはどうやら不思議なお連れ様がいるようで」
まさかこいつリンたちのことがわかるのか?いや、わかるだけで見えてるわけではないか。
「わかった。なら遠慮なくいただいていく」
「えぇ」
壊れた人形をもち俺は店を出る。出る寸前、老人の声が聞こえた。
「それではまたのおこしをお待ちしております」
というわけでお久しぶりです皆様。この小説がすでに放棄されたと思われた方々、まことにすみませんでした。とりあえず放り投げるようなことはしないように致します。