第11話:父さんの非常識っ!!
サブタイはきっと主人公の気持ち
何もない空間ザ・サード・・・というわけではなく今回は草原っぽいところにシルフと俺二人が向かい合わせに立っている。
「えっと・・・じゃあいいか?」
「ええ、私はいつでもいいです」
最後の確認としてシルフに聞くが、決意は変わらない様子。まぁ、ここまで言うならいっか。
「風の精霊シルフ。汝は我、ショーゴを契約者として認めるか?」
「ええ」
「では、新たな名を授けよう。汝が名はウィン」
そう俺が言った瞬間、こう・・・す~っとした感覚が俺の中に生まれる。
「ありがとうございます。これより私は【ウィン】となりあなたに我が身を捧げます」
シルフ・・・これからはウィンがそう言うと、彼女の周りに光と風が巻き起こる。それらが晴れると、そこには緑色の髪をポニーテールにし、白いシャツの上にフード付きの旅人のような外套を羽織り、アニメのキャラ並みに短いミニスカートの姿で立っていた。
「この世界にそんな恰好あったっけ?」
そんな恰好が女の子の標準だとしたらおじさんはびっくりだよ。
「いえ、あなたの記憶から私が似合いそうな格好を探した結果がこれなのですが・・・だめですか?」
「いや、そんなことはないけどさ」
めっちゃ似合ってるけどさ・・・あれだ、思春期の少年には目に毒「ショーゴはそんな歳ではないでしょう」・・・。
「いいじゃないですか。それよりも大丈夫ですね?」
「・・・まぁ言われた通りのことはできる感じがするよ」
「結構です。では戻りましょう」
「りょーかい」
そう答えてその空間から俺とシルフは出た。
『ようやく帰ってきおったか』
意識が戻ると早々にリンからの出迎えコール。
「ありがと、リン。大丈夫だった?」
『我を誰だと思っておる。足止め程度ならば簡単なことじゃ』
「そうだな」
『それよりもさっさとせんとまた攻められるぞ?』
「それはまずいな。もう少し足止めよろしく」
『ふむ、貸し一じゃ。さっさとせいよ』
「もち」
それを最後に念話は終える。ちなみに目はつむったまま。まだやることがあるからな。
「それじゃウィン、行くぞ」
『ええ』
集中集中・・・頭の中には心に思い浮かんだ風の槍。それを思い描きながら手を横に出す。
「我は請う・・・風槍≪アイオロス≫」
魔力を練り、俺の手に1本の槍、それは銀色の柄に十字の刃、真中には翡翠石のような緑色の石が嵌っている。そして、それと俺の後ろに2本手の中と同じ槍が浮かぶ。
「そりゃ・・・なんだ?ショーゴ」
いきなり魔力の反応もなしに槍が現れたらだれでも警戒する。というかこれできる人俺だけだろうから余計にだろう。
「俺の切り札だよ、父さん」
そう言って手にもった槍を構える。それを見て父さんは獰猛な笑みを口に浮かべ、
「ほう、面白い。見せてもらおうじゃねーか」
さっきまでとは違い、威圧感たっぷりに半身に構える。
それを見て、俺は一気に駆ける。これを出しているときには風の加護を強く受けるそうなのでいつもより数倍速く動くことができる。
しかし、父さんにとってはこれが普通の手加減した程度のスピード。まぁ、今の俺の体つきではしょうがない。戦闘職の父さんに敵うはずがないのだ。
現に軽く驚いた顔をしているが、普通に直撃コースで一太刀を浴びせてくる。というか当たったら俺がお陀仏な威力だと思うんだが・・・。
まぁでも、今の俺には関係ない。
俺が左手を振るうと今まで後ろに追随してきていた2本の槍の片っぽが弾くように振られる。イメージが弱かったのか少し軌道を逸らしただけで弾かれるが、それで十分。俺の周りに起こる不自然な風によって外へ流される。
それを視覚ではなく、周りの風とシンクロした俺の感覚で感じつつ手の槍を横なぎに振るう。それと同時にノーモーションで挟撃するように浮かんでいた2本の槍も放つ。
「チェックメ「おっと、それはどうかな?」えっ?」
知覚もできない速度でいつの間にか後ろに回って俺の首に木刀を当てている父さん・・・。
「いやぁ、まさかお前がこんなに強くなってるとはなぁ~。思わず魔法を使っちまった」
がはは、と優しそうな顔に似合わない豪快な笑いを見せる。
『・・・さっき父さんの使った魔法についてわかる人~』
とりあえず俺の肩をバンバン叩いてる父さんを受け流しつつ、最近できるようになった並列思考を駆使し、リンとウィンに聞いてみる。
『魔力の波長から察するに・・・雷属性ですね』
『ふむ・・・どうやらオリジナルじゃな。おそらく一瞬じゃが雷と同じ速度で移動しておるな』
『・・・ありえん』
『まぁお主はまだ若い。今の汝ではなく未来の汝なら勝てるよ』
『ありがと・・・』
『これもいい経験です。何事も成功ばかりでは身にはつきませんし』
『そうだな・・・よし!これを教訓にまた頑張ろう!』
『その意気じゃ』
『ええ。頑張りましょう』
あの後父さんと二人で風呂で汗を流した後、ご飯となる。
「よし、じゃあ俺と母さんの職業を教えてやろう」
飯を食いながら父さんは言う。母さんは今デザートを作っていて居間にはいない。
「ずばりな・・・冒険者だ」
冒険者とはこの世界において最も就業率と死亡率が高い職業である。その仕事内容は様々で、子供のお使いレベルから国が総力を挙げるレベルまである。まぁ後者は一生に一度あるかないかのおおごとではあるのだが。
まぁ詳しいことは省く。どうせまた話すことになるのだから。
それは置いておいて、冒険者か・・・。まぁ父さんにはお似合いか。好奇心旺盛だし、子供っぽいから天職だろうな。
「むぅ・・・そこまで驚いた感がないな」
「父さんにはぴったりすぎる職業だよ」
それもそうか・・・。と呟く父さんを放置し、母さんの作った料理を食べる。今日はとんかつっぽい物定食である。『ぽい』というのは豚ではない、酷似した生き物の肉であるから。
美味いことに変わりはないのでどうでもいいけど。
「ちなみにランクはAだ」
その言葉を聞いて父さんにちょうど飲んでたお茶を吹いてぶっかける。
「うわっ!お前なにすんだっ!」
「むしろ父さんが何言ってんだよ!Aランクって・・・」
冒険者だがランク付けがあり、最低はGランクから最高のSまである。
Aランクというのは全体の1~3%程度の人数しかいないめちゃくちゃ強い人たちである。国の一大イベント時にも国に呼び寄せられるくらい凄いのである。
それを自分の両親がやっているとは・・・人はみかけによらないな。
「まぁそう思うのも仕方ないわよ」
そう言いながら居間に入ってきたのは母さん。
「いきなりそんなこと言われたって驚くにきまってるじゃない。というより驚かせたいがために今までいってなかったんじゃなかったかしら?」
そう母さんが言うと、そう言えばそうだった。と思いだしたかのように父さんは言う。どうせ途中からは話すの面倒だとかなんだとかで話さなかったに違いない。
「母さんはショーゴと同じ魔術メインの魔法使い。父さんは見ての通りの剣士よ」
ふむ・・・見た目からも性格的にもそれが妥当だろうな。
「でもこいつ前衛もいけるぞ?」
「そうね・・・どう教えようかしら」
どうやら両親もこれからは教えてくれるらしい。学ぶ場が多いことはいいことだよな。
「面倒だから両方で良いじゃねえか。隠し玉ってことで接近戦もできればかっこいいだろうし」
父さんのそんなお言葉。適当にも程があるだろ。
「そうね。魔法はどうしようもないけど」
「まぁな。俺は雷、お前は水だからな」
というより俺に属性もくそもないんだけどね。いっそのこと両親にはばらしてやろうか・・・やらない方がいいだろうからやらないけど。
「ま、そういうことは明日からだ。ショーゴ、今日はとりあえず遊ぶぞ!さっさと飯を食え!」
俺にそう言って父さんはがつがつと食べ進めていく。まったく・・・昼休みに早く遊びに行きたくて昼飯を早食いする小学生か?この人は・・・。まぁ面白いからいいけどさ。
さて、俺もさっさと遊びたいし早く食べよう。別に俺は子供だからこういうことしてもいいよな?
戦闘描写・・・上手く出来てない気がする。うん。
そして両親の職業判明。てか以前出てきたときにはこんな性格ではなかったはず・・・汗
どうしよっか・・・。