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⑼『路上封鎖』
⑼『路上封鎖』
㈠
確かにここは、路上封鎖された場所である。そんなことは、百も承知であるが、幾分、エネルギーが足りない為か、脳が回らない。しかも、『一つの脳髄』を思い出し、更なる苦悩に入ろうとしていた、そんなゾーンに入りかけて来た。
㈡
路上で寝転んで居るのに、行き交う人々の誰もが俺を見て観ぬ振りをしていたが、疑問はなかった。仮に、俺が通行人だったら、言葉をかけずに無視するかもしれないな、と思ったからだ。しかし、時折、小銭を置いて行く人も居るには居る。
㈢
俺は何も、浮浪者ではないのだが、路上封鎖の後、行き場を無くしたという意味では、浮浪しているのだから、世間一般では、浮浪者というのかもしれない。しかし、水も飲まずに5日、とうとう、俺は起上り、封鎖された場所を搔い潜り、打破することにした。