宿なし
宿なし
濡れそぼって、
濡羽色なんて、
とっくに、
通り越している。
連れも無く。
たるんだような、
電線に、
留まっている。
雨宿りは、
潔く、諦めて。
下向きに、
引かれる、
すじを、
ながめている。
からだの色と、
一緒に、
流れ落ちるなよ。
あんな風な、
空の色には、
なってくれるなよ。
もうすぐ、
小降りに、
なることを、
ちゃんと、
わかっている。
洗われた羽根は、
前よりずっと、
艶を増し、
虹を描いて、
飛べると、
わかっている。
山の向こうが、
明るい。
ちゃんと、
わかっているのだな。