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第66話

「科学魔法軍団からはこのおふたり

 J選手とフラン選手です!」

 拍手を受けながらふたりが制御盤前に立つ。

 それを見たセイガは、傍らのメイに手を差し出した。

「さあ、俺達の番だ」

「うん……がんばります!」


「そして魔法花火軍団は

 『スターブレイカー』セイガ選手とメイ選手です!

 それぞれスタンバイお願いします」

 セイガとメイは先程ハリュウがいたステージ後方へと移動する。

 セイガの手には紙の束、それは全て魔法花火の術式だ。


「第ニ番勝負は

 同時にスタートして、3分間に成功した花火の数を競う

 『花火最大数対決』です!

 それじゃあお互いに準備はオッケーですか?」

 4人がそれぞれ肯定する。

「では……行きますよ~

3.2.1.…スタート!!」


 セスの掛け声と同時にステージのモニターに両陣営の花火の数を示すカウンタが現れる。

 それに合わせてセイガはメイの前に紙を差し出す。

「はい!」

 メイがその起爆点に触れると花火が出現して、上空へと飛び出した。

 続いてもう一枚、ただし同じ場所で起動すると誘爆や暴発の危険があるので少し離れた場所へ紙を出す。

「はい!」

 そうやって、移動しながら紙を出すセイガとそこに手を伸ばし起動させるメイ、そのコンビネーションが魔法軍の作戦だった。

 一方の科学軍のふたりは

「え~~~~い!」

「それそれですぞ~!」

 制御盤の明滅するボタンを押し続けていた。

 こちらは向こうで準備が出来た花火をどんどん起動する方式だ。

 無論、最初から数百の発射台を準備することも出来なくはないが、ルール上そのあたりは調整が加えられていて、チャージするまでに若干のラグがあった。

 それでも前もって準備していた分、科学軍の方がやや上回っている。


「50……60、どちらも素晴らしい花火です!」

 夜空には両軍が上げた色とりどりの花火が咲き誇り、とても美しい光景だ。

 しかし、打ち上げる両軍は必死だ。

「はい!」

 タイミングとチームワーク

「はい!」

 セイガは出来るだけメイが楽に押せるように場所を変え

「はい!」

 メイは魔力を集中しながらセイガの出す紙を起動させ続けた

「はいっ!」

 そのペースは、本来なら疲れが出るだろうに、確実に速くなっていた。

「はいっ!」

 メイは、無心でいながらも、とても楽しかった。

「はい、はいっ!」

 ふたりの共同作業、加速するその瞬間がとても愛おしかったのだ。

「はいはいはいはいはい!」


「しゅーーーーりょーーーー!」

 長いようで短い3分間だった。

「さあ、カウントの結果は……」

 ちなみに、のこり30秒を切った時点で会場のカウンターは隠されていて、会場の面々、および両軍の人間は結果を知らない。

 息を呑む。

 静かさの後

「645対642

 勝者は……

 魔法花火軍団です!!」

 大歓声と共に、へたりとセイガとメイ、お互いが座り込む。

「へへへ」

 力なく笑うメイ、でもその表情は誇らし気だ。

「やったな♪」

 セイガも3分間全力で走り続けたようなものなので、さすがに汗が吹き出ていたが、とても満足だった。


「なんということでしょう

 不利と思われていた2番勝負も魔法軍の勝利となりました!

 しかーし

 最終戦の勝者にはなんと100ポイントが入ります!」

 セスの告白に会場では軽く笑いが起こる。

「ポイントってなんやねん」

「うふふ、バラエティあるあるだよね~」

 前もって聞かされていなかったので、セイガ達も苦笑いをするしか無かった。

「まあ、仕方ない」

「あとは頑張ってね、ゆーちゃん」

 セイガ達の視線がユメカに集まる、そう、最終戦の代表は勿論……

「うん、ここまで来たら全力で頑張るよっ」

 まだ出番の無かったユメカなのだから。

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