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第55話

 みんなでお昼を食べた後、セイガはユメカの散歩につきあっていた。

 ユメカはひとりでふらりと歩くつもりだったのだが、セイガとしてはユメカをひとりにするのは不安だったのだ。

 午前中からそうだが、浜辺では結構皆知らない人に声を掛けられる、所謂ナンパを受けていたからだ。

 ハリュウ達が謎の水着コンテストを開いた影響もあるのだろう、特に女性陣の注目度は半端なかった。

「もう、セイガは心配性だね~~うふふ♪」

 ずんずんと、ユメカは歩いて行く。

「はは、それにしても、やっぱりコッチではあまりテントも張ってないし、バーベキューもしてないんだなぁ」 

「…?」

 ユメカがきょろきょろと周囲を観察している。

「それは、キャンプみたいなものかい?」

「そうそう、私のトコでは海水浴って言ったらテントにバーベキューってのが定番だったんだよ、まあ海が冷たくてあまり長く入れないってのもあったんだけどね」

「……なるほどな」

「短い夏を出来るだけ長く思いっきり楽しもうってのもあったんだろうね…なんか懐かしいなぁ、ふふ」

 生きていた世界が違えば、暮らし方も変わる、そういうことにセイガは感心していた。

「ええと……確かこの辺りって言ってたんだけどなぁ?」

 ユメカが額窓を確認していると、遠くから声がした。

「お~~~い ユメカ、こっちこっち♪」

 手を振る大きな影、そこにはユメカの友達であり、最近はメイの御業の師匠でもあるキナさんが立っていた。

 褐色の均整の取れた筋肉質な体に白い競泳用の水着が映えている。


上:7点、彼女の力強さと女性らしさを体現していて宜しい

ハ:6点、好みは分かれるが、オレはアリだと思う

J:7点、黒と白のコントラストが良し、素肌もよりよく見える


「はははっ、キナさん☆ひっさしぶり~」

 ユメカがとことこと近付くとハイタッチを交わす。

 身長差がかなりあるので目線が全然違っていて面白い。

「誘ってくれて良かったよ、こんな遠くまでデートに行くのも久しぶりだしね」

「……どうも」

 キナさんの後ろからひょっこりと小さな影が現れ、可愛らしくお辞儀をする。

 それは見目麗しい女性のような姿。

 エルフらしい美しい顔立ちと尖った耳、細くサラサラな長い金髪…

 華奢な体つきと、真っ白な肌は青いパーカーで覆われ、下は男性用の海水パンツを着用している。

 そう『ノエ・ノワール・フォンティエ』、彼はとても可愛らしい姿をしているがれっきとした男性であり、キナさんの彼氏でもある。

「ノエくんも、あはは、いつ見ても可愛いねぇ♪」

 ユメカはそう言ってノエくんともハイタッチを交わした。


上:6点、物静かな彼に合った水着だが、もう少し自己主張してもいいかも

ハ:5点、こんなに可愛いのに……色々残念過ぎる

J:8点、実は高級メーカーの品だけに生地、デザイン共に良質


「ふたりとも来ていたんだね♪」

 ユメカやレイチェルが色々と声を掛けていたのは知っていたので意外では無かったが、こうやって学園郷でも会えるのはとても嬉しかった。

「はい、ここはとても好い所ですね♪」

 ところで、ノエくんはパーカーの下はどうしているのか、セイガはそこがちょっとだけ気になった。

「ちなみにモブ沢も一緒に来たんだけど……アイツはいつもこういうタイミングでいないのな」

 何か妙に呆れた表情のキナさん、セイガは船であんな別れとなってしまったモブ沢さんの今が知れてちょっと安心した。

「うふふ、私達はあっちの海の家を借りてて、その近くのパラソルを拠点にしてるからいつでも遊びに来てね♪」

 ユメカが遠く、海の家の方を指差す。

「ま、あんまりお邪魔をしちゃあマズいかな?」

 うふふと口に手を当てながらユメカ、

 セイガ達ふたりはそれから少し談笑した後、ふたたび散歩を再開したのだった。


 ちなみに

 セイガ達が去ってから少し後に、フリルが多めのピンクのワンピース水着姿のモブ沢さんが帰ってきて、散々文句を言っていたのはまた別の話である。


上:5点、折角顔は美少女なので、もう少し主張の少ない水着の方が似合うと思う

ハ:5点、可愛くは見えるが、残念っぽさの方が目立つ

J:5点、あざとい可愛さは出ている、ただ影が薄い感じがある


 さらにビーチを歩いて行くセイガとユメカ。

 ここの砂浜はとても長く、弓なりに白く綺麗な海岸線が続いている。

 どこから見ても眺めは最高で、その点もここが人気の観光地だという証拠だった。

 人々も皆楽しそうで、そんな光景を眺めているだけでも充分面白い。

 そうして歩いていると、不意に複数の方向から

「セイガ氏!」

「聖河さん?」

 セイガを呼ぶ声がした。

 セイガとユメカがきょろきょろと見渡すとそこにはひとりで出歩いていた海里と、水着姿の秘書、リンディがいた。

 ただ、水着とは言っても彼女は青いベストに白いTシャツ、下は青いホットパンツとさっぱりとした私服に近い恰好だった。


上:6点、クールな感じは似合っている、ただ面白味が…

ハ:3点、せめて下着を連想させるようなアレが欲しかったっす

J:4点、水着としては評価低め、私服とみるなら悪くないデザイン 


 セイガは焦った。

「どうしたの?」

 いち早くそれに気付いたユメカが横から見上げる。

「ああ……いやその」

「奇遇ですね、おふたりが学園郷に滞在中なのは聞き及んでましたがここで会えるとは思いませんでしたわ」

 学園長の秘書であり、ホストの事情も知っているリンディ。

 その変身の第2形態が核熱の魔女だということはセイガしか知らない。

「そちらの方が確か第6リージョン(シックスト)の」

 リンディも既に海里と会っているのは秘密なので、さも初対面のように振舞っている。

「はい、龍宮殿 海里さんです」

「どうも、シックスト代表の綺麗なお姉さんですが何か?」

 そして海里がラスと繋がっていたこともセイガしか知らない。

 つまりこのふたりが会うのは色々とマズいのだ。

「……聖河さん?」

「ああいや、なんでも無いです」

 秘書は少し訝し気な目でセイガを見る、まさか約束を破るとは思っていないがセイガの性格的に隠し事はあまり得意そうには見えない。

「それならばいいのですが、海里さん……わたくしは4‐17支部の学園長付秘書をしておりますリンディです、こちらへの滞在、心から歓迎しますわ」

 そして海里と強い握手を交わす。

「ずいぶんと友好的な歓迎ですけど、以前にお会いしました?」

 セイガの態度から何かを察したのだろう、海里が挑発的な態度で指に力を込めた。

「まあ、歓迎式典の時に少しだけですけれど、お綺麗でしたから忘れません」

 秘書の方も対抗して手を握っている。

 どちらも自滅する可能性があるのに凄い態度だ。

 セイガは内心ハラハラしながらその様子を眺めていた。

『ほほほほほ』

「せっかくですから一緒におさんぽ、します?」

 何も事情を知らないユメカの何気ない一言、そこでようやくふたりとも自分の事情を鑑みたのか

「いえいえ、わたくしはひとりで余暇を楽しみに来ただけなので」

「私もそろそろパラソルに帰ろうと思ってたからいいや」

 そう言いながらゆっくりと手を引いた。

「ふふ、そっか、それじゃあまた、秘書さんも気が向いたら遊びに来てくださいね~♪」

 そうして、どうにか暴発することなくその場は収められたのだった。

 これで一安心、そうセイガは思ったのだが……

「あ、ちなみにそこの3人!」

 ユメカが指差す方向、そこには店主、ハリュウ、Jが並んで隠れていた。

「こそこそついて来てコンテストの続きをしてるのは分かってるんだからねっ……ふふふ、どうしてくれようか?」

 結果、3人はユメカにこってり絞られたのだった。

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