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第51話

 そんな、ちょっと曇っていたセイガの心も明るく照らすような、爽やかな晴天が目の前に広がっている。

 何処までも青い海、風渡る白い砂浜、遠く海上には、大きく立派な社が鎮座する。

 ここは百龍島随一の観光地、白妙(しろたえ)の浜だ。

 太陽の光が心地よい暑さでセイガ達に注がれている。

「う~~~~み~~~~~だ~~~~!」

 ハリュウが大声で叫ぶ、今ここには着替えを終えた男性陣が集まっている。

 それだけでも7名、今回は最初から上野下野も同行していた。

「まあ、儂も美男子枠じゃからのう」

 そんな店主は長い銀髪を紐でまとめ、水着は白と黒の縞模様が袖や膝上まである所謂シマウマ水着を着用している。

 セイガは赤いオーソドックスな海パン、ハリュウは迷彩柄の海パン、エンデルクは黒い海パンに赤い腰巻をつけている。

 変わっているのはJの金色の下半身全体を包んだタイツのような水着と、テヌートの執事服のような水着だろう。

 それから

「なんでっ俺も参加しなきゃいけないんだよっ!」

 流れでラザンも今回連れてこられていた。

 泳ぐ気が無いのかTシャツと黒ズボン姿である。

「まあまあ、ユメカさんもこの2日はライブのコトは忘れるようじゃし、何よりもこの天国のようなイベントに参加しないなんて、人生の損失じゃよ?」

 店主の言う通り、男子としてこの機会を逃すのはとても惜しいだろう。

 その点はラザンも分かっているのか、文句を言いながらもそわそわしていた。

「オレ達、準備はバッチリですもんね☆」

「そうですとも」

 この短期間で仲良くなったらしいハリュウとJも店主と並びながら談笑する。

「くだらんな」

 エンデルクはテヌートの持つ日傘の下で両手を組んでいる。

「ははは、そう言わずにエンデルク様も楽しみましょうよ、ホラ、そろそろ女性陣が着替え終わる頃ですよ?」

 テヌートが空いた方の手で今回利用した海の家の方を指差す。

 ここまでの荷物もホテルに着く前だったのでここに預けている。

 そして今現在更衣室では女性陣が準備中なのだ。

 ……何となく、そわそわする。

「先に日陰でも作った方がいいだろうか?」

 ビーチに建てられた沢山のパラソルを眺めながらセイガが口ごちる。

「ああ、それは大丈夫、海の家を使用した時点であそこのパラソルの幾つかはオレ達が使っていいようになってるからさ」

 ハリュウの言う通り、既に準備してもらっているのだった。

「それに、疲れたらあの建屋に戻ればいいのだろう?」

 少しだけ海からは遠ざかるが、食事や休養は海の家でも可能だ。

 指差しながらそう告げるエンデルクは既に離脱する気満々のようだった。

「そうですね」

 セイガが頷いたその時、件の海の家から出てくる人影が見えた。

「よし! いよいよだ!」

 ハリュウが叫ぶと同時に上野下野、ハリュウ、Jの3人の前には額窓が現れた。

 それは……



「第1回!最強水着コンテスト☆ イン サウスビーチ~~!」

『わ~~~~♪』

 ハリュウの掛け声と共に何故か周囲から拍手と歓声がが巻き起こる。

 突然始まったこの展開に、セイガはついてこれなかった。 

「良く分かっていないセイガや読者の皆さんのためにオレから説明しましょう、これはこの3日間の小旅行の間、誰が一番素晴らしい水着を身に着けていたのかを競う大会です! 採点はオレ、ハリュウと」

「審査委員長の儂、上野下野と」

「シックストからの刺客、Jが行います」

 再び砂浜に歓声が湧く、どうやらこの企画はセイガも知らない間に多くの人達が関わっているようだった。

「採点は審査員ひとりにつき10点満点、途中変更も可能です、さらに最終日にはそれまでにオーディエンスから集めた投票も最大10点として加えられます、そうして最終的に最も多くの得点を獲得した水着が優勝となります!」

 ……

「……水着が?」

 セイガの素朴な疑問にハリュウが笑顔で答える。

「そう、『水着』が讃えられるんだよ、採点や投票はあくまで水着に対するものってコトになってるワケ、これならば一応人権には配慮してるって言えるだろ?」

 そう言ってハリュウが胸を張る。

「……そうなのか?」

「詭弁だな」

 セイガ達の視線は冷たい。

「まあまあ、一応女性陣にも了承は貰ったんだよ?」

 店主が苦笑しながら前に出る。

「本当に!?」

 それもセイガには初耳だ。

「ええと……凄く怒られたけど、何とか許して貰ったわい」

 一体それまでに何があったのかセイガには知る由も無かったが、おそらく紆余曲折だったのだろう、ハリュウ達3人の顔には苦労の汗が見えていた。

「さあ! 一番最初に現れるのは……おっと、瑠沙ちゃんだぁ!」

 ハリュウの声を受け周囲の視線が瑠沙に注がれた。

「みんな、おまたせ☆」

 瑠沙は青白いマリンセーラー風のセパレートタイプの水着だった。

 髪はツインテールにして、うさぎのつけ耳は健在だ。

「可愛い…」

 ついセイガもそう口にしてしまうほど、可愛らしい姿だ。

 胸の部分はリボンをあしらっているが大きな隆起が見て取れる。

「評価はこちら!」

 ハリュウの声と共に審査員3人の額窓に得点とコメントが表示された。


上:7点、ルーサーの可愛さに全振りした点は高評価

ハ:4点、可愛いけれど、もうちょっとセクシーさも欲しかった

J:7点、全体的なバランスが秀逸、ただちょっと安易かも

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