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第12話

「さあ、こちらは挨拶したんだから、お待ちかねの第4リージョンの案内人さん達にも自己紹介をして欲しいわね♪」

 最初に学園長から、式辞と紹介があったのだが、それだけでは不満とばかりに海里がセイガをみつめた。

 どうやら最初からセイガを認識していたらしい。

 スターブレイカーである自分を要求してきたのだから、きっと前から情報は得ていたのだろう。

 セイガが一息つくと前に出る。

「『聖河・ラムル』です、この度は自分をご指名とのことで嬉しく思っています」

 そのまま親愛の意を表して手を出す。

 海里も握手に応じるが……思ったよりも強い力でセイガの手を握ってきた。

「案内人として、全力を尽くしますので、どうかよろしくお願いします」

 驚きつつも、セイガは顔には出さずに握手を続ける。

 周囲から拍手が鳴る中、海里が挑戦的な瞳を向け続けていた。

(やはり、観光以外にも何か理由があるらしい)

 セイガは油断なく、手を離した。

 その後はユメカ、ハリュウ、メイとそれぞれが自己紹介をした。

 そのため、自然とセイガ達4人と海里達4人が向かい合う形となる。

「さて、それじゃあ……みんな、どうするぅ?」

 海里が不意に、仲間たちに微笑みかける、それはまるで何か悪戯をする前のような、愉しみを隠すような表情だった。

 最初に口を開いたのは瑠沙だ。

「私はセイガくんがいいな☆ やっぱり一番カッコいいもん」

 そう言いながら瑠沙がセイガの目の前に来る、すると身長差からどうしても見上げるような姿勢になる、どうやら瑠沙はユメカやメイよりも背が低いらしい。

 近くで見ると、より可愛さが際立ち、しかも想像以上にたわわな胸元がちらりと見えてしまい。

 セイガは恥ずかしさで顔が赤くなるのを感じた。

「えへへ、セイガくん……優しくしてね♪」

 照れながら両手を口元で合わせて微笑む瑠沙、男を狙い落すような仕草だ。

「それじゃあ、フランはハリュウだね☆」

 フランが不意にハリュウの手を取った。

「え?え? おいおいこれって?」

 ハリュウの口元が期待に緩む。

 部下の情けない姿にサラが苦々しい表情を浮かべるが、それにも気付いて無いようだった。

「ま、この流れは仕方ないですな、それではどうしますか?姐さん」

 残った海里とJが視線を合わせる。

「悪いけど、ここは私に譲ってよ、今回のリーダーなんだしさ」

「…それも仕方ないですな」

 話ががついたようで、すごすごとJは後ろに下がる。

 海里は真っ直ぐに、ユメカの前に立った。

 何となく雰囲気を感じてユメカが畏まる。

「最初から決めてました!よろしくお願いしまっす!」

 海里が右手を前に差し出す、ユメカはおずおずとその手を握り返す。

「ふふ…ええと、…ん! よろしく、ね?」

 おそらくあまりに強く手を握られたのだろう、ユメカの表情が一瞬驚きに染まっていた。

「ありがとうっ♪」

 海里はひとしきり手をぶんぶんと振ると、ようやく手を離した。

「ワガハイはメイちゃんですか、まあ、こういう初心(うぶ)な少女というのもたまには良いかもしれませんね……ふふふのふっ」

 メイは、ただならぬ予感がして、怯えながらJを見上げていた。

「なんか……良くない流れを感じるんですけど」

「ええと……これは何の意味があるのですか?」

 代表して、セイガが海里へと問い質す。

「あ、言ってなかったっけ?」

 海里は笑いを(こら)えるような表情でとんでもないことを口にした。

「今回、案内役を『4人』にしたのにはちゃんと理由があってね、そーれーはー…私達4人の性的なパートナーになって貰うためだったのだ!!」

 一瞬、セイガ達は訳が分からず呆然としていたが…

『ええええ!?』

 同時に叫んだ。

「性的なって……え?でも海里さんのお相手は私って?」

 ユメカが混乱している。

「あ、大丈夫、私……両刀だから☆」

 頬を赤らめながら海里がユメカに熱い視線を送る。

「はわわわわ」

 ユメカはさらに混乱してしまった。

「やだ! 絶対ヤダよぅ!」

 メイが泣きそうな顔でセイガの後ろに隠れた。

「そこまで嫌われるとはワガハイ悲しいですな」

「おじさんには悪いけれどっ、だってボクはまだ……」

「大丈夫、痛くないように致しますぞ?」

「そうじゃなくて!」

「あらら、メイには悪いけど、オレは別に問題無いなぁ?」

 絶望的な表情のメイを尻目にハリュウは喜びながらフランの手を握る。

「ホントに? フラン……嬉しくて興奮してきちゃった♪」

 その時、ハリュウは異変に気付く。

 フランのミニスカート姿、それはとても似合ってはいたが、何やらその下で何かが動いているというか……とんでもなく大きく固い何かの気配がありありと見え始めたのだ。

「……もしかして?」

「うん、フランにいっぱい愛されてね♪」

 その手の力は異様に強く、ハリュウにも振り解けなかった。

 そんな中、セイガの腕にこっそり瑠沙がしなだれかかる。

「安心して♪ルゥはちゃんと女の子だからね☆……ぽっ」

 こうして、色々な問題を残して、セイガ達と海里達の邂逅は終わった。

 果たして、セイガ達に安息の日は来るのだろうか?

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