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諏訪見町のわんこたち、時々ねこ  作者: 竹 美津
わんこやにゃんこ達のお話:本編
22/24

那緒は三日月に笑う2


今夜も水飲み場、三日月。

集会場で報告会。

ワタクシ那緒は手枕で、ベンチでユルラリ、ふさふさの自慢のお尻尾をゆらしていたの。


魚屋の情報通、真綾が、ニシシシ、笑う。笑える。

「高瀬の司んち、ノラが行ったよ。」

沢山、行った。


儚げな雌。大きくなりかけな、少女猫。お水をちょうだいな、と窺って。

あどけない雄。少年猫。ほっぺに傷して、痛いの、と。

仔っこの3匹だまだま、遊びに来たの、え、おうち?ワカンナイ。マイゴー。


高瀬の司と智久は、まずチョイと様子見に行ってみたい冒険好きの仔っこ達、何やかやと、軒先に来たのを。


お水?はいはい、熱中症も怖いからね。喉が渇いたら遠慮しないで、いつでも飲みに来てね。

あれれ、ほっぺを枝で引っ掻いたの?消毒してばんそこ貼ってあげる。

おやおや、3匹猫ちゃん。お母さんとはぐれちゃったの?遊びに?智久、遊んでおやり。湯屋に行って、獣湯の情報ユーヤちゃんに聞いてくるね。お母さん来るから、いい子して待ってるんだよ。


司は智久のいいお父さん。

紳士で優しい。優しっ仔の智久は、司に似た。広丸の千代子に似ずに。

ワタクシ、益々好ましく思うわ。


真綾は続ける。

「ノラっ仔がひっきりなしに行っちゃあさ。今度は母さん猫、お礼に行く。マアヤも行ったぜ。ノラ達優しくしてくれて、あんがと!って。」

豪華な、お刺身パックをぶら下げて。


「まあ真綾。悪かったわネ。」

「ううん、良いサ。ウチのオヤジ、マアヤのニャゴニャゴ話聞いて、猫が世話になってるんじゃあな!ってサ。」

持っていきな、ってとびっきりのを捌いてくれた。


それから飼いも行くようになって。

ご主人に言って、なんかのお裾分けを。水ようかん。夏みかん。おまんじゅう手作りしたから。おさかな、頭がとれちゃったやつ。


司は、ありがとう、ってお茶菓子もてなし、智久は遊び懐かれ、ゴロゴロニャンに寛いで、いつしか高瀬は猫のたむろす、陽だまり場に。


「あそこの縁側、よき。」

「なぁ〜お。なかなかよき。」


お家も古くて、庭から集まりやすい縁側、風もいい。仔っ子達、かくれんぼに鬼ごっこ。大人猫はお茶のみ司とまったりこ。


「司は、ほんやく、ってのやってる。ずっと家いる。」

もちろん猫は、仕事の邪魔はする。

するけど、大騒ぎしないから。

陽だまり場での喧嘩は、御法度だもの。


藤十郎が、腕組み真綾にふんふんと。

「で、司はどの猫がもらった?」

「うんにゃ。まだ、愛し愛しの我が猫っこ、ないってさ。」


ノラ達、飼いの産まれ仔、フリーな猫。

雌雄、みんな、フンフンと、匂いを嗅いで擦り付けて。

でも、まだ、あぁ〜んの、うっう〜んの、好き好きパートナーは、ないのだと。


「諏訪見の猫、ほとんど行った。」

「そっか。パートナーは、無理か。」

ムゥ。

猫達は、むむ〜ん、と真面目にぎゃふんと千代子を言わせるべく、さて、と耳寄せお尻尾フリフリ考える。


「まだよ。」


ん? と皆、那緒を見たわ。

まだよ、まだなのよ。


「まだ、那緒、行ってない。」

司の所に。


ニャゴニャゴ、ニャーオ!

「ナオのボス、行くか。」

ニシャ、藤十郎が笑うわ。

「行くわ。」


「ナオのボス、司と愛し、なったらメチャオモシロだな!」

「ワカンナイ。愛しならなくても、住もうか。」

ボスが住んだら、猫達の乗っ取りは完璧。司も嫌がらなそう。智久も嬉しい。猫も、嬉しい。


ベンチから、ストンと降りて。

三日月背負ってニンマリ笑う。

猫の勘ってヤツ。ビリビリ鼻先、ひんやり冷たい夜風に、ひくひく伝わる。きっと、そう、待っている。


ワタクシの求める何かが。





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