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諏訪見町のわんこたち、時々ねこ  作者: 竹 美津
わんこやにゃんこ達のお話:本編
20/24

藤十郎おねえさんは仔っこを従える2


白猫チョコとパートナーなのは、古田中裕月、小学生だけどなかなか頼り甲斐のあるやつだって。

魚屋の看板猫、イナセナ真綾まあやが集会で言ってたナ。


ランボーの子は、あれだ。

智久ってえと、高瀬の智久だな。

トウジュウローは諏訪見町の全員を覚えてるわっきゃないけど、猫に関わりが深い子なら覚えてる。

高瀬の智久、そのお母さん。

広丸千代子。犬、猫、嫌いなんだ。

知ってる、トウジュウローは素敵だからさ。キレイね若いね羨ましいねで、ムキャー!頭かきかき乱れ髪、他の猫、犬にもアタッテンダ。


「何だよ•••イチャイチャしてさ!関係、ない•••。」

関係、ないって。


グスッ、て泣くなら手を出すんじゃない。智久、しょうがないなぁ。

チョコも裕月も、えっ、てなってるじゃん。


くいくい、キハチローの袖。引っ張ったトウジュウローに、分かってるよの笑み。だよね、これだってご近所の平和ってやつ。パートナーっての、ツーカーだもん。

仔っこが泣いたら、警察猫、トウジュウローの出番じゃないか。


「ナォ。」


「わっ!何だよ、ね、ねこ!?」

智久の身体にスリスリ。にゃーん、うぁーん、なーご。ザラリとほっぺの涙を舐めたった。

うひ、と固くなって口をムニムニ、恥ずかしいのか。可愛い仔っこだねー。

「な、舐める、な!」

「なめるー。トウジュウロー、だ。」

ナオン、と後ろから抱きついたった。


「トウジュウローおねえさん!」

チョコが、ホッとした顔。優しんだ。引っ掻きしたけど、智久が泣いたは、ヤナンダヨナ。裕月とお手て握りっこ、仲良しっこは困ってた。


「智久んちの千代子、仔っこにツメタイ。魚屋、真綾言ってた。」

「あーう。」


なぁ〜ご。

チョコは頷いた。だからだ。

「智久、千代子に懐きたいダヨナぁ。」

仔っこだもの。お母さん好きよ。

お母さんが猫犬ダメ言うだから、智久も言ったら、だよねーって仲良しできるじゃん。


「だからチョコと裕月と、イジワル言った?」

チョコ、白いお耳をハタッとさせた。

智久は、グシュン、むぐぐぐ、と黙ったな。

ウルサイとかゆわないとこ、素直。

かわゆい、気持ちがぐるぐるの、困った仔っこなんだ。




「•••お母さん、家にあんまり、帰って来ないんだ。」

帰って来ない。裕月が、んむ、と難しい顔。

「あ、千代子お母さん、高瀬じゃないんだね•••。」

気付いたね。


男の仔っこで隣っこ。トウジュウローは智久を抱っこだよ。サミシの仔は、あっためてやんないと。三毛のお尻尾をくるりとパタリ、お腹にポンポンしてやった。

チョコと裕月と、智久とトウジュウローと、2人と2匹は海、堤防、でっかいとげっこ、イガイガどん、な消波ブロック前に、腰掛け、足をぶうらりしてた。

キハチロー?

危なくないよに、後ろで見てるよ。

釣りのおっちゃんも、仔っこの面倒みてんのかぁトウジュウローちゃん、って手を振ってきた。


ウン、と智久。

「お母さん、人の女の人だからさ•••。いっぱい色々、結婚してくれってゆわれてたから、広丸のお家が本家なんだって。すっごくデッカい家で、大切にされてんだ。」

そっかー、って仔っこ達が頷く。

「ウチには、時々、犬と猫の文句言いにしか、来ない。僕のことなんか、ほんとは•••。」


分かってたんだ。

可愛がられてないって。

智久は、できちゃった仔だ。

猫も犬も、できたら可愛がるのが普通だけど、千代子はそんなつもりがしてなかった。真綾情報。

広丸のダンナ、浮気でよそに智久ができちゃったしても、人の雌は大事な雌だ、って我慢してたらしいけど。


「智久、トウジュウローが教えてやる。広丸のお家のダンナ、猫と愛し愛されだぞ。」

だからか、と小学生でも分かるんだ。


「お母さん、僕に、猫や犬とパートナーになるな、って。人のソンゲンを捨てるな、って。広丸のお家の子は、皆、犬とか猫とパートナーで、お母さんをナイガシロにするんだ、って。」

アンタだけは私を裏切らないでよ、って言う。


「でも、藤十郎みたいに、触ってくれないんだ•••。手を繋いで欲しかった。でも、手に触るとパシッて、叩かれる。」


チョコと裕月みたいに。

ちろり、今も繋いでる仲良しを、智久が見たのが。トウジュウローには良く分かった。

おおおおお。

そうなあ。だよなぁ。さみしよなあ。

ギュッとトウジュウローは、智久の手を握ってやった。

「智久。トウジュウローは、キハチローの。でもさ。お姉さんだ。仔っこはかわい。智久、かわい。」


トウジュウローが、猫っこが、智久を。

「集会で通しとく。猫は、なーごの、ゴロニャンに、智久をお胸に抱いてやろ。」

いつでも、パトロールのとき、かわゆいしてやろ。智久が、心寄せどうにも離れられない、パートナーができるまで、できても、お姉さんおばさんなんてのぁ、面倒な顔したって仔っこを構っちゃうんだからさ。


雄だって、気にかけてるんだ。

智久が、千代子がいない時、怪我したノラにお菓子くれたりしたの、知ってるんだから。


「チョコも猫っこ。智久はトウジュウローが預かった。意地悪ないなら、なかよし、いいか?」

「ウン!トウジュウローおねえさん!」


「僕も、友達だよ。」

裕月が言ったから。

ころり。ぐちゃぐちゃなココロ、智久のほっぺに、しょっぱいのがこぼれたんだ。




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