藤十郎おねえさんは仔っこを従える1
警察の派出所で、お胸を机にのっけて、ふぁ〜あ。キハチローはこれが尊い香箱座りってゆんだけど、トウジュウローはお胸が重いんだわよ。
そんなに、乳飲みっこいるほど、大っきくないわよ!ふつうよ!
でも、乗っけるとラクチンなの。
おんなじ派出所の、人の警察官、来本の和成なんかは、なんかポッポして、チラリと見ないで見てるけど、何なのか。
お胸はお胸よ。トウジュウローは雌なんだから、当たり前にあるだわよ。雄って人も犬も猫も、仕方ないわね。
来本の楽太郎みたく、ニコニコしてれば良いのにね。楽太郎も警察官よ。従兄弟なんですって。似てるにおいだけど、似てないの。絶対的に違うのよ。そういうとこも、理由なんかしら。
楽太郎は、犬に好かれて懐かれて。和成は、犬担だけどパートナーのリツに嫌われた。
だってねえ。
猫のトウジュウローだって分かるわよ。和成、犬が嫌いな匂いがしてるもの。
お胸を見られるから、言ってるんじゃないわよ?トウジュウローのお胸は素敵だから、見るくらい良いわよ。ピン!と張って歩いちゃう。
だって、強いって、そゆことでしょう。猫だからって、猫背じゃないわ。堂々、町歩き。
これでも頼り頼られお姉さん猫よ。
トウジュウローは警察猫なの。ふぅふん。
パートナーはキハチロー。
とっても優しくて、ちょっと頼りなくて、猫っ娘ごころをくすぐるんだから。面倒見て〜、そして見てあげたくなっちゃうンだ。
トウジュウローに任せとけ。今日もパトロール行くのか?まだか?
諏訪見町は、まあまあ平和な町だけど、ノラも普通にいるし、裏ペット捕獲業者だって、いないこともない。細かいイザコザ、どこでもあるわ。
猫っこだって、好きにしてたいんだから、飼いノラ区別なく、そこらにいるわよね。トウジュウローは、どっちもお話を聞いてやるし、危なっかしい仔は守ってやるわよ。
犬みたく群れないけど、繋がりはある。皆、トウジュウローが聞けば、色々教えてくれるわよ。
危険な仕事場。
パートナーじゃない、嫌いなヤツの無理強い。
喧嘩や恋の駆け引き。
守ってやんなきゃな新しい仔っこのこと。
それから、猫嫌いな人間の家。
猫好きな、親切、良い人の家。
犬との関わり合い。
集会、おしゃべり、日向ぼっこ。
一目置かれてなくちゃ、やってけない。ボスってほどもないのよ。お姉さんよ。
バンと胸張り、だけどゆうるり、猫だもの、気まま気まぐれ、貫禄充分、お昼寝コミで、好きにやるわよ。
それが警察猫のお仕事よ。
「藤十郎、パトロール行こうか。和成巡査、あとお願いします。」
「ナぉ。行く。」
立ち上がってキハチローの後ろに横に、しんなりしゃなり、付いて歩けば和成がちろーんと羨みの目。
「鬼八郎巡査。君は良いよね、猫担で。藤十郎、しっかりしてるしすごく良いパートナーだしさ、俺だってそんな風に、なーごって感じでまとわりつかれたい!俺って猫担になったらやってけないかな。ねぇ、犬じゃなくて、猫ならいけないかな!藤十郎、どう、俺!?」
和成、めんどくさ。
すんっ、と警察官の制服の、肩のとこを嗅いで。
ニシャ!と笑ったった。
「ねぇその笑い、良しなの悪しなの、どっちなのオオオオ!?」
「和成巡査、えーと藤十郎に聞いた所でどうなのよ。派出所の留守、よろしくお願いしますね。」
イッチキマス、とキハチローとトウジュウローは、いつもの道をのんびり行くのさ。
「猫と2人でなんて、へんなの、ヘーンなの!!学校に関係ない猫の女の子連れてくんなよな!」
「ナォ!!」
ドン!と突っかかりの胸押し。
「やめてよ、チョコに乱暴しないで!」
あら、揉めてるわ。
がっこの仔っこ。ランドセルがこがこ。猫のチョコは白い毛なみの可愛い仔。あ、根性あるな、ドンされても、ギュッと睨んでニャゴニャゴ引っ掻きだぞ。
「や、やめろお!下等なケモノめ!猫とパートナーなんて、人のソンゲンを放棄なんだぞ!お母さんが言ってたもん!」
「だまれ!ニャオ!ヴルル!」
「智久くんは好きにしたら良いじゃん!僕がチョコと仲良しだって、僕とチョコの勝手だろ!?」
あ、泣きそう、ランボーの子。




