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諏訪見町のわんこたち、時々ねこ  作者: 竹 美津
わんこやにゃんこ達のお話:本編
14/24

強い犬、負けない犬、レツ


「ああ、どうしてお前はそうなんだ?育てるの失敗した•••。」


ってレツは失敗作か。なにおう!むかつく!レツのどこが!かっこよくて強い犬なのに!


いつも斉佑サイスケはため息。レツ見てため息。なんでよ!レツの牙がちがち、不満にぐるぐる、不安にやきもき、もき〜っ!とタオルを噛みちぎる。こらあ!と斉佑また怒る。


斉佑は強い。強くてかっこよい。どーんと大きい胸に寄りかかって、寝たらすうくう、うっとりする。

いつだって、斉佑はお客さんにも外出ていても、「すごいね」ってゆわれてる。

腕が太いね。背中おっきいね。力つよいね。


自慢でしょ。レツの人すごいでしょ。嬉しくなって、そうでしょって、どきどきぴょんぴょこ、飛びつきたくなっちゃう。


でもそうすると皆、笑う。くすくす。うふふ。

可愛いですね、ってそんなのお世辞ってやつ。それにレツは、可愛い可愛いの女の子にはなりたくない。こどもとかいんない。舐めるし。

斉佑と、ぱんって胸張って一緒に一杯、どこにでも行きたいんだから。


そういう時って挑むなんでしょ。誰にだって負けない。レツは勇気のある犬だ。尻尾しなしなバックな体勢、そんなで隣にいられるか。

こないだやったハイクロか。くらっとしたけど、いい勝負だった。負けてなかった。

がりっと顔に深い傷、痛くて目の中、真っ赤でも、レツの中身はごうごうと、上を目指して走ってる。

皆が笑えば、レツはますます元気に勇気、舐められてなんかやんないぞ!


「ああっだからそんなちっさい子にまで唸るなって、こら!レツ!」

「やだ!お前レツの上か!下か!やるか!やるんか!」

がるるるる。

レツの上なら戦うぞ。下ならレツが守ってやる!さあどっちだ!

「すいませんすいませんっほらレツ!」

「だいじょぶですよ。ホシこっち。」

「あん。」


「やだあっどっちかどっち、どっちかだあああ!」


レツの散歩はいつも半分、斉佑の肩にお腹。ハズカシクってうるうるがぶがぶ。噛んでも斉佑、撫でるばっかり。

鼻の中がメンタムの匂いみたいにくしっとなるし、雨の日みたいな景色に見える。


あいつまだこどもだ。なのにレツ見て平気で、怖がんなかった。でっかくなりそな顔してる。ちょびっと小さいレツだから、今のうち。がぶっとやるのが肝心だ。


「明日は散歩道、変えるからな。」

「えっ!?」


会えない!がぶっとやれないよ!!


「お前••••••可愛いんだから、お嬢さんしろよ。抜け出しもダメだからな?」

う〜ぐるる。

撫でたって駄目だ!斉佑ほんとはレツ嫌いなんじゃ、って思う。


でも斉佑はレツのだから!駄目ったってまた、ガツンとガチンと戦ってやるよ!見てればいいよ!


「お前は雄になる気か•••。」


当たり前のまんまんだ。勇気ある犬レツ。戦うよ!


「勘弁してくれ•••。」


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