強い犬、負けない犬、レツ
「ああ、どうしてお前はそうなんだ?育てるの失敗した•••。」
ってレツは失敗作か。なにおう!むかつく!レツのどこが!かっこよくて強い犬なのに!
いつも斉佑はため息。レツ見てため息。なんでよ!レツの牙がちがち、不満にぐるぐる、不安にやきもき、もき〜っ!とタオルを噛みちぎる。こらあ!と斉佑また怒る。
斉佑は強い。強くてかっこよい。どーんと大きい胸に寄りかかって、寝たらすうくう、うっとりする。
いつだって、斉佑はお客さんにも外出ていても、「すごいね」ってゆわれてる。
腕が太いね。背中おっきいね。力つよいね。
自慢でしょ。レツの人すごいでしょ。嬉しくなって、そうでしょって、どきどきぴょんぴょこ、飛びつきたくなっちゃう。
でもそうすると皆、笑う。くすくす。うふふ。
可愛いですね、ってそんなのお世辞ってやつ。それにレツは、可愛い可愛いの女の子にはなりたくない。こどもとかいんない。舐めるし。
斉佑と、ぱんって胸張って一緒に一杯、どこにでも行きたいんだから。
そういう時って挑むなんでしょ。誰にだって負けない。レツは勇気のある犬だ。尻尾しなしなバックな体勢、そんなで隣にいられるか。
こないだやったハイクロか。くらっとしたけど、いい勝負だった。負けてなかった。
がりっと顔に深い傷、痛くて目の中、真っ赤でも、レツの中身はごうごうと、上を目指して走ってる。
皆が笑えば、レツはますます元気に勇気、舐められてなんかやんないぞ!
「ああっだからそんなちっさい子にまで唸るなって、こら!レツ!」
「やだ!お前レツの上か!下か!やるか!やるんか!」
がるるるる。
レツの上なら戦うぞ。下ならレツが守ってやる!さあどっちだ!
「すいませんすいませんっほらレツ!」
「だいじょぶですよ。ホシこっち。」
「あん。」
「やだあっどっちかどっち、どっちかだあああ!」
レツの散歩はいつも半分、斉佑の肩にお腹。ハズカシクってうるうるがぶがぶ。噛んでも斉佑、撫でるばっかり。
鼻の中がメンタムの匂いみたいにくしっとなるし、雨の日みたいな景色に見える。
あいつまだこどもだ。なのにレツ見て平気で、怖がんなかった。でっかくなりそな顔してる。ちょびっと小さいレツだから、今のうち。がぶっとやるのが肝心だ。
「明日は散歩道、変えるからな。」
「えっ!?」
会えない!がぶっとやれないよ!!
「お前••••••可愛いんだから、お嬢さんしろよ。抜け出しもダメだからな?」
う〜ぐるる。
撫でたって駄目だ!斉佑ほんとはレツ嫌いなんじゃ、って思う。
でも斉佑はレツのだから!駄目ったってまた、ガツンとガチンと戦ってやるよ!見てればいいよ!
「お前は雄になる気か•••。」
当たり前のまんまんだ。勇気ある犬レツ。戦うよ!
「勘弁してくれ•••。」




