1.転生
あれは先週の火曜日くらいだろうか。なんとなく、ほんとになんとなくで散歩してたら上から降ってきた鉄骨に直撃して死んだ。まあ俺みたいな彼女いない歴=年齢のクソニートがきえたところで誰も悲しんでくれないんだが。そして鉄骨に直撃してから少したったころ、俺は目を覚ました。
「どこだ?ここ……?」
自然が豊かな森の中だった。見たことのない植物や動物がいる。
「キシャーー!!!」
「なんだ!?」
目の前には複数のいかにもゴブリンというやつがいた。
「えっ〜……はじめまして?」
とりあえず挨拶をしてみた。
「キシャ〜〜!!」
ゴブリンは怒ってしまった。まあテンプレである。そしてそのままよく分からない奇声を発しながら遅いかかってきた。
「うん…終わったな。」
俺の転生人生は速攻で幕を閉じるのであった。
「あれ…?」
なぜか生きている。まさか運良く殺されなかったというのだろうか。いやそれはありえない。心臓を剣で貫かれたし何回も木の棒で殴られた。じゃあ何で俺は生きている?
『スキルコピー&ペーストが発動しました』
そのような機械音声が俺の頭の中で流れる。
「コピ&ペーストってあのコピペ?」
そうまさしくコピーしたものをほかの場所に複製させることができるコピペである。
「でもたしかにそれなら俺が生きているのにも納得がいく。いや正確には一回死んだのか……。」
俺の考察でしかないが経緯はこうだ。まず俺が転生した瞬間、あのときに俺の体はコピーされた。そしてゴブリンに俺は殺された。恐らく死んだあとに発動する系の能力なのだろう。そして俺の死亡が確定したあと、俺が転生した瞬間のコピー情報をもとにこの場所に俺のコピーが複製された。
「つまり今の俺は俺であって俺ではないわけか……。」
なんかめんどくさいな。だが、間違いなく強い能力ではある。実質的に不死身のような状態になれるからだ。
「とりあえず街を目指すか……」
そうして俺はその森を脱出するために歩み始めたのだった。