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人造勇者の理想郷  作者: 鈴花雪嶺
第一章 戦争での出会い
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世界はそんなに甘くない

 ドゴォォォォォォン!


 「グゥッ!」


 響き渡る轟音と苦悶に歪む声。


 眼の前には異界の化け物。後ろには少女。引くに引けない。引く気は毛頭ない。


 眼の前の化け物は殴った俺が無事だとわかったのかもう片方の手を振り上げた。今度は俺もその拳に対抗するように拳を構える。


 直後、化け物が拳を振り下ろしてくる。それを確認した俺は対抗するように化物の拳に自分の拳を打ち付ける。


 ズガァァァァァン!という大きな音とともに衝撃波が辺りに響き渡る。俺が生身でこんな化け物と肉弾戦を繰り広げられているのは、改造で俺の体が強化されているからだ。


 俺の体には、皮膚の下にそこらの鉄より遥かに硬いあの男たちが開発した金属があり、骨もその金属でできたものに変えられている。そのため、普通に痛みはあるが、防御力がとても高いのだ。


 ビリビリとした感覚が腕を伝う。だが、俺は渋い表情だった。


 俺の本気のパンチは衝撃波で数メートル先の標的に強く殴られたようなダメージを与えられるほど強力なはずなのに、眼の前の化け物には全く効いていない。


 俺は歯噛みしながら魔力銃を取り出して連続で発砲する。

 

 パンパァン!パンパンパァン!響き渡る炸裂音。魔界から召喚された魔物たちを一撃で葬ってきた魔法の弾丸が容赦なく眼前の化け物を襲う。だが…………。


 「なにぃ!無傷だとぉ!?」


 俺の表情に驚きと苛立ちの混じった表情が浮かんだ。強力な武器である魔力銃がまったく効かない。なら……。


 「これならどうだ!」


 ガキガキンッ!という金属音を響かせながら右手の手首のあたりから二つの爪のような形の刃が飛び出す。それに加えて高機動モードに入り生物の動体視力を超えた速さで連撃を与える。


 頼む!これでダメージが入らなかったらもう他に手が……。


 そんな俺の期待を嘲笑うかのように眼の前の化け物はかすり傷しか与えられない。少しでもダメージが入るなら倒すことはできなくもない……か?


 一瞬そんな考えが頭をよぎったが、すぐに考え直す。生き残っている人がいないとは限らない。そんな状況でこの化け物との戦いを長引かせたら被害が拡大するだけだ。それに、俺の後ろには女の子もいる。俺には全てを守る力はないかもしれないけど、せめて、俺の目の前では誰も死なせたくない!


 行動予測と高機動モードで相手の拳を避けつつ、数発手首の爪で攻撃を入れながら考える。


 こいつが今こうやって生きてるってことはさっきの二回の雷魔法を耐えきっていると言うことだ。あれは俺が今まで使った魔法で一番攻撃力の高い魔法だ。あれで無理なら魔法は諦めたほうかいいだろう。となると残る手段は……。


 俺は爪をしまうと一度化け物から距離を取る。そして、拳を握りしめ、足を引き、攻撃の構えを取る。さらに魔力が出る魔石(コアと呼んでいる)から出る魔力の流れる道……魔力回路をコアから直接拳につなげる。新しい魔力回路を一時的に増やし、拳に魔力が宿る。これで拳撃の威力が増すだろう。さらにその状態で身体能力を何倍にも跳ね上げる魔法をかける。


 これで準備は整った。できる限りのことはした。この一撃にすべてを賭ける!


 俺は高機動モードに入り、勢いよく地面を蹴って前に飛び出した!それと同時に足裏からジェット噴射のように魔法で風を噴射し、さらにスピードを上げる。さらに背中からも同じように風を噴射しスピードを上げる。


 ただでさえ迅い高機動モードに身体強化と風の推進力も合わさって一瞬で、まるで瞬間移動でもしたかのように距離を詰める。


 そのまま勢いを殺さずに引き絞った腕から拳撃を繰り出す。


 さらに、ダメ押しとばかりに肘からも風を噴射し推進力を高め、限界まで威力を高めた攻撃が化け物の腹に深々と突き刺さる。


 ズドッ!という鈍い音が響き、化け物の口から黒い霧と一緒に「グォッ!?」という声が漏れた。心なしか、声に焦りが含まれていた気がする。


 「フーッ、フーッ、フーッ、」


 俺は残心しながらフル回転させた頭を休めつつ、上がった息を整える。


 普通の生き物だったら腕が貫通していてもおかしくない威力の一撃。これで倒せなかったら本当にもう打つ手がない。


 そう思っていると、グラッと化け物がふらつき、倒れこむ。それを見た瞬間、思わずホッと安堵の息をついてしまう。


 ……が。


 「!?」


 行動予測に俺が倒れこみ、そのまま視界が暗くなる映像が見えた。これは本当にまずいやつだ。


 行動予測が逆算した攻撃の位置に振り返りつつ思い切り拳を叩き込む。


 「―――――ッ!」


 そこにはさっき倒れたはずの化け物の姿があった。

今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。

不定期投稿ですが、次回も読んでくださると嬉しいです。

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