柏木勇也の真実
家に戻った俺は、みんなを集めた。
「なんだ?ユウヤ君。話というのは」
「はい。本当は、もっと前に話すことなのですが、大事な話があります」
俺のいつもとは違う雰囲気を察してくれたのか、みんな真剣な表情で聞いてくれている。
俺はまだ俺のことを何も話していない。俺の力のこと、生まれのこと。これまでのこと……。ユエナとその家……それに魔界の機密情報まで教えられ、信頼のもとで共有された。その信頼に答えたい。信頼を信頼で返したい。
「これから話すことは信じなくても構いません。戯言と切って捨ててもいい。でも……聞いてほしいんです」
こんな話、信じろという方が難しい。でも、話したい。話すということに、意味があると思うから。
「俺は……」
「関係ない」
「え?」
「俺は……」
「関係ない」
「え?」
なぜか話し始めた途端ユエナが遮ってくる。
「あ、あの~、話させてもらえると助かるんですけど……」
「ユウヤが何と言おうと私の意志は変わらない」
「え、え~っと……」
そう言ってくれるのはうれしいんだけど、やっぱりこの話は聞いてもらったほうがいい気がする。
「それでもいいから聞いてほしいんだ」
前置きしてから話し出す。
「俺は……こことは違う世界、日本と呼ばれる異世界から召喚されました。理由は、体を改造して戦争の道具として利用すること。俺は……この世界の人間ではありません。体も普通とは違う……こんな俺と結婚するのは……その……」
嫌なんじゃないか。その言葉が出てこない。口にしたくない。ユエナは、今回は話を遮らなかった。
ユエナと出会ってまだ長いと言えるほどの時間を共有していないが、俺はもうユエナに惚れている。いつの間にか、大切な存在になっている。そんなユエナに、否定されたくない。もし結婚を断られたら、嫌だな……
目から涙が出そうになるのを必死でこらえる。
みんな口を開かない。重苦しい雰囲気が辺りを包む。
「ユウヤ……」
初めに口を開いたのはユエナだった。
「ユウヤは、私のことを守ってくれた。魔人だからってひどいことしないで助けてくれた。魔人のことを知ってからも変わらなかった。困ってる人をいつも助けてた。私のことを大切にしてくれた。そんなユウヤが……そんなユウヤだから、私は好きになったの。話してくれてありがとう。これからも一緒にいてくれますか?」
そう言ってにっこり笑うユエナ。それを見て、目から大粒の涙が次々と零れ落ちる。声を出して泣きながら、ユエナに抱き着く。情けない俺の頭を、ユエナは優しくなでてくれた。
「真偽がはっきりしないことなんてどうだっていい。私はすでに君を試して認めたつもりだ」
「アルったら……。ごめんなさいね?この人口下手だから。娘が信じた人を信じるって言ってるのよ。私も同じよ?これからよろしくね、ユウヤ君」
こんな俺を受け入れてくれる。
俺はこの世界に来て初めて自分の帰る家が出来たと感じた。
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次回も金曜日の18時に投稿します。




