新たな舞台へ
ユエナから予想の斜め上の発言が飛び出し、地下牢がプチパニックになった後、俺、ユエナ、魔人たちは一度場所を変えて話し合うことにした。ちなみに魔人たちに拒否権はない。
自分でも何を言っていたかわからないが、サムマジスの国王たちに何かよくわからないことを言った気がする。確か俺のやられた非人道的な実験をバラされたり国を滅ぼされたくなければこいつらを俺に任せろ、的なことだったはずだ。
そんなこんなで俺たちは今、ギルド島の森に来ている。
「それで……君が娘の婚約者とはどういうことかね」
「いやぁ~どういうことでしょう……」
そんなに詰めないでほしい。俺も初耳である。ユエナに視線を向けると……
「ごめんね……嫌だった?」
それはずるい。
このやり取りを見たユエナの父親の顔はどんどん険しくなっていく。なんか胃が痛い。
「あの~、皆さんはなんでこちらに?」
話題を逸らすわけではないが、気になっていたことを聞いてみる。
「ユエナが何らかの召喚魔法に巻き込まれてしまってな。奪還作戦の準備をしてこちらに乗り込んできたのだ」
愛されてるのか。さすがユエナだ。
「行動を起こす前に君に止められてしまったがね」
どうやら俺はあまり歓迎されていないらしい。
「お父さん。ユウヤは私を助けてくれたの。私がひどいことされそうになったらかばってくれたし、たくさん優しくしてくれた」
「そうなのか?しかしどこの誰とも知れない奴と……」
父親とは大変なものだ、と他人事のように考える。これも現実逃避かもしれない。
「と、とにかく一度戻りましょうよ。ユエナ、ユエナの家の近くを想像して」
「ん」
ユエナにアナライズをかけて想像していた景色を確認し、そこにつながるゲートを転移魔法で出現させた。
俺の出現させた転移門の先に魔界の景色が映し出される。
赤い空、荒れた土。世界全体が赤く見える。ここがユエナが過ごしていた場所……
家の数からみてここに住んでいる人数は五十人くらいだろうか。家はしっかりした石造りだが、規模としては街というよりは小さな集落といったかんじだ。奥には大きなお屋敷が見える。この集落のリーダー的な人の家だと一目でわかった。
俺の思考をあたりのざわつきが引き戻す。俺のとんでも魔法に周囲の魔人たちは信じられないといった様子だが、ユエナだけは誇らしそうだ。
このままでは収拾がつかないので、半ば無理やり魔人たちを魔界に送還する。俺とユエナは最後に転移門を通り、魔界へと足を踏み入れた。
さっき転移門からこちらの景色は見えていたが、やはり実際にその場に立って景色を見てみると感じ方が違う気がする。
転移門をとじて落ち着いて話ができる場所を探していると、こちらに気づいた魔界に待機していたであろう魔人たちが一斉にこちらに集まってきた。
「ユエナ!大丈夫だったかい?」
「心配したんだぜ?」
「またいっしょにあそぼうね、おねえちゃん!」
いろいろな年代のいろいろな人々がユエナを心配していた。こんなにたくさんの人に慕われているなんて、さすがユエナだな。
「みんな、積もる話もあるだろうが、今は親子でゆっくりと話させてはもらえないだろうか」
ユエナのお父さんの計らいで、俺、ユエナ、お父さんはユエナの家に向かうことになった。
どんなところなんだろう。女の子の家に行くなんて初めてだから緊張するな。
「着いたよ」
「え?ついたって……ここ?」
「うん。ここが、私の家」
マジか……
ユエナの家は、遠くに見えていた大きなお屋敷だった。
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