異世界に咲く大輪の花
俺はどんどん山道を登っていく。
やがて見えてくるのは見覚えがあるコンクリートのような材質でできた建物。
その中では二人の科学者が焦った様子で何やら作業をしていた。
「まずい、まずいぞ。あいつが自由になったら止められるものは誰もいない!真っ先に俺たちに復讐しに来るに決まってる!まずいまずいまずいまずい!」
「落ち着いてください先輩!」
「これが落ち着いていられるか!」
「ゴチャゴチャ言ってんじゃねェよクソ野郎共」
「「ヒッ!」」
ドゴォォン!!という轟音とともに建物の壁を蹴破りながら入った俺はドスの利いた声で言葉を発した。それに対し、思わず悲鳴が漏れてしまう科学者達。大の大人(男)二人が涙目で怯えた表情をしながら抱き合っている光景はなんとも言えなかった。
が、そんなことでは俺の怒りは収まらない。
「俺が壁を壊したときにお前らに当たらなかったのはァ!お前らが俺の右目にサーモグラフィーカメラを埋め込んでくれたからだしィ!今こうしてェ!お前らと会話出来てるのはァ!お前らが俺にすべての種族の言語理解プログラムをつけてくれたおかげだもんなァ!」
憎悪に満ちた笑顔を浮かべながら、怒りに身を任せながら、あたりの壁を殴り、破壊していく。男たちは恐怖で何も言えないようだった。それが、更に俺の怒りを増幅させていく。
なぜそんな表情をするのか。なぜ自分たちが被害者のような顔をするのか。なにより、なぜ、自分たちが改造した人間を化け物を見るような目で見るのか。
俺は、怒りに身を任せて辺りに絶望という名の破壊をもたらす。
「ぜェェェェえんぶ!お前らのおかげだアァ!だからお前らに憂さ晴らししてやる!破壊っていうお礼をなアァ!」
「ま、まて!やめ―――――ッ!」
似たような言葉を前に聞いた気がするが、気のせいだろう。白髪の男の言葉を無視して俺はアナライズでこの建物にある研究に関する物の場所を特定する。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!」
俺は叫んだ。この声と一緒に怒りも吹き飛ぶのではないかというくらいに。実際、少し楽になった。一気に冷静になり、もういいんじゃないかとさえ思ったが、何か仕返しをしないと気が済まなかったので、これからやることは変えない。
「爆ぜろおぉぉぉぉぉぉお!!」
イメージ補完のための詠唱の代わりに大声で叫び、アナライズで見つけた研究関係の物がある場所を重点的に、この建物全体を魔法で爆破した。ドカァァァアン!ドゴオォォォォオン!と連続して爆発音が鳴り響く。男たちが何かを言ったような気がしたが、爆発音に掻き消されて何も聞こえなかった。
しばらくすると、爆発が収まった。そこには瓦礫の山と化した研究所と俺、そして―――――二人の研究者の男がいた。
「な、なんで、生きて……」
白髪の男がポツリと呟いた。
「俺に張ったバリアをお前らにも張ってやったんだよ。研究に関係がある物を持ってなくてよかったな。持ってたら一緒に吹き飛ばしてたぜ。俺だって殺しはしたくない。憂さ晴らしもしたし行くわ。じゃあな」
それだけ言うと、俺はその場を後にした。男たちは何も言わなかった。いや、言えなかったのかもしれない。まあ、もともとあいつらの話なんて聞く気もなかったし関係ないが。
これは自己満足だ。復讐だ。でも俺がされたことに比べたらささやかなものだろう。
そうだ。いい忘れていた。こういう時に言うセリフがあるではないか。
「きたねえ花火だ」
少しだけ心が軽くなった気がした。
今回も読んでくださりありがとうございます。不定期投稿ですが、次回も読んでくださると嬉しいです。




