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人造勇者の理想郷  作者: 鈴花雪嶺
第三章 人造勇者の理想郷
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ユエナVS皇帝

 大会二日目、第一試合。ユエナ対皇帝。


 対格差は圧倒的。単純な力の差もわかりきっている。でも、ユエナならやってくれるのではないか、と考えてしまう。決勝戦で一緒に戦いたいな。


 「決勝で会おう」


 「?毎日会ってる」


 「そういうことじゃなくて、戦いに行く人への応援みたいな」


 「——!うん!私、頑張るね!」


 かわいい反応につい顔がにやけてしまう。


 本当はもしかしたら負けて痛い思いをしてしまうんじゃないかと思い、大会に出るのを止めたいけど、ユエナがやりたいと思うことなら止めたくないし、何よりもユエナの勝利を信じたい。


 試合が始まる直前。会場がざわつきだす。いや、その前からざわざわしていたが、不安が伝播するようにどよめきが大きくなっていく。どうせユエナが魔人だからだろう。くだらない。そんなくだらないことであんないい子を傷つけるなんてさせない。


 俺はユエナには気づかれないように魔人だからと差別するなという殺意の籠った念を会場全体に飛ばす。


 ざわめいていた観客たちは一瞬ビクッとした後に、誰かの視線に怯えるように静かになった。


 ユエナはこちらを見ると、少しムッとした表情になる。ユエナには本当に隠し事は出来ないな。というか、皇帝たちは特になんの反応もしなかったけど、あれが特別なだけなんだろうな。さすがは王族というべきか。民を人種で判断しないのはいいことだ。いや、それが当たり前だな。


 「そ、それでは、大会二日目、第一試合を開始します。両者構えて!それでは、始め!」


 開始を告げる掛け声と同時に皇帝が一気に距離を縮める。だが、ユエナは開始の合図の瞬間にバックステップで後ろに飛び、皇帝との距離を取って受け流しの動作をする時間を稼ぐとともに皇帝との距離を稼いで攻撃のダメージを軽減していた。


 距離を稼いだおかげで、ユエナは皇帝の初撃を受け流した。が、体勢を少し崩した。予想以上に皇帝の力が強く、受け流しきれなかったんだろう。だが、体勢が崩れているといっても少しだ。ユエナはそのまま反撃に出た。


 その場でくるりと回転し、勢いそのまま皇帝に斬りかかった。


 直後、カンッという音が響き、皇帝がユエナの攻撃を防いだ。


 「!?あいつ、なんて動きだ……」


 思わず声が出てしまう。皇帝はユエナが攻撃を受け流し、カウンターを仕様としているのを確認すると、体をくるりとひねり、大剣の後ろに隠れ、大剣を盾の代わりにして攻撃を防いだのだ。


 そのまま手首のスナップを効かせて皇帝は大剣を空へ跳ね上げつつ手を放す。ユエナはバックステップで大剣の跳ね上げを避けるが、皇帝は大剣が落ちてくるのを待たずに両拳を握ると一気にユエナに突っ込んでいった。


 「!?」


 ユエナは咄嗟に短剣をクロスさせて胸のあたりを守るが、それを見た皇帝は拳をユエナの腹に向けて思い切り突き出した。


 「カハッ!?」


 ユエナから苦しそうな声が漏れる。鳩尾にもろに入ったな。


 あんのクソ皇帝、かわいいユエナちゃんに何てことしてくれるんだ。一発ぶんなぐってやりたい。


 ユエナは治療班の魔法使いに治療してもらうと、落ち込んだ雰囲気でこちらに帰ってきた。


 「ごめんね。私、勝てなかった……」


 「気にしなくていいよ。あの皇帝は俺がぶっ潰す」


 「ユウヤ、怒ってる?」


 「いやぜんぜん?ユエナのことを殴って痛い思いさせたからって怒ったりなんか全然、ぜ~んぜんしてないから」


 「そう?」


 そう答えたユエナの表情はどこか嬉しそうだった。

今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。

次回は明日の10時に投稿します。

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