また俺何かやっちゃった
目の前のおっさんは立ち上がると、来ていた服を脱ぎ始めた。きらびやかな服の下には庶民……いや、冒険者が着るような服を着ていた。余裕のある大きさのズボンに半袖のシャツ、獣皮のようなベストだ。
その様子を見ていた二人の女性は「またこの人は……」というような顔をして頭を抱えている。
「こういう堅苦しい服は疲れてたまらん!やっぱりこっちの方が落ち着くわ。改めて自己紹介させてくれ。俺はギルド帝国皇帝のゼスト・ギルティーゼだ。後ろにいるのは娘のサーシャ・ギルティーゼとターシャ・ギルティーゼだ。よろしく」
「柏木勇也です」
「ユエナです」
なんか、とことん王族らしくないな。銀ランク冒険者らしいし冒険者の方が向いてるんじゃないか?
「さて、本題に入ろう」
自己紹介を終えて、一拍間を開け、皇帝、ゼストが切り出した。
「今回呼んだのは簡単な話、報酬を渡すためだ」
「報酬?俺たちなにかもらえるようなことしました?」
「とぼけんじゃねぇよ。それとも謙遜か?ルスキヤだよルスキヤ!ブラックスライムとかいうやつを倒したんだろ?それだよ。よくよく話を聞いてると、そいつはかなり危険度が高い。俺でも倒せねぇかもしれねぇ。街一つ、いや、国、世界を救ったかもしれねぇお前たちに冒険者ギルドの元締めから直々に報酬をくれてやろうってわけだ」
なるほど。あの時は必死でぜんぜんそんなこと考えてなかったけど、もしかして、俺たち結構すごいことやっちゃった?
「それで、今回の報酬の話なんだがな……」
皇帝は少しおどけたような調子で話を続ける。
「今回んお報酬としてお前らに土地を……領地を渡そうと思ってんだ」
「領地……ですか?」
「あぁ。世界各地に散らばる小さな島があってな?いくつかは冒険者ギルドが
持ってて大部分は俺たちギルド帝国が管理してる。それにちなんでギルド島なんて呼ばれてる。そのギルド島はそれぞれの島に特徴がある特別な島なんだが、そのうちの一つをお前に渡そうってわけだ」
「はぁ……」
そんなことを言われても実感がわかない。
「なんだその気の抜けた顔は。やっぱ辺境の島なんていらないってのか?」
「い、いえ、そういうわけじゃ……。ただ実感がわかないだけというか」
「なんだ。そんなもん後からついてくるわ。俺が王になった時だって実感なんて全くなかったわ。いや、違う。そういう話じゃなくてだな。今回お前に渡すのは森、鉱山、洞窟のどれかにしようと思うんだが、どれがいい?」
そんな急に言われても。
「ユエナはどれがいい?」
「森?」
「そうだね。俺も森がいいんじゃないかと思ってたんだ。じゃあ森でお願いします」
「おぉ……けっこうあっさりしてんな。まあいいけどよ。サーシャ、森だ」
「どうぞ」
「ほれ」
「???」
サーシャが持っていた筒状紙を受け取った皇帝がひょいっとこちらに投げてくる。なんだこれ。
「それ、森のギルド島の権利書な。なくすなよ?」
そんなもん軽々しく投げんな!とりあえずこれは収納魔法にしまっておくか。
「ほぉ?なんだその魔法は」
「なんかものをいろいろしまえるやつです」
「よくわからんが、なるほど?」
あんまり俺のことを詮索されてもめんどくさいしな。適当にはぐらかしておこう。
「おつかれさん。今回の招集はこれで終わりだ。もう帰っていいぞ」
「ありがとうございました」
一応お礼を言って玉座のある部屋をあとにしたが、もう帰っていいと言われても乗ってきた馬車はもう帰っちゃったし、普通の人間ならここから帰れないぞ?
とりあえず帰るか。俺とユエナは転移魔法で宿の部屋へと転移した。
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次回は明日の10時に投稿します。




