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人造勇者の理想郷  作者: 鈴花雪嶺
第二章 モンスターキャッスル
29/63

エピローグ

 「——————」


 「——————」


 「ん、んん……」


 騒がしいな……もっと寝かせてくれよ……。


 「——————」


  ダメだ。もう目が覚めてしまった。起きるか。……あれ?そういえば俺、なんで寝てたんだっけ……?


 いまだにぼーっとする頭のままゆっくりと目を開ける。


 ……知らない天井だ。いや、どっかで見たことあるような……。まだ頭がうまく働かない……。


 「ユウヤ!!」


 ここがどこなのか思い出す前に、ユエナの声が耳に飛び込んできた。


 「グフッ!?」


体を起こそうとしたところで、腹部に何かがぶつかった。


 見ると、きれいな白髪が。


 「……ユエナ」


 「よかった……もう起きないかと思った……」


 寝ていた俺に抱きついてきたユエナの顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていた。


 ……こんな時なんと声をかけていいかわからなかったので、微笑みながらやさしく頭をなでる。


 「おい!カシワギが目覚めたぞ!」


 「!?」


 その一言でその場が一気に騒がしくなり、俺たちの周りに人が集まってくる。


 訳が分からないままゆっくりと川田を起こすと、どうやらこの場所は冒険者ギルドのようだ。


 「? ? ??」


 「おい、まだ病み上がりなんだ。もう少し休ませてやれ」


 訳が分からないという顔をしていた俺を助けてくれたのだろうか。助かった。


助けてくれた人の顔を見てみると……知らないおっさんだった。なんだこいつ。後から出てきて偉そうに。まあ助かったけど。


「騒がしい連中ですまないね。私はこのギルドのギルドマスターをやっている。君のことは聞いているよ。今回は助かった。ありがとう」


そう言って、ギルドマスターは深々と頭を下げた。


「あ、どうも。柏木です」


あれ?この返しってもしかしてやった?なんか空気が凍ってるんだけど。


「ああ、話は聞いているよ」


「それで……ルキアたちは……」


ずっと気になっていたことを聞くと、ギルドマスターの表情が僅かに曇った。


「ついてくるといい」


そういいながらギルドの外へと歩いていく。


 

 

ついた場所は、共同墓地だった。


「やっぱり……」


「ああ……。ルキアたちは……。だが、彼らは覚悟はできていた。今は、彼らを労ってやろう」


墓標の前で祈りを捧げるギルドマスターの横で俺も手を合わせた。


 ○


 もっと俺が早く戻っていたら……。あの時俺が全部ひとりで倒していたら……。そんな考えがずっとぐるぐると頭を回る。ユエナは心配してくれるが、自責の念がなくなることはない。


 もっと強くならないと……。もっと冷徹に、仲間の為なら他人の意見なんて跳ねのけて自分ですべてを解決しないと……。


 考えれば考えるほど追い詰められていく。


 あの時。怒りで我を忘れてブラックスライムに突っ込んでいったとき、俺は体を動かすための魔力も攻撃のために使っていた。


 魔力は精神力のようなものらしい。魔力がなくなったら体は全力疾走した後のように疲れ果て、魔法を使えば体力だって消耗する。


 なら、魔力がない時に魔力を使おうとするとどうなるか。


 魔力の代わりに命を使うのだ。


 俺は、あの時自分の命を燃やして、あの時できる最大威力の攻撃をした。それでも、あれが限界だった。


 攻撃方法や武器では限界がある……。もっと、何か別の……、根本的なところから変えないとこれ以上強くなれない……。武器を強化する付与魔法も自分の体のスペックではその総力を生かしきれないし……。


 付与魔法……?そうか……。


 思いついた。今よりも、さらに強くなる方法を……。それがたとえ、人間をやめるようなことになっても、俺は……

今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。

次回完結と言っておきながら、完結させずにすみません。区切りが良さそうなのでここで一度切りました。もう少しだけお付き合いください。次回くらいで第二部完結する予定です。きっと。

不定期投稿ですが、次回も読んでいただけると嬉しいです。

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