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人造勇者の理想郷  作者: 鈴花雪嶺
第二章 モンスターキャッスル
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それぞれの戦い カルロ編

今回はパーティーの頼れるサポーター、カルロ視点です

 「やるしかないですよね……」


 僕はナイフを握りしめながら苦しそうに言う。


 僕は狩人だから腕力は戦士ほどではない。いつもは弓での後方支援と簡単な罠なんかのサーチ何かをしているけど、いくら広いとはいえ洞窟内で弓は使わないしブラックスライムがそんな隙を与えてくれるわけがない。


 やるなら一気に決めてやる!


 僕はナイフを構えてブラックスライムとの距離を一気に詰めると、素早く連続で攻撃する。僕は戦闘では近距離タイプじゃないからあまり持久力はない。どちらかといえば遠距離からのサポートタイプだ。長期戦には持ち込みたくないけど……


 「くっ……」


 思わず声が出てしまう。やっぱりそううまくはいかないよな……


 ブラックスライムは刃渡り30センチ程のナイフのように変形させた両腕ですべての攻撃を軽く防ぐ。


 だが、そんなのは想定済みだ。僕は腰につけているサイドポーチから赤く光る石を取り出し、ブラックスライムに思い切りぶつける。


 僕が使った石は炎の魔石。大気中の炎の魔力を吸収した不思議な石だが、多く発掘されていて発火剤として安く入手することができる。だが、俺が使ったのはそれよりも更に効果で強力なもので衝撃を与えると大きな炎を撒き散らす。普通の魔物相手なら十分に戦えるものだ。それがこいつにどれだけ通用するか……


 魔石がブラックスライムにぶつかった瞬間ゴウッ!という音を立てて大きな炎が上がる。


 炎は一瞬で消えるが、燃える相手なら十分に攻撃手段になるし、燃えない場合でも目くらましになる。


 今回の相手は油断できない。だから炎が消える前から距離を詰めて消えた瞬間に一気に攻撃を仕掛ける。


 まずは一撃……そう思いナイフを振る。その時……


 ガキィィィィィン!!


 「!!」


 ブラックスライムにナイフがあたったときの音が耳に響き渡る。それと同時に背中に冷ややかな感触を感じる。何かに触れられたような錯覚がする。その瞬間、錯覚する。これは死だ。こんなに恐怖を感じたのは久しぶりだ。


 でも、それでも、立ち向かわないといけない。時間稼ぎしかできなくても、今、ここで心だとしても。カシワギさん(あのひと)が来るまでの時間を稼ぐんだ!


 体力回復のスタミナポーションをサイドポーチから取り出し一気に飲み干す。


 今、この瞬間に全力を出し切るんだ!!


 僕はナイフを構え、一気に距離を詰めてさっきよりも素早く、力を込めて連撃を浴びせる。


 もっと……もっと速く、疾く、迅く!!


 ◉


 「……はぁ、はぁ」


 体力も道具も、もう残っていない。眼の前には全くダメージも疲れも見えないブラックスライム。


 「クソが……やってやるよ。舐めんな……!」


 言葉遣いが荒くなる。苦しい。体が重い。


 でも……まだやれる!


 そう思ったときには、黒い刃が体の前に―――

今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。

不定期投稿ですが、次回も読んでいただけると嬉しいです。

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