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人造勇者の理想郷  作者: 鈴花雪嶺
第一章 戦争での出会い
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勇者誕生

 「………い…………で………な」


 「…い。………め…ば…………です」


 …………なんだ?何か話し声が聞こえる…………。


 もう少し寝かせてくれよ…………疲れてるんだ…………。


 「遂に成し遂げたな」


 「はい。これで我等の勝利に一歩近付きましたね」


 …………成し遂げる?勝利?何の事だ?


 「後はこいつが早く目覚めてくれれば…………」


 …………?待てよ?こいつらが話してるのって俺の事では?


 そういえば俺、どうなったんだっけ?確か襲われる夢を見て…………でも何か背中に固い感触が…………。それに知らない人の話し声も…………。ダメだ。寝起きで頭が働かない…………。とりあえず起きないと…………。


 そう自分を叱咤し重い瞼を開ける。


 「先輩、起きたみたいです」


 「おお、そうか」


 この瞬間、俺の意識は一気に覚醒した。眠る前、最後に見た見知らぬ男たちの顔。それが今、目の前にある。残念ながらこれは夢ではないようだ。


 「おい、言葉は分かるな?早速働いて貰おうか」


 目覚めたばかりの俺に白髪の男が声をかけ…………命令してくる。

 

 「働くって…………何をすればいいんですか?」


 俺はおそるおそる聞いてみた。人一人を簡単に誘拐してしまうようなやつらだ。こちらも慎重に行かなくては。


 「フン、自分の立場をよく分かっているじゃないか。そうだな…………手始めに魔術側の城を破壊してこい」


 ……………………??『は?』という言葉をすんでのところで飲み込んだ。………まじゅつがわ?…………魔術側?どう言うことだ?それに、ある程度の言うことは聞こうと思っていたが…………訳が分からない。


 「訳が分からないといった顔だな。よぉーく思い出してみろ。お前はもう知っているはずだ」


 白髪の男がこちらを見て言ってくる。それが当たり前の事だとでも言うように。


 だが、俺はそんなことは知らないし、見たことも聞いたこともない。思い出せと言われても…………


 「わかったか?」


 そんなことをぐるぐると考えていると白髪の男が声をかけてきた。まずい。まだなにも分かってない。


 「もう少し待って下さい…………」


 「早くしろ」


 自分の命が危ないとはいえ、ここまで下手に出るのが嫌になってきた。でも反抗すると殺されるかも…………。


 迷っている時間はない。ええい、ままよ!!


 俺は考えることを辞めて思い出せるわけがない事を思い出そうと頭をフル回転させた。


 魔術側…………まじゅつがわ…………マジュツガワ…………


 いくら頭を捻っても魔術側なんて言葉はさっき始めて聞いたのだ。それ以外の記憶があるわけがない…………あれ?


 なぜだろう。俺は以前にも同じ言葉を聞いたことがあるような気がする。…………いや、違う。聞いたことがあるというより知識があるのだ。聞いたことがない言葉の知識がある。だが今はそこについて考えている暇はない!


 「…………チッ、まだか?」


 イライラしたように貧乏ゆすりをしていた白髪の男が舌打ちをしながら聞いてきた。


 俺は体がビクッとなりながら急いで答える。


 「分かりました!思い出しました!」


 俺は急いで答えた。だが、白髪の男はその答えには興味がないように「なら行け」とだけ言うと目をそらしてしまった。

 

 「行くってどこから…………」とは聞けない雰囲気だった。場所は魔術側について思い出した(?)時に分かった。だが、この場所から出る方法が分からない。下手に歩き回るのも怖いため、その場に止まっていると、若い方の男が話しかけてきた。


 「あの人、言葉が足りないですよね。出口はあちらです。早く行ってください」


 白髪の男とは違う丁寧な対応に俺は「は、はい。ありがとうございます…………」としか答えられなかった。


 若い方の男から出口の場所を聞いた俺は建物の外に出ていた。


 俺が今までいた建物はコンクリートのような材質でできていて、大きめの平屋くらいの大きさがあった。建物の外は木々が生い茂っており、その隙間から見える地面はかなり下の方、かなり遠くにあることから、ここが山の上であることも分かった。


 俺は迷い無く山を降りて行く。すると急に頭のなかに白髪の男の声が響いた。


 『何をタラタラ歩いてる!走れ!』


 『すみません。先輩は少し短気なところがありまして…………。つまり我々はこう言いたい訳です。我々には貴方を意のままに操ることが出来る。貴方を遠隔で爆破する事も。そう言っても半信半疑でしょう。なので、証拠をお見せします』


 白髪の男が俺に文句を言っているところに割り込んできた若い方の男がそれだけ言うと、声は聞こえなくなった。


 俺を操る?遠隔爆破?本当だったらどうしよう…………。と考えていると、体が自分の意思と関係なく勝手に動いた。


 「うわっ、なんだ!?」


 体中に力を入れて抵抗するが、俺の体は俺の命令に反して動き続ける。


 そのまま俺の足元を思いっきり殴り付けると、すぐに体の自由が戻った。


 が、俺は素直にそれを喜ぶことが出来なかった。理由は簡単だ。俺が殴ったところがクレーターのように抉れていたのだ。


 目の前の光景に呆然としていると頭の中に若い方の男の声が響いた。


 『貴方の体は改造させていただきました』

 


 

 

 

今回も読んでくださりありがとうございます。不定期投稿ですが、次回も読んでくださると嬉しいです。

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