心が晴れやかじゃないときの戦いって危なかったりするよね
「これから向かうのってどんなとこ?」
以前服と一緒に買っていた薄手の黒いカーディガンを着てリボンのついたカチューシャをつけたユエナが聞いてくる。
「廃城を魔物が改造して作ったダンジョンらしくて、中は元の城よりもかなり広くなってるらしい。魔物もたくさんいるからモンスターキャッスルって言われてる」
「ダンジョン?」
「魔物が住み着いて中にいる魔物をすべて倒すのは難しいところのことだよ」
「ユウヤでも?」
「俺なら一掃できるだろうけど、他の冒険者の貴重な財源だからやらないかな」
「ふーん。やさしいんだね」
「……ありがとう」
優しいというより、やりすぎるとなんとなく罪悪感があるからなんだけどな……。
二人で話しながら歩いていると、眼の前に城が現れた。
「……あれ?」
「そうだね」
「街からも見えてなかった?」
「うん。大きいから街からも少し見えてるよ」
「……」
「……」
なんとなく気まずい空気だな。なにか話題がほしいところだが、こういうときに話し始めると『この雰囲気が気まずいから話題を出しました』という感じになるし……う〜ん……
俺がこの雰囲気をどう壊そうか悩んでいると、不意にユエナが口を開いた。
「いつもありがとう。……本当に、ありがとう」
「なんだよ急に。そんな『今からいなくなります』みたいなこと言わないでくれよ」
「……ごめん。いなくなったりはしないよ。ただ……」
そこでユエナは一度言葉を区切る。俺たちは歩みを止めて向き合って真剣な雰囲気で話しをする。
俺は、ユエナの言葉を待っていた。
「あのね……いつもユウヤは私のことをかばってくれるし、私と一緒にいるから迷惑かけちゃってるし……」
少しうつむきながら、暗い表情でユエナは言う。
俺は思った。彼女にそんな顔は似合わない。可愛い女の子には暗い顔よりも笑顔のほうが似合ってる。
「あんなの面倒ごとのうちに入らないよ。今の俺なら改造されたからユエナを守る力がある。もし力がなくても、俺はユエナを守りたいし、一緒にいたい。ユエナの為にすることを面倒なんて思わない。俺はユエナが毎日楽しく笑って過ごせるようになってほしいと思ってる。もちろん無理にではないけど……。それに、俺だって色々迷惑かけるだろうし、そんなに自分のことを悪く思わないでほしいな」
「……ありがとう……」
少しユエナの表情が明るくなった気がした。
話を終えた俺たちはゆっくりと歩き出した。モンスターキャッスルはすぐそこだ。
今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。
不定期投稿ですが、次回も読んでくださると嬉しいです。




