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04 ザロヴィア


 ザロヴィア・シースヴェンナがフェティローズという少女に出会ったのは、雲一つない快晴の日。汗が浮かんでくるような初夏の季節に、当時9歳だったザロヴィアは母親に連れられて、森の奥地にひっそりと建つアルモンド家を訪れた。


 ザロヴィアは不思議に思っていた。

 なぜこんな所まで出向く必要があるのだろうか。挨拶をするというのなら、アルモンド家に来てもらえばいいのではないか。わざわざ隣国に出向いてまでアルモンド家を訪れる必要が、どこにあるのだろうか。


 当時のザロヴィアは、いわゆる次期公爵としての所作や考え方を身に着けている最中だった。だから、身分の低い者の自宅に出向く意味が分からなかった。

 母親は朗らかに笑った。


『昔のことよ。ルードリッヒ王国と、この場所に住む人々が戦争中だった頃にね、わたしの曾祖父(ひいおじい)様が騎士として最前線に立っていてね、大怪我をしてしまったの。でも偶然通りかかったアルモンド家のみなさんに看病してもらって、元気になったの。あの時はお互い敵同士だったのに、アルモンド家のみなさんはとっても優しかったの。だからこうやって、たまに家族同士で会う事があるのよ』


 そういうものかと、ザロヴィアはひとまず納得した。

 アルモンドの屋敷は立派だった。ルードリッヒ王国内にあるザロヴィアの生家ほどの美しさや豪奢さはない。古くて、素朴。出迎えてくれたアルモンド家の人から、ああ、確かに優しそうな匂いがすると、ザロヴィアは何となく感じ取った。


 母親とアルモンド家の当主の話がひと段落ついた頃に、お人形さんが現れた。銀髪を緩く編み込み、ピンク色のワンピースを着ている天使のような女の子だ。


「か、か、かわいぃぃいいいいいいい!! 何あの子超かわいい!! え、男の子なの!? あんなにお肌ツルツルで睫毛長くて、髪の毛サラサラなのに男の子なの!? いいなぁ、いいなぁ!! ねえマリー、あの子わたしのお兄ちゃんにしたい!!」

「いけないよフェティ。あの方は、ルードリッヒ王国、シースヴェンナ公爵のご子息。ほら、しっかり挨拶なさい」

「はぁーい」


 そうして、お人形さんは小さく礼をした。


「はじめまして。フェティローズ・アルモンドです」





 温かい匂いに、温かい家族。

 可愛らしい銀髪の女の子と過ごした記憶は、ザロヴィアのなかで宝石のようにキラキラと輝いていた。


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