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第84話 スピードバトル

 雷獣(サンダーフォース)は地面を強く蹴り上げると、ユタ達に一足飛びで近づいた。


「は、速い!」


 雷獣(サンダーフォース)はユタの目の前に突然現れたかと思うと、いきなりその爪で斬りかかってきた。ユタは咄嗟に剣を突き出し身を守る。


「ユタっ」


「く、この…… デカネコ! おりゃああ」


 ユタは力を振り絞りなんとか攻撃を振り払う事ができた。しかし雷獣(サンダーフォース)は軽い身のこなしでユタから離れると、雷を纏った素早い移動を繰り返し攪乱を始めた。


「みんな! レギアよ! あの速さに対応する為に、少しでも身体能力をあげるのよ」


「分かったぞ。 でも、ボクあんまり得意じゃないから下位までしかできないんだ。あんな速さには追いつけっこないぞ」


「それでもないよりマシよーっ (レギア)!」


 ユタ達は各々式句を唱え身体強化の呪文を使った。クレアはまだちゃんとした使い方を知らなかったので自己流だった。


 雷獣(サンダーフォース)は強力な雷魔法の他に、獣としての爪や牙の攻撃もしてくる魔物だった。

 きっとあの爪で直接攻撃を食らえば大けがをしてしまう。だからいざという時に剣で身を守れるユタ、ネーダ、カトラの三人が前衛、魔法のサポートをする後衛がクレアだ。


「なあ」


「何よ」


「俺たちの乗ってたワイバーンを落とした時のあの技は使えないのかよ」


「インパクトブレイズの事? あれは……使う魔力が多すぎて魔力がほぼ満タンの時しか使えないのよ。それに狭くてここじゃあ使えないわよ」


「そう…か。あれだけ強力な呪文ならすぐ倒せるかもと思ったんだけど、案外使い勝手は良くないんだ」


「そうね。今は敵に集中するしかないわ」



 そして三人はそれぞれ自分の剣を構えた。クレアは伸縮自在の魔法のロッドを取りだした。


「さあ、来いよ。たたき斬ってやる」


 そして戦いは静かに始まった。


 雷獣(サンダーフォース)はコチラを睨みつけ様子を伺いながら、ヒタリヒタリとゆったりとした動作で徐々に距離を詰めてきた。少しでも俺たちが隙を見せれば、すぐ様飛びかかり喉笛を噛み切ろうとしそうな威圧感を感じる。


 ユタやネーダ達も剣を構え負けじと距離を詰めていく。


「ああ…もう! じれったいわ」


「あ、おいッ カトラ」


 そう言って先にしかけたのはカトラだ。


超火炎(エルフレム)!」


 剣の切先を雷獣(サンダーフォース)に向けカトラはその先から魔法を放った。しかし炎は命中する事なく、いとも簡単に避けられてしまった。


 雷獣(サンダーフォース)は数歩後ろに下がった後、背中の毛をさらに逆立てて体から電撃を放ち反撃をしてきた。


「みんな避けてっ 雷が来るよ」


「大丈夫! ボクに任せるんだぞ! えいやーー!!!」


 ネーダは呪文で雷属性を付与させた剣を前から迫る雷撃に向かって振り下ろした。すると雷獣(サンダーフォース)の雷とネーダの剣の雷がぶつかって相殺しあい、攻撃を防ぐ事ができた。


「どうだ! 雷魔法ならボクだって負けないんだぞ」


 ぐるるるる


 雷獣(サンダーフォース)は遠距離での攻撃が効かないと分かると、素早い動きでユタ達に近づいて攻撃しようとした。

 今の身体強化魔法―雷宿霊(バルバトスゼレギア)が付与された雷獣(サンダーフォース)相手に、近接戦闘ではまともに相手しては勝ち目はないだろう。


 それが分かっていたユタ達は雷獣(サンダーフォース)が近づいてくると、とある作戦を実行した。


「…………クレア、今だ!」


「うんっ 任せてっ」


 ユタの合図と共に三人の後ろに控えていたクレアはパッと前に出てくると、雷獣(サンダーフォース)に向かって風の上級呪文を唱えた。


 すると突然の向かい風に足を取られ、雷獣(サンダーフォース)の足はその場で止まった。


「今よ! 一斉にかかるのよ!」


 雷獣(サンダーフォース)の動きが止まった一瞬の隙を狙い、ユタとネーダとカトラの三人は一斉に剣で斬りかかった。


「おりゃああ! 属性付与(エンチャント)(バルバトス)


「くらえッ 空間転移(テレポレア)、斬り!」


 彼らは得たチャンスを物にする為、それぞれが渾身の一撃を繰り出した。


 しかし、三人の攻撃に気が付くと雷獣(サンダーフォース)は体を発光させた後、一瞬でそこから立ち去ってしまった。


「ダメだわ。全然かすりもしない」


「ううん! カトラ見てっ」


 クレアがそう言って雷獣(サンダーフォース)を指さした。すると雷獣(サンダーフォース)の足に傷ができて青い血が滴っているのが見えた。


「そっか! きっと攻撃が当たっていたんだぞ! 一体誰の剣がかすったんだぞ?」


 そう言うとユタ達は自分の剣を見て血痕を確認した。そして魔物の血がついていたのはユタの剣だけだった。


「なるほどね。あの速さにも空間魔法のワープなら対応できるってわけ。 そうと分かれば、トドメはアンタにまかすわ」


「うん、分かったよ。けどあんまり自信は無いから、協力はしてくれよな」


「フッもちろんよ。任せなさい! しっかりサポートしてあげるわ」

ご拝読いただきありがとうございます!


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