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第122話 マインドカラーズ

「はあ~、やっちゃったぞー……」


 ネーダはクソデカため息をついた。


 王都の憲兵に暴力を振るったばかりか、正式な審査を行わずに城下町に入城してしまったのだ。

 これで我ら小さな旅人(リトルパラ)も立派な札付き冒険団だ。


「ごめんっ わ、私のせい、だよね?」


 クレアは申し訳なさそうにしている。


「大丈夫だよ。クレアのせいじゃないって。第一、俺達は何も悪い事はしてない。あの憲兵が勝手に勘違いしたのが悪いんじゃないか」


「でもっ」


「いいんだよ。俺はクレアがかばってくれて嬉しかったよ」


「そ、そう? だったらいいんだけどさっ」


 クレアは頬を赤らめながらそう言った。


「だけどどうするんだぞ? 憲兵に追われたままじゃあ、兄様から頼まれた調査も集中して出来ないんだぞ」


「大丈夫だって。俺達はギルドタグを持ってる身元の保証された冒険者なんだぜ。それにカーダから託された勇者の任務依頼の書状もあるんだろ」


「うん、持ってるよ。そうだね、ちゃんと兄様から依頼されて来たって事を示せば分かってもらえるよね」


「そうさ。よし、さっそく詰め所にでも行って誤解を解いてもらおう」


 〈ヴー~~~ヴー~~~〉


 そう思った矢先、突然ソルドの街中にけたたましいサイレンが響き渡った。


「なんだってんだよ?」


 サイレンの音が鳴りやんだと思うと、今度は拡声器の魔道具から音声放送が始まった。


 〈ヴー~~ブツ。えー、こんにちは。親愛なるノルデリア王都住人の皆さん。私は王国警備隊ソルド地区隊隊長です。我が部下の失態により城下町に危険な三人の賊の侵入を許してしまいました。一刻も早い捕縛のためにも、どうか捜索にご協力ください。情報提供者には報酬もお支払いします。侵入した賊は男二人と女一人で、一人はいかにも性格の悪そうな顔をした男。黄色の派手なコートを着ており…………〉


「わっ 大変だ! これ絶対ボクたちの事だぞ! 性格の悪そうってのが特にユタしかありえない」


「オイこら」


「どうしよう。これって指名手配されちゃったのかなっ」


「そうらしい。う~ん。今から迂闊に詰め所なんかに行ったら、いきなり襲われかねないぞ」


「もしかして……お兄ちゃん達って、憲兵に追われてる人?」


「だからそうだって言ってる…………は? 誰だお前!?」


 ユタ達はそれまで人の居ない建物の裏路地で密談していたのだが、気づかないうちに三人の背後にはボロを纏った小さな女の子が立っていた。


「うわぁ全部聞かれちゃった!」


「だ、大丈夫だよっ こんな小さな子どもなんだから通報なんてしないと思うけど。ね、だよねっ」


「キャハ、たしか向こうの路地に憲兵さんがいたかもしれない!」


「あああ~お願いだからやめてよぉ! 私たちまだ何も悪いことしてないのっ」


 女の子に通報されて捕まると思った二人は、その場で懇願の土下座おどりを始めた。


 女の子はスラムに住む孤児のようだ。チクりによる報酬金は喉から手が出るほど欲しいだろう。


 ―く、ここは転移でいったん逃げるか―


 そうしてユタは式句を唱えようとしたが、女の子は意外な反応をみせた。


「ふふ、安心して。私は通報なんかしないよ。だってあなた達、悪い人じゃないもん」


「は? 通報しないのは助かるけど。なんでそんな事が分かるんだよ」


「私には特別な力があって、目で見た相手の心の色が分かるの。あなた達は憲兵に追われるような人じゃないよ」


 特別な力。魔法の事ではないのなら、それは()()()の事なのだろう。


「着いてきて! 困ってるんでしょ、私が助けてあげる!」

ご拝読いただきありがとうございます!


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この先もよろしくお願いいたします。

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