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2、冒険者ギルド



「ハァッ………」


………今新しく灼いたばかりの鋼の板のような真っ黒で、果てしない空、そこに無数に散らばった星々を眺める事数時間………何も考えず天体観測をしていると、漆黒の夜空の闇が徐々に薄くなっていき、それにともなって星々の光が消えていく………気づいたら朝になっていた………端的に説明するなら宿をチェックアウトした後、深夜から翌朝まで街の公園のベンチに座って、溜め息を吐きつつボケーっと空を眺めていた私。


ずっとここにいたため、朝早く勇者様達が東の方にあるダンジョン、『終わりなき園』に向かって行ったのが見えた。


「これからどうしようか………」


自問するも、答えなどない。


「………これだけか………」


簡易テーブルの上に財布の中身を広げるが、銅貨15枚。


宿で一泊するのに銅貨5枚……たった三日で文無しになってしまう……他の町に行くのだって金がかかる、どう計算しても私の財布の底が尽きるのが先だ………収入がなくなった私の破滅はすぐそこ。


なんとかして定期的な収入源を確保しなければならない。


「今日は西にでもいくか?」


「西はオーガが出たらしいからやめとこうぜ」


「討伐されるまではいつもの狩場でやろうぜ」



ふと、目の前を冒険者らしき三人組が通って行った。


「冒険者………か」


………野良猫のように自由に生きて、自由に死ぬ。


「他に行くところも思いつかないし、試しにやってみるか」


………魔王を倒すという使命感を持って戦ってきたけれど…………もう私には関係が無くなった。


他に行くところもない私は冒険者ギルドの門を叩いた。


ーーーーーーーー


誰でも冒険者になれるというわけではないようだ。


年齢制限や性別などは関係ないが、試験を突破できたものだけに許される。


必要最低限の力量がなければ、ギルドからも、依頼者からも迷惑だからだ。


「よし、コボルト討伐完了っと」


ギルドから提示された課題はコボルト5体の討伐を終える…………討伐証明の部位を切り取って、袋に入れる私……後はギルドに持っていくだけだ。


狸の皮算用をするリフィル、そんな私を嘲笑うかのように耳障りな爆音が鳴り響く。


「ーーーーッッッッ??!!、な、なんだ??!!」


「バケモンが!!」


「逃げろ!!!」


「あ、あなたたちどうしたの?、何今の爆音は?」


「ウルセェ!!、テメェも死にたくなかったら、あのバケモンが餌に食いついてる間に早く逃げな!!」


爆音が聞こえた方向の森の茂みから男が数人走ってきた………おそらく何かから逃げてきたのだろう、私は走ってきた男たちの肩を握るも、すぐに払い除けられ、急いで逃げていく。


「グラァッッッッッ!!!」


「ーーーーッッッ」


ーー瞬間、何かが咆哮をあげた………。


「~ーーークソッッッ!!」


地鳴りのような魔物の雄叫びが響き渡る………餌がどうのこうのと不穏な言葉も聞いてしまい、嫌な想像が私を掴んで離さない………リフィルは声のしたほうへ走った。


「~ーーグガァッッッッッ!!」


「あれは……オーガ?!!」


森へ少しはいったところで、今朝噂されていた件のオーガに襲われている、背負っている身の丈ほどもある大剣以外は軽装の人狼の青年を発見、オーガはD+ランクの魔物、動きは少し鈍いが、強靭な肉体の耐久力は生半可な攻撃を通さず、逆にその並外れた腕力から繰り出される棍棒の一撃はあらゆる物を粉砕する、初心者冒険者には荷が重すぎる相手。


隆起した筋肉、自身の怒りを表してるかのような赤い皮膚、そんな皮膚にゴブリンの時の名残か、少し残った緑色が斑模様になっている、オーガは土煙を纏いながら天に轟く咆哮を上げる。


「グガァッッッッ!!」


「~ーーッッッッッ!!!」



大木や大岩など等しく紙屑のように吹き飛ばしていく、森林に君臨した大鬼は全てを蹂躙し尽くす。


オーガの標的は人狼族の青年、叩き潰すことを目的としている棍棒を振り下ろす。


オーガの一撃に青年があわや潰れたトマトになったかと幻視したが、大剣を背負ってるわりには意外のほか素早く、木や大岩の間を疾駆、大木や大岩を盾代わりにになんとか生き残っている。


「ガルアッッッッッ!!」


「~ーーーッッッッッッ??!!」


しかし、いつまでその回避を許すほどオーガも優しくない、次に逃げ込もうとした岩に対して先んじて棍棒を振り下ろす、流石に何度も同じことをしていれば読まれてしまう、直撃は避けたが派手に吹っ飛ばされる青年、吹っ飛ばされることで距離が取れたが、破裂した岩の散弾とオーガの棍棒の余波を喰らったせいで地に這いつくばることしかできない。


「……グルル」


「ーー痛ッッッッ」


「ーーまずい!!」


先の一撃で負傷している青年、痛みで動けないようだ、オーガはトドメと言わんばかりに棍棒を両手で大上段に構える。



「ーーやらせるか!!!、#砲身鉄拳制裁__バレル・フィスト__#!!!」


私は人狼の青年とオーガの間に走り飛びながら入り、魔鉄義手を機竜人の力で強化、巨大な砲身に変えてを殴り飛ばす。


「ーーガァッッッ!!!??!」


「なッッッッ!!??」


まさか自分が吹っ飛ばされるとは露ほど思っていなかった様子のオーガは驚いたような奇声をあげる……ついでに後ろにいる人狼族の子も驚いているような気配を感じさせる。


「ーーー#砲身鉄拳追射撃__プルス・ファイア__#!!」


「ーーーーガッッッッ??!!」


そのままオーガを木の幹へと叩きつけ、そのまま砲身に装填してある砲弾を発射、オーガの体を貫通、オーガは断末魔の声を上げて、絶命した………。


「……ふぅ、仕留めたか………君、大丈夫?」


「あ、はい………」



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