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聖剣って付いてるモノだったっけ?

あれ、ここはどこだろう…辺り一面に広がるのは永遠に続く白い空間。徐々に意識が覚醒しつつある中、最初に捉えた声は。


「ごめんなさい、間違って殺してしまいました。」


どうやら俺は死んでしまったらしい。


遡ること数刻前、俺、浅田龍弥は学校の帰り道、友達のモブ山モブ男と一緒に帰っていた。モブ山と俺は同じ剣道部の部員でお互い好敵手とも呼べる存在だった。


「いや〜龍弥殿、今日の部活も疲れたでござるねぇ〜。」


彼は自分と話す時はよく不思議な口調を使う。どうやらオタクがよく使う口調らしい。


「今日は一段と厳しかったな。大会も近いし頑張らないとな!」


「龍弥殿はいつも頑張ってると思うでござる。」


「お前に追い抜かれないように精一杯なんだよ。」


「はっ!もうこんな時間、急がねば魔法少女☆ルリ子ちゃんの放送が始まってしまうでござる!それでは、ドロン。」


そんな他愛もない会話をしていると突然


「ブオオオオオン!!」


前方から猛スピードでトラックがこちらに突っ込んでくる。


「これは異世界転生の予感っ!?」


「そんなこと言ってないで逃げるぞ。」


俺は変なことを言うモブ男を連れてトラックの進行方向から逸れる。しかしトラックは急に俺たちの方に向かってきて…


「あー、理解あれで死んだのね。」


時は現在に戻り見知らぬ空間の中。


「はい、ごめんなさい。あれはこちら側の手違いで…」


不思議と焦りや驚きは無かった。まだ自分の死を自覚しきれていないからなのだろうか。そこで俺は気になったことをいくつか質問してみる。


「とりあえず、あなた誰?」


1番気になっていたことだ。何故向こうは俺を知っているのに俺は知らないのか、記憶力はそこそこ自信あったんだが…


「紹介遅れました。わたしはフィリア、転生を司る女神です。」


成程、神様なのか。ってぇぇ!?かみさまだって!なんてこった。あなた誰とか失礼すぎだろ!とっさに俺は


「ごめんなさい、人間風情が舐めた口聞きました。」


と謝罪する。


「いえいえ、謝罪するのはこちらの方です。故意では無いとはいえあなたを死なせてしまったのですもの。」


どうやら怒ってはいない様だ。さっき転生の女神とか言ってたけど…


「転生ってことは僕は元の世界に帰れるんですか?」


「ごめんなさい。最高神の命令によって元の世界には返せないんです…だからあなたには別の世界に転生してもらうことになります。」


ああ、これが俗に言う異世界転生というやつか。モブ男がさっきも「異世界行きてぇぇ!!」って言ってたな…あいつだったら大喜びだっただろうに。


「代わりに行きたい世界とそれに付随して1つ神器を選べる様にしておきますので。」


「転生先の世界か、俺はゲームが好きだったから日本では味わえなかった戦いの世界が良いかな。」


「それだったらこちらの冒険の世界はどうでしょう?」


それは良いな。剣道で培ってきたスキルも無駄にはならないし


「その世界でお願いします。」


おれは即決した。


「それで、持っていく神器はどうしましょう?ここに一覧がありますが。」


ほうほう、魔力を消費せず魔法を打てる杖、当たったら即死の鎌、どれも魅力的だなぁ。おっ、これは…


「俺、この武器にします。」


「了解しました。聖剣エクスカリバーでよろしいですね?」


「はい。」


「それでは転生を開始します。あなたの旅にご加護があらんことを。」


刹那俺は意識を失った。


はっ!目を覚ますと俺は草原にいた。あたりにはスライムやコボルドなどがいて、


「おお〜っ!まさに異世界って感じだなぁ。スライムにコボルドそしてドラゴン。」


って、え?ドラゴン!?やばい目があった。あれ、気のせいかなこっちに向かってきてるぞー(棒)


「GUAAAAAAAAAA」


ドラゴンが雄叫びをあげる。


「まずいどうしようあっ落ち着け俺には聖剣エクスカリバーがあるんだあれどこにあるんだろうどこにもみあたらないなそういえばさっきから下腹部に違和感が…」


パオーン


そこには一本の聖剣があった。否、ついていたのである。


「ハアアアアアアアッッッッッッッ!!?!?」


まず最初に驚き。人間理解の範疇を超えると笑いが出てくる。次に怒り。自分の要求が叶わなかったことに対しての。ブチギレなんてもんじゃ無いですよ!殺意すら芽生えたね。


「ヒイイイッ。戦術的てったい〜!!」


あのフィリアとか言う女神次あったら絶対ぶん殴ってやる!ところでさっきから視界のすみにうつってるのって…


名前:アーサー・ペンドラゴン

LV:1

職業:聖剣の勇者

HP:20/20

MP:7/7

攻撃:5

防御:4

俊敏:5

運 :0

〈スキル〉異言語理解 鑑定 聖剣使いの心得


「ステータスじゃねぇか!ってかなんだよアーサー・ペンドラゴンって浅と龍からとったつもりか!?安直過ぎるだろ!あと運0って、泣くぞ!」


一旦落ち着こう…相手との戦力差を知るのは戦いにおいて重要事項だ。よし、ドラゴンのステータスはと…


名前:邪龍ファヴニール

LV:測定不能

職業:魔王軍七将

HP:30000/30000

MP:6666/6666

攻撃:37564

防御:18782

俊敏:800

運 :2000

〈スキル〉自動復活 腐食の息 その他もろもろ


詰んだ。


これはどう考えても詰みですね分かります。人間立ち向かえない死が目の前にやってくると不思議と安心してしまうんだね。っていうかさっき死んだばっかりなのにまた死ぬとか酷くない?なんてついてないんだ俺の人生。すると、


「我ヲ使エ…」


股間のあたりから声が聞こえてくる。


「あっ、だいたい察しがついたぞこれ。これから俺はこいつを武器として使っていくんだろう?いやだぞ、俺はこんな生き恥晒すくらいだったら潔く死んでやる!!」


ファヴニールはこちらの都合など無視して攻撃を始める。


あぁ、さらば…みじかいじんせいであっt


ースキル、聖剣使いの心得が発動しました。ー


は?


すると体は俺の意思とは無関係にズボンを下げ始める。


「ちょっ、やめろそれ以上は、やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!」


刹那辺り一面が白い光に包まれる。


「GYAOOOOOOOOO」


邪龍ファヴニールは倒れた。

こうして俺の第二の人生が始まったわけだ(泣)










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