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 広ーい屋敷。全てが豪華。ファースト卿はお金持ちだったようだな。それでも私欲で潰れたらしい。うーん、後味悪いが、これも配慮かもな。結果的にルーク王国は新国として出発させられることになったのだからな。結末の断片だろう。


 見て回りたいが、どこを見ろと? 屋敷の構造なんて知らん。日が暮れてるんだし、やっぱりメイドさんが必要だったんじゃないか?


「フィーリアー。メイド服を着た女性が欲しいんじゃなくて、案内が欲しいの。着替えなくていいよー」


「ぶー。ならここでいいです!」


 ここ、玄関ホール! 来客が来たらどうすんだよ! せめて、三階のどっかにしよう。多分だけど、お偉いさんは上の階だ。奥さん達はフィーリアを残して散策。光るスローイングナイフがライト代わり。最近投げてないな。


「じゃ、ベッドがあったらします!」


 あー、どなどな。



  ○  ○  ○



 ふっふっふ。やけに高級なベッドにフィーリアは寝かせつけたぜ。「強癒」があれば絶倫にもなれるかも。でもじんわりした回復なんだよね。


「終わりました? お風呂がありましたから用意しましょう」


「ありがたい」


 風呂の排水システムは高級宿と一緒だった。なので三階にあった。たぷたぷの水にフライパンを突っ込んで沸かしてる。おー、大浴場。湯水だけでコストが凄そうだ。


「水は薙刀で効率よく作れましたが、火属性が足りませんね」


「サロワナにと思ってたからな。誰かの変えようか?」


「いえ。温めるのは少し前からしてますので、もうそろそろですよ」


 お風呂番はエフェロナだったようだ。それで様子を伺っていたんだね。混ざらないのはフィーリアへの配慮かな?


「このくらいでしょうか?」


「うん。いい感じだ。入らせてもらうな」


「はい。私はフィーリアちゃんを拭いてきます」


「……すまん」


 ん? 珍しい。一人風呂だ。まあ、大浴場を堪能しよう。体に染み渡るなぁ。



  ○  ○  ○



 寝床の散策が出来ていなかったし、フィーリアを放置は不味いだろう。エフェロナが綺麗にしてくれたから、抱き枕にして寝よう。


「「「お帰りなさいませ」」」


「メイド、だと!?」


「「「夜のご奉仕の時間です♡」」」


「いや、今さっき綺麗に……はっ! 回復を待った、のか?」


「「「うふふ♡」」」


 「強癒」の成果。幸せな時間がとーっても長持ちした。接待プレイもしてくれて最初は攻めさせてくれた。そんな気分に高揚させられた。俺の満足と、フィーリア復活後の奥さん達の満足とは差があった。


 メイドさんに攻められるー。主従逆転だよー。あぁー。



  ○  ○  ○



 気付けば夕食は甘ったるいお菓子一口だけだったのを思い出す。腹減ったよう。


「元気♡」


 そりゃ時間があれば「強癒」は強制的に回復を、あぁー。



  ○  ○  ○



 ロザンナがお湯を用意してくれた。綺麗に拭いてリスタート! 今度は襲われないよな?


「お客様が来られているので、遠慮してます」


 来てなかったらエンドレス? って、客?



  ○  ○  ○



「すみません。昨日の今日でお伺いしました」


「ランバルトさん。お待たせして申し訳ありません」


 スーツが似合うな。どこか外行きっぽい感じだ。昨日も身嗜みは良かったけど、今日は気合いが違うな。


「ご主人様。お食事をどうぞ」


「いや、来客の前では失礼だろ」


「いえ、朝食が済みましたらご案内したいと思いまして。ああ、私も同意してますから、食事を取りながら聞いてください」


「すみませんが、いただきますね」


 朝からステーキ。お、醤油味のソース。肉も柔らかくて旨い。


「変わった香りですね」


「はい。うちの従業員の作った調味料ですね。故郷の味なんですよ」


「ランバルト様。少量ですが、お味をどうぞ」


 控えめに盛られたステーキ。小さくカットのパン。少量のワイン。おおう。いつ用意したの? ってか、何時頃よ?


「ほう。さっぱりとして美味しく食べれますね」


「ありがとうございます」


「ああ、用件はですね、オークションの出品展示がもうすぐ始まります。王城のホールでの展示ですので、盗難などは心配ご無用ですよ」


「お城、ですか?」


「今回が特別です。警備の面を考えれば妥当でしょう。国賓に無礼があっては困りますので」


 元々が厳重警戒の城なら、商品の搬入さえすれば逆に安全か。なら、結果を待ってるしかないな。


「出品者は入場可能ですよ。護衛の名目でドライ様含む六名は入城可能です。宜しければ行きませんか?」


「オークションへの参加は?」


「出品物以外でしたら可能です。しかし、桁が違うでしょうね。入札者は他国の重鎮ですから」


「んー、20万じゃ楽しめないか」


「不人気な物であれば可能性はありますね」


「では、雰囲気を楽しみたいと思います。ドレスコードはありますか?」


「スーツが一般人のドレスコードです。こちらで「ご主人様、スーツでございます」……不要でしたか」


「……お心遣い、感謝します。直ぐに用意してきます」


 うん。警戒のためにもいつもの骨布製がいいよね。あれ、メイド服は継続なの?


「ご主人様? 妻として扱っていただきありがとうございます。ですが、城では従者として付いて参ります」


「そうですね。一般人の女性は少ないですし、ましてや複数の奥方を連れては歩きません。よい案だと思われます」


 微妙に納得いかないが、目立ってもな。仕立てが良すぎて目立ちそうだけどな。だってジャストフィットのオーダーメイドなメイド服だもんな。そのくらいの方がお城では良いのかな?



  ○  ○  ○



「うっ」


「大丈夫ですか?」


「お偉いさんが多いと思うと、緊張する」


「あはは。大丈夫ですよ。特に気にされません」


 何で?


「出品物が目立ちますからね」


 城の門を潜る。ランバルトさんの先導で問題なく通過。うーん。俺達のアイテムボックスはカオスだよ。見なくていいの?


 ダンスホールっぽい場所へと通された。お城のメイドさん、洗練されてるな。ん? 突っ込みがない。ああ、フィーリアも自重できるんだ。


「心配は無用でしたでしょう」


「……ですね。でも、あれは、ちょっと」


「性能を展示するのです。王家も承諾済みです。用意も王家がしてくださいました」


 ダンスホールの一角がストリップショー。


 いやな、ナイスバディなお姉さんと、少女を卒業してるか怪しい娘が、時折、黒のランジェリーを、生で脱いで、交換して、着替えてるんだよ。国賓の前で。そりゃ、ジャストフィットな性能を披露するには着せる以外無いけどな。


 でも、色欲で見ているものは少ない気がするな。むしろ、女性の来賓が見つめている。ああ、手触りも確認してるな。さすがに「着させて!」と言う要望は断ってるっぽい。


 それに付き合いきれないのか、はたまた惚れ込んでいるのか、ゴブリンフルアーマーは試着可能。グレムリンカイトシールド付きでな。興奮して魔力を注いだら、国賓にでも刃を抜いて牽制する。他に無礼があったら不味いからな。


「何か気が抜けました。大人が子供に返ってます」


「でしょう。普段なら国賓の奥方様には社交の場になるのですが、今回は品の欠ける熾烈な懐事情の読み合いですね。どうしても欲しいようです」


「先程から、見てきたかのような……」


「朝イチで展示しました。大切な商品ですので寝ずの番をしましたよ」


「まさか、着たまま?」


「あれ以上の防衛は用意できませんので、展示まで肌身離さず持っておりました」


「………………ご苦労様です」


 展示までって、この会場に着て入ったのか? あはは。ランバルトさんのナイスミドルなおじさま像が崩れる。


 寂しそうな他の展示を見て回るかな。ホントに展示物なのに泣いてる気がするよ。

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