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 遅い朝、ギリギリで朝食のルームサービスにありつけた。奥さん達が妖艶に代わる代わる襲ってくるので、また搾られた。今日は無駄にレベルの上がった特別役職枠のステータス恩恵のお陰か体力の回復が早かった。


「旨いが、この差は微妙じゃね?」


「いいじゃん。こっちも旨いぞ!」


 貴族という地位の差が朝食にも現れる。こっちの方が豪勢で一品多い。申し訳なく思うぞ。


「昨晩は、ご馳走さま。美味しい。今晩も、いただきます」


「あー、暗に精をつけろと? いや、隠してないな。ダイレクトだ」


「むー。最近、分散して一晩が濃くないです!」


「残念ね。控えろって第一夫人に言われちゃったわ」


「いや、毎日がおかしいって!」


「毎日がいいの!」


 おおう。フィーリアが強気だ。奥さん達には、もう嫉妬しないと思っていたのにな。


 ん? これは? へー、この国って俺のものだったんだ。この情報だけだと判断がつかないが、()()返すよ。ふむ。ルーク王国滅亡っと。誰か知らないけど「新国王」に『王命』っと。


「おふぅ。この『王命』って魔力食うな」


「そう言えば、今日がお祭りですね。何かあったんですか?」


「これ」


 二文字職 貴族(奪爵)

  レベル10

 三文字職 王太子(亡国)

  レベル11

 四文字職 国王陛下(旧ルーク王国国王)

  レベル11


「レベルの、上がりが、早い」


「今晩も体力が回復しそうです♪」


 そこ違うよね。まあ、ステータス恩恵は大きいけどな。そんな事よりカッコ書きを読んでほしいな。


「何か、一気に落ちぶれましたね」


「いや、元から偉くはないよね。言い方が酷い」


「さっき『王命』を使ったのですか?」


「ああ、この国は新規に王様を立てるそうだよ。さっき、何や知らん通知が来て、「新国王」に『王命』で任命したよ。お陰で魔力をごっそり持ってかれた」


「その『王命』って「貴族」とかの枠を他人にあげれるのですか?」


「無理っぽい。よく分からないけど、正式なのは相手にも条件が必要みたいだ。「貴族」って言うくらいだから、どっかの領主にならないと駄目なんじゃないかな」


 事実、「王子」を奪ったあとに試したけど、「王女」や「貴族」は無理だったんだよね。まあ「貴族」はあれとして、「王女」は子供に与えるのかもな。他の候補は思い付かん。


「ご主人様! 王さまの奥さんになりたいです!」


「んっと、呼び方って何だろう?」


「王様の奥様は「王妃」ですよ」


「フィーリアを「王妃」に『王命』。んぐふぅ~。思いっきり魔力が吸われたぞ。なんだこれ?」


「ご主人様! 見てみて~♪」


 どれどれ?


 二文字職 王妃(旧ルーク王国第一夫人)

  レベル1


 おふぅ。条件を満たしていたのか。そっか、「王妃」か。王様の奥さんはちゃんと特別役職枠が追加されるんだな。


「「「わくわく♪」」」


「できるか分からんぞ。順番は? ってか第五夫人まで枠があるのか怪しいぞ」


「ミーディイが三番だな」


「何と言ってもベタ惚れですからね。私が五番で、サロワナが四番。もちろんロザンナが二番ですよ」


「ん。否定は、しない」


「お、おう。って、四番とか五番は怪しくないか? いいのか?」


「いいぞ! まあ、貰えるなら嬉しいけどな」


「そうですよ。貰えるなら欲しいですが、欲張ってはいませんよ」


 なら、ロザンナ、ミーディイ、サロワナ、エフェロナ、の順に『王命』で「王妃」を与える。ふむ。フィーリアの時より消費が少ないぞ。それに成功したっぽい。


「ちゃんと第五夫人まで枠がありましたね♪」


「なあ、フィーリア。フィーリアだけ魔力消費が多かったんだよ。何か隠してないか?」


「うっ! ……えっと……ご主人様の奴隷が消えました。私のアイデンティティが失われました」


 何故に? って、よく考えたら、奴隷が王様の奥さんじゃおかしいよな。その消滅のために魔力が過剰に必要だったのか。


「フィーリア、おめでとう。冤罪だったが、奴隷から解放されたな」


「嫌です! ご主人様の奴隷が良いのです!」


「第一夫人よりもか? こっちの方が健全だぞ。まあ、みんなには転職してもらうがな」


「「「え~」」」


「「王妃」が街中を歩けると思うな! あー、四文字職になって欄を隠せるようになったら「王妃」を許可する。それまで封印」


「「「はーい」」」


 からかうくらいなら素直に応じてよ。さて、問題も解決したし、転職、冒険者ギルド、ダンジョン、と今日は過ごして、明日は王都行きだな。




  ○  ○  ○



「「強癒」ですか? リスクが大きいと思いますが」


「いや、多分だけど、自然回復の魔力でも補えるレベルになってきていると思う。少なくとも食事や睡眠の回復量の方が高いだろう。むしろ、不意な食中毒とか体調不良に魔力消費で気付ける。自覚症状が無くても自己診断が可能だ」


「心配性」


「まあ良いでしょう。過剰に優しいのがご主人様の取り柄ですよ」


 と、みんなが「王妃」から「強癒」へ。俺は「王太子」から「残具創(ジャンクリメイカー)」へ。それぞれ転職。やっと素材が活用できるぜ!


「うぅ。「王妃」に戻れるかなぁ」


 バグ体質だったな。ふむ。


「もし戻れなかったら、『王命』でまた命じてやるよ。それなら強制転職になるだろう」


「あっ、そうですね。はい♪」



  ○  ○  ○



「新国宣言。方々は荒れるぞ。役職無いと王国は舐められるからな」


「伝書鳩にしては早いな。今日の祭りの話だろ?」


「ふーん。驚かないんだ。さすが旦那様だ。気付かなかったことにしといてやるよ。「伝聞師」を使ったんだよ。ありゃ便利だが、王国の管理だからな」


 八百万(ゲーム)ではオープンチャット以外は「伝聞師」が必須だった。個別チャットやパーティチャット、クランチャットもな。不便だが、誰かがスキルを行使していれば良いという電波塔の役割だ。


 こっちでも仕様は同じか?


「伝書鳩より早いんだが、結局は書き起こすのに時間がかかる。密書みたいに届くんだよな。しかも王国が管理してるから私用には使えねぇ。まあ、暗号にしないと盗み取られるしな」


 ふむ。性能は良くないっぽいな。使えるなら、ファースト領のみんなの状況確認したかったのにな。


「もう、行くのか?」


「ああ、明日の朝だ」


「帰りにも寄れよ。抱かせてやる」


「痛っ! もう十分に奥さん達で満足です。他に行ってくれ」


「つれねえな」


 詳細は不明だが、やはり新国設立らしいな。もう国の形は成しているから十年統治したら「国王陛下」に成れるらしい。何でも特別役職枠の「新国王」には早々に成っているってよ。


 この「新国王」に成ってから十年らしい。更に言えば、他国からも認められ、()()()()「国王陛下」に認められないと「新国王」には成れないそうだ。直ぐに他国にも認められたと民の評価は高いらしい。


 でなければ、統治者なしの他国からの領土争奪の戦争だったらしいぞ。ほんと「新国王」に成れて良かったね。この情報は早々に伝播しないと戦争を警戒して民の流出に繋がるらしい。素早い対応な訳だ。


「なあ」


「お断りします」


「ちげぇよ。小太刀だったか? あれ、なんぼだ?」


「売らねえよ。俺の第三の愛刀なんだよ」


「多いな! あぁ、入手手段を聞いたら……高いか?」


「ああ、()()()()()


「そうか」


 こう話の早いトップがいると助かるよな。バグ職の転職手段(俺が抱える情報)は、身内にしないと害をなすだけだな。あっちじゃネットで検索で一発の情報なんだけどな。


 さて、ダンジョンで素材集めるか。奥さん達も楽しみにしてるしな。

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