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やって来ました、ダワス領唯一のダンジョン。初級に分類されているが、変則的である。遥か過去に荒れた時期があってダンジョンが変質したらしい。ゲームにはない要素。油断せずに行こう。
「狩りになんねぇ!」
ダンジョン一層、サロワナがぼやく。それもその筈、人が多くてゴブリンが居ないのだ。湧いた側から狩られる。これで稼げるのだろうか?
まあ、パーティ人数が二人か三人。頭割りだと褒賞金が一匹五ルーク程度か。んー、装備がへなちょこでも狩りが成立するので良いのかな? 極端な話、ゴブリンドロップで倒せば武器なしでも潜れる。
ゴブリンこん棒で殴る新人の多いこと。湧きが多いのでギリギリ成立しているのかな?
変質その一、湧きも多いが横湧きもする。人が居れば湧かないのが常識のダンジョンなのに側でも湧く。一説によると、ダンジョンが内包する魔力が多いせいだとか。知らんがな。
○ ○ ○
変質その二。二層がコボルト。うん、入り口の転移魔方陣は、どこぞのパーティが占拠しているので安全だった。ここも横湧きするようなので、レベルの低いパーティなら一番安全だろうな。
「少ない。出番が、ない」
人とすれ違うので素材集めが難航する。人目を気にするからな。二層は移動狩りが主流のようだ。待ってるより湧いたのを探す方が効率はいい。油断できないのが横湧き。なので全員が前衛のアタッカーっぽいパーティが多いのだ。
一時、狩ったが、飽きた。
「三層、行くか?」
「「「はーい」」」
コボルトと遭遇し辛いので歩く方が多い。飽きる。好き好んで洞窟を散歩したくはない。
ってことで、三層へ。
○ ○ ○
「多い! いく! 『肉皮剥ぎ魔術』!」
「ロザンナ!」
「追撃します! 『肉皮剥ぎ魔術』!」
ボト、ボトボト、ボトトト…………。
「飛んでるグレムリンを撃ち落とせ!」
「「「はい! 『骨下拵え術』!」」」
容姿は一言で言えば黒いゴブリン。変化があるとすれば、背中の小さな羽。コウモリの様な羽が付いているが、あれじゃ飛べないだろ! と、突っ込んでも飛んでいる。
本来なら中級ダンジョンの様な初級より深いダンジョンで出るモンスターだ。階層で言えば五層と六層。ゲームならな。ここは一足飛びにモンスターがランクアップするらしい。
しかし人気は全くない。何故なら、一律一匹15ルークの褒賞金はファースト領と変わらないが、三文字職のレベル10で打ち切られるのがダワス領の褒賞金なのだ。
で、グレムリンは空を飛ぶ厄介なモンスター。長物の武器か遠距離攻撃手段が必要だ。
ここで二層を考えよう。先に前衛アタッカーのみのパーティが多数存在する事実。そう、遠距離攻撃や取り回しの大降りになる長物が使われないのだ。結果、三層で戦える存在がダワス領のこの街に存在しない。
むしろ三文字職のレベル10でフィールドに出る。儲けがいいからな。いや、ダンジョンで儲からなくなるからだ。褒賞金がなければ、倒しても無意味な行為にしかならない。
三文字職のレベル10なんてあっという間だ。せめてレベル15ならグレムリンを狙うやつも居たかもな。
「入り口封鎖しとく。素材になりそうか?」
「はい♪ 骨布七枚です♪」
「黒色よね。下着に欲しいわ。でも塗り替えれないのよ……あら、いけるわ」
「「「ホントに!?」」」
「ええ、レベル15で増えたのかしら? これで三色ね♪」
「「「狩るぞ~♪」」」
「ふぉー! こっちはブラジャーにショーツ、グローブにソックス。大盤振る舞いです!」
「「「きゃ~♪」」」
グレムリンの価値がうなぎ登り。ストップ高だな。俺は明日の結果までは『武具創り』が出来ないから寂しい。銛から何が作れるのか楽しみだ。ちなみに銛しか持ってないグレムリンだ。
「ご主人様。羽だけ何も出来ませんよ」
「マジで!?」
「持って帰りますか?」
「頼む。不要ならダンジョンで捨てるから」
ゲームでのグレムリンのドロップアイテムは確かにコウモリの羽だった。どこぞの魔女が生薬にでもしてたのかと思ってたよ。いやね。俺って「残具創」初体験だったりするんだ。
生産物を買えば済むから、混沌の世界である生産系には進まなかったんだ。何気にこの世界で初めて使う職ばかりだったりする。バグ職ってネタが多いから選ばないと強くなれないんだよ。
更に言えば、八百万と異世界じゃ仕様が違うときた。手探りすぎて大変なの。「乱剤」の『乱雑調剤』でお豆腐ができるとかおかしくね? あー、豆腐の味噌汁食いてぇ。
「ご主人様~。山にすると大変ですよ~」
「あー、済まん。ボーッとしてた」
ちなみに白属性の小太刀は土属性に変更してる。目指せ五千匹。明日の朝から潜って、一気に到達してやろうか。土属性の『妖刀刺し』は砂嵐が吹き出るので、多少は敵が吹っ飛ぶが五体満足で殺せる。
「先進んでください。素材にしちゃいますから」
「はーい」
この日は久々にダンジョン無双した。うん。雑魚狩りならモンスター溜まりがいいよね。
○ ○ ○
夕食後、入浴後、今日の戦果確認。
コボルト、骨布165。
グレムリン、銛631、双翼631、骨布4417。
コボルトの他の素材は、保存場所の関係で泣く泣く捨ててきた。高級宿も時期が来たら撤収だしな。今回の狩りでアイテムボックスに空きが少なくなってしまった。「残具創」の復活を望む。
んで、奥さん達はパーティータイム。もう裸だし。作っては着る。色も作って染めているので黒だ。中間色が灰色で意外に奥が深い。ちなみに男に優しくないラインナップ。
→ソックス(共通) 消費26
グローブ(共通) 消費26
ショーツ(女性) 消費45
ブラジャー(女性) 消費88
デザイン変更 消費3
女性推し。グリーブが直穿きなので嬉しいのだが、フィット感は悪くないので猛烈に欲しいかと言われれば疑問。手袋はガントレットで十分。俺得なのは全くない。いや、ある。
「ロザンナさんのガーターベルトにストッキングが色っぽいですよ!」
「あら、ありがとう。フィーリアちゃんの様に若い肌で勝負できないから隠したかったのよね」
ロザンナ、黒のランジェリーに黒ストッキングでガーターベルト。うん、その足で踏まれても幸せだろうな。
フィーリアの純白な天使のランジェリーセットも可愛くてエロいぞ。(物理的に)尻に敷かれても怒らないよ。
名称が違うだけで、ゴブリンのランジェリーとグレムリンのランジェリーは同一っぽい。ただ、グレムリンのランジェリーを作ることで新たなデザインが増えたそうだ。どんだけデザインがあるんだ?
戦闘メイドへのお土産が決まったな。
さて、従者用のベッドで寝るか。とーっても長くなりそうだしな。久々にのんびりと……。
「あっ、ご主人様。後で感想を聞かせてくださいね♪」
「今日は、私が、最初で、いい?」
「私も日々成長しています。打ち止めでも搾りますよ!」
「分かったわ。じゃあ、ご主人様、これ、どうかな?「バタンッ」」
たわわの双子山が零れそうな際どいのですね。そんな凶器で攻められると、それでなくても枯れそうなのにぃ………………あっ!
代わる代わるセクシーなランジェリーで攻められた。一対一なので……勝てないや。フィーリアにすら。一回りしたのは覚えて、zzz。