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 ベッドでのんびりしてたら、ふと「国王陛下」のパッシブスキルが発動した。特別役職枠という「国王陛下」が与奪の権利のある二重職を与えている数だ。このお陰でスキルの一つが判明。


「この国に残ってる特別役職枠は「王子」の一つのみか。王権奪還とかあったら折角の四文字職の枠が盗られんのかな? 『王命』。おぉ? 魔力が結構持ってかれるな」


 ごっそりと魔力が持ってかれた。が、この国から特別役職枠が潰えたのを確認できた。戦闘狂の王様のお伽噺っぽくしてみたが、七文字職業枠が増えることは無かった。残念。


 「心技体(オールステータス)」で魔力保有量は上がっている状況でここまでの魔力消費を感じたのは初めてだ。んー、よく分からんが、何かの企みが潰えた気がする。いい気分だ。


「ご主人様。体を流してからベッドに寝ましょうよ」


「んー、飯のあとでー」


 魔力枯渇はしてないが、一気に消費したので怠いのだ。うつらうつらしてたら、奥さん達が散策を終えたようだ。


「従者用とか言いながら高級過ぎだ!」


「あれなら、熟睡。持って、帰りたい」


「お風呂もありましたね。お湯の用意が分かりませんが」


「んー、どんなのー?」


「船の形、なのかしら。船は見たことないから、聞いた形を想像しただけなのよね」


 へー。こっちにも湯船の文化があるのか。確かに宿の設備として置いているのだ。お湯の供給手段が不明だな。


「食事の時に利用方法を聞こうかー」


「楽しみです!」



  ○  ○  ○



「お湯は当方が用意します。直ぐにご利用ですか?」


「食器を下げるときに頼む」


「畏まりました」


 従業員が数名で食事を持ってきた。コース料理を一気に並べた感じ。


 俺一人分。


 ってことで直ぐに奥さん達のも用意させる。貴族って一人で食べるの? 何か寂しくね? 怪訝な顔を一瞬されたが気にしない。みんなで食べるのだ。


 どうも回りくどい。


 テーブルすら運び込まれて、俺一人。奥さん達は別のテーブル。食事のランクも落ちてる。これ以上突っ込むと怪しいだろうから止めておく。その代わり飲み物は俺と同じものを用意させた。追加で200ルークも取られたがな。


「食事を持ってこさせるだけで地味に疲れる。取り分けよう」


「いいですよ。本来なら、ご主人様と従者が同じ食事というのが変なのですよ。こちらも十分美味しそうです」


 メイン皿のランクがあからさまに違う。俺のは上質なステーキ。奥さん達は肉の煮込みスープ。生野菜のサラダとかこの世界で初めてだが、大丈夫か? 逆に不安になる。


「王都じゃねえが、初の酒だな!」


「楽しみです♪」


 飲み物はワインっぽい。食前酒っぽいので量はコップ一杯。初めての酒なら良いだろう。まあ、俺の方にはワインボトルがあるのでお代わりできるけどな。


「貴族って堅苦しいな。まあ、食べるか。いただきます」


「「「いただきます」」」


 定着しつつある「いただきます」を言って食事開始。ん。旨っ。肉が柔らかけえ。これは明日から追加を払ってでも平等にしたい。


「んー、美味しい?」


「上品なワインよ。これで美味しくないなら、酔い方を覚えて酔うために飲むしかないわね」


「ん。美味しい」


 ワインは美味しいらしい。確かに肉料理の後味をスッキリさせて飲みやすいな。初飲酒が15なんて、あっちじゃ怒られるな。こっちの世界ではセーフらしい。


「んー、んー、カッカする!」


「フィーリアちゃんはお酒に弱いのね。無理しないのよ」


「んー、んー、お代わりできるもん!」


「フィーリア、酔った?」


「みたいだな。私らは平気だよな」


「初めての、お酒。にしては、ちょっと強かった」


 食事を終えしばらくしたら、フィーリアが。


「zzz」


 めっちゃ弱いな。ベッドに横にさせておく。俺も慣れぬ酒にちょっとふわふわと浮遊感を感じるが、暴れたい衝動とかはない。ほんのり幸せ。


 ノック。従業員が食器を下げに来た。お風呂はというとアイテムボックスに湯を入れて湯船を満たしていった。アイテムボックスってひっくり返せるんだ。


「しゅじん~ん。入ろ~ぜぇ」


「呂律が怪しいぞ。風呂入って大丈夫か?」


「うふふ。気にしないの~♪」


「…………入る」


「脱ぎ脱ぎしましょうね♪」


 甘ったるいサロワナ、おっとりとしたロザンナ、目の座ったミーディイ、世話焼きになったエフェロナ。みんな酔ってんじゃん!


「…………大人の、風呂」


 ミーディイの言葉でスイッチが入ったお姉さん達。リミットが解除されてる。ヤバい、これは、最後の一滴すら…………あー!


 俺も何かと理性が緩くなっているようだ。求められ、求め、求められ、お風呂から出る事が出来ない。幸せな風呂や~。



  ○  ○  ○



 気付いたらベッドの上で朝だった。石鹸があって買って帰ろうとまでは覚えている。ヌルヌルと気持ちよかったからな。で、どうなった?


「ひっく、ひっく、ひどいよー! 私だけ仲間はずれだー!」


「フィーリアちゃん、ごめんなさいね。おばちゃん、酔ってたみたいなの。決してフィーリアちゃんを除け者にしたのではないのよ」


 うん。衣服も纏わずみんなで寝てたら、衣服も乱れていないフィーリアは察するよな。嫉妬以上に哀しみが強いのか、ロザンナに抱きついて泣いてる。あやしてはいるが、フィーリアは微妙に酒が残ってるっぽい。甘えん坊の泣き虫になってる。


 一つ訂正したい。ロザンナはお姉さんだ。おばちゃんには早い。


 今日は何するかなと悩んでいたら、フィーリアの矛先がこっちに向いた。カラカラだよー、もう少し休まないと無理じゃないかなー。


「慰めれ!」


 朝食の後にお湯を張り替えて貰った。20ルークなり。


 湯船にも床にも不自然な窪みがあるなと思ったら、そこにアイテムボックスの入口を開いて水を流し込んでいた。排水も人力だったのね。勉強になる。


 午前中は、フィーリアとまったりお風呂。二人なら湯船にも浸かれた。こっちで初入浴か。昨日は湯船があるのに場外戦だったしな。


 おーっと、今はフィーリアだけだよー。


 一晩では回復しきってないのに、元夜の蝶直伝のテクニックで強制的に復活させられた。フィーリアの成長がすごくて、午前中は腰砕けでしたとさ。

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