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 ふむ。そう言えばお金って飛んでは来ないよな。ならどうなるんだって事だが、飛んでくる利益もあったようだ。まあ、金を拾いに行くよりは楽だろうな。それにこれはないなぁ。


 二文字職 村正

  レベル10

 二文字職 戦術

  レベル10

 二文字職 貴族

  レベル1

 三文字職 心技体(オールステータス)

  レベル14


 まではいい。いや、良くないけど。どうも冒険者証に表示されるのは四枠が限度のようだ。あれ? 元ギルドマスター(偉そうなおっさん)はちゃんと七枠表示されてたな。


「あら? 貴族に格下げですか?」


「いや、色々と貰った気がするが、冒険者証の種類によって表示枠が増えるのかな?」


「確か、そこは自由に変更可能ですよ。枠の追加は四文字職になってからなら、冒険者ギルドでお金を払ったら枠の増えた冒険者証と交換してもらえますよ」


「金払うなら不要だな。変更って、んー、こうか?」


 三文字職 王太子(ルーク王国第一継承権所持)

  レベル1

 四文字職 国王陛下(ルーク王国国王)

  レベル1

 五文字職 -

  レベル-

 六文字職 -

  レベル-


「すっげー。王さまじゃん!」


「重複が、おかしい。王太子で王様」


「倍の偉さがあるのでしょうね。いいことですよ」


「いやいや、他におかしいのがあるでしょ!」


「ご主人様ですから」


 んー。フィーリアはそれで俺が納得すると思うか? どうなったらこうなるんだよ! 誰か教えてー。


「とある戦闘狂の王様のお伽噺です」


「ん?」


「その王様はいっぱいスキルが使いたくて、自分の配下である貴族の枠を奪ってしまいました」


「それで?」


「一つは増えたのにいっぱい取ってもそれ以上は増えませんでした」


「終わった!」


「諦めの悪い戦闘狂の王様は全ての貴族から奪ってしまいました。なら、なんと!」


「おぉ!」


「三文字職も増えたのです! いっぱいスキルが使えて嬉しい王様ですが、国は潰れましたとさ。おしまい」


「ダメじゃん! ってことは同じ現象か?」


「お伽噺の戦闘狂の王様より集めたのでしょうね。凄いです」


 ロザンナの戦闘狂の王様のお伽噺は本当かは怪しいが、検証する気にはならないな。そして、面倒だが嬉しいことに一気に六文字職が解放だ! っと転職神殿で祈ってみる。当然、転職は無理なのだが、オッケー。


「早く四文字職を転職したい」


「何か候補が?」


「四文字職から訓練所がないのは知ってるだろ?」


「見ねーな。気にした事もないけどな」


「四文字職から、条件到達で職業が解放されるんだ。なお、四文字職業枠が解放前でも蓄積されてるから、今からでも条件を満たすように戦ってもいいかもな」


「ご主人様は条件を満たしているのですね」


 一つは、刀を装備してモンスター千匹討伐の「正刀村正」。これは「村正」が人気過ぎて普通職に抜擢された四文字職業。意外に不人気。「村正」の利点がこっちじゃ消されてるんだよね。


 もう一つは、闇魔法でモンスター千匹討伐の「妖術使い」。ゲームだと闇魔法だが、黒魔法でオッケーだった四文字職業。黒属性攻撃は魔法扱いだったから覚えられたよ。


 狙うは四文字バグ職の「妖刀村正」。これで二文字職の「村正」を外しても問題ないんだよね。「村正」は吸血による武器耐久値の回復が利点なんだよ。これなら武器の消耗を気にせず戦える。


「一日国王かよ!」


「いいじゃん! 柄じゃないよ」


「ご主人様? 冒険者証をどう表示するのですか? 三つがお偉いさん。後は五文字職に六文字職。どれも目立ちますね」


「……ロザンナ。対応を頼む。俺は五文字職の空白にしとくよ。お偉いさん枠は問題しかない。見せないと駄目ならこれでいく」


「分かりました。冒険者ギルドへ?」


「そうしよう。ダンジョンの状況だけ確認しよう」



  ○  ○  ○



 意外に空いてる? いや、買い取りカウンターが繁盛してる。夕方だしな。肉が多そうだから、需要が多いのだろう。


「すみません。ダンジョンの状況を教えてもらえますか?」


 空いてる依頼カウンターへロザンナが聞いてくれる。美人に声をかけられた男性職員がおどおどしてんな。ちょっと楽しい。


「冒険者証をお願いします」


「はい。どうぞ」


「バグ職……失礼。ダンジョンへの入場は可能ですが、ここダワス領では三文字職のレベル10以降は褒賞金がありません。今のお薦めはフィールドでのウルフです。お祭り景気で肉の需要が高まってます」


「ありがとう」


 ありがとう。その一言で男性職員が悩殺されてら。よく見れば、注目浴びてんな。奥さん達だけど。俺のだぞー。手を出したら痛い目みせるよー。


「宿、探すか」


「「「はーい」」」



  ○  ○  ○



 もう少しでナンパされそうな雰囲気だったので離脱。俺じゃなくて、奥さん達ね。そして、困ってる。


「宿がないですね」


「んー。あっちは?」


「可能性はありますね。お値段が怖いですけど」


 富裕層エリアに近い辺りを散策。仕方がない。特権使うか。


「お客様。こちらは貴族向けの宿泊を営ん……あ、はい。失礼しました」


 二文字職の「貴族」を見せた。冒険者証だが、まあいいだろう。


「お忍びだ。空きはあるか?」


「セミスイートなら空いております。ですが、ベッドの数が……」


「いい。どうせ一緒に寝るんだ。同じベッド()使()()()()()


「し、失礼しました。セミスイートは従者用含めてベッドが四つです。お食事は如何しましょう」


「朝夕込みで。気に入れば連泊する。いくらだ?」


「850ルークになります」


 二泊分渡しておく。チップって必要かな? そう思われたらあげよう。


「二泊ですね。畏まりました」


 チップの文化は無いのかな? まあ、こんな機会はもう無いな。悩む必要なし。転職が落ち着くまで定宿になるかもな。安宿空いてないし。


「ご案内いたします」


 案内された部屋は広かった。小さな食堂もある。これはルームサービスってことかな。一階に食堂っぽいのは無かったしな。


「お夕食はいつ頃にしましょう」


「用意できたら持ってきてくれ」


「畏まりました。では、ごゆっくりお過ごし下さい」


 ぷはー。


「貴族のご主人様ぁ。私達をどう使うんですぅ?」


「勢いだよ! そうでも言わないとフィーリアだけ追い出されるぞ」


「それは嫌です」


「まあ、のんびりしようよ。気持ちが疲れた」


 思い思いに部屋を散策する奥さん達。俺はベッドにダイブ。はー、無駄に疲れた。早く転職してぇ。

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