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 荷物を置く必要はないが、フィーリアの衣服は置いておいてアイテムボックスは空けとくと便利でもある。ので、部屋の様子見を兼ねて移動する。


「趣がありますね」


「素直に古いって言っていいと思うよ」


 10畳くらいの大きな一室。ベッドが1つなので広い空間がある。ベッドがキングサイズでも広い空間がある。うむ。理想的だ。テーブルもあるので夕食はここで食べてもいいかも。


「ごしゅじんさまぁ♡」


「誘わないの! ベッドは寝心地いい?」


「とてもいいですよ。カビの臭いもしませんし、丁寧な仕事です」


 確かにマットレスは弾力は少ないが、昨日の藁のベッドと比べれば段違いだ。元が豪商の泊まっていた宿というだけある。年期の入った家具類は連れ込み宿とは思えないな。落ち着いてしまいそうだ、色々と。


「金もない。ゴブリン殴るぞ!」


「はい。ここから一番近いダンジョンに行きましょう」



  ○  ○  ○



「ここ、モンスターが多くね?」


 すでに4匹。瞬殺されたゴブリンが転がっている。


「立地ですね。色街に冒険者が寄っていくのはダンジョンではなく夜の蝶ですよ。女性冒険者は近づくのも嫌煙しますから、ライバル少なめです」


「モンスターが外に出るんじゃね?」


「ここが一番多いと聞きます。でも、年に数回ですよ」


 そんな環境でも逞しい蝶たち。昼から誘う、女連れでも誘う、ダンジョン入り口前でも誘う。もうすっごい色香で逆に引くぐらい女だった。フィーリアの誘いが子供のままごとの様だった。


「むっ! 女を否定された気がします!」


「気のせい」


「やはり肌色多めの方が直接的ですよね。ご主人様は着替え観賞が好きですから」


「参った。控え目なフィーリアを望みます」


 納得はしていないようだが、ダンジョンの中頃でもゴブリンが寄ってくるのでフィーリアの耳を削ぎ落とす作業に終わりがない。ブツブツ文句を言っているが無視してゴブリンを殴る。


「お、珍し。剣持ってら」


「ゴブリンソードマン!? ご主人様、気をつ……はい、予想は出来ていました。ゴブリンソードは安価ですが売れます。この剥ぎ取りに使っているナイフもゴブリンソードですよ」


 見比べれば確かに同じ品だ。ゴブリンが小柄なのでソードにも見えるが、まず短いので人間には短剣だ。あと、両刃直剣のロングソードではなく、反りがある片刃だからシミターだな。


「品質、良くないよな」


「新人冒険者の剥ぎ取り用ですね。あ、れ? 色が違う?」


「いや、そっちのゴブリンソードが赤く変色してるの。以前より切れ味が上がってる証拠だね」


 と、言いつつも内心はビックリしてる。ゲームだと吸血上限に達したら色が赤くなるエフェクトだったが、こっちじゃ途中経過も分かるんだね。


「これが金策でしたね。どの程度の価値を出してくれるでしょう。楽しみです」


 俺は空いてるアイテムボックスにゴブリンソードを仕舞う。最大まで強化したゴブリンソードに価値があれば、これは次の商品になる。予備は多くあっても持ち運べるなら困らんな。


 ここの狩場は穴場だな。短時間で11も狩れた。よしよし。


「ゴブリンはそんなに簡単に倒せませんよ。二文字職がパーティで倒すものです。さすがご主人様、とベッドで誉めますね♪」


 もっとご褒美を要求しそうだから止めて。



  ○  ○  ○



 所持金が12ルークから165ルークの褒賞金で177ルークになった。ギリギリ生活可能か? いや、服とか考えると余裕ないな。物が揃ってから増え初めてが余裕ってやつだろう。んで、今は10ルーク消費の夕食。


「食堂でこんなに食べれるって幸せです♪」


 フィーリアの極貧が伺えるグルメリポートだ。ちなみに安いだろう肉が少し入った野菜炒め(塩味薄め)に硬いパンとスープだ。飲み水が有料な可能性も考慮したが、魔法で何とかなるようでサービスだった。1食5ルークなり。


 俺はこの料理に嘆くかと思ったが、意外に美味しく食っている。日々レトルトやインスタントで済ませていたからな。手料理がこんなに美味しいことを忘れていたよ。稼げるようなら上の味を目指そう。


「もう奴隷レベルが5です。ご主人様の所有物の価値がまた上がりました」


「素直にフィーリアのレベルが上がったって言ってよ」


「自身も忘れるほどにご主人様は奴隷扱いしないので主張します」


「はいはい。この調子でレベル10目指すよ」


「むぅ。扱いが雑だと肌色多めで添い寝しますよ!」


「今でも怪しいのに……生娘でいようよ」


 2日目の晩にしてピンチか? いや、据え膳……まだ高楊枝でいこう。出会ってからが濃い時間だが、まだ短い時間しか交遊してないんだよ。


「まあ時間の問題です。ご主人様、明日にでも着替えを買ってください。洗濯が出来ませんよ」


 そういえば、服はファンタジー村人な格好になってたんだよな。顔は未だにアバターなのかリアルの方なのか確認できてないけど、体に違和感はない。で、2日も着てれば少し匂う。確かに必要だな。


「服って高い?」


「古着は品によりますが30ルーク前後で買えます。新品は考えない方が幸せです。装備も本当は必要ですが、厳しいですよね」


「ふむ。服は明日の昼に買いに行こう。朝はゴブリン金策。昼からは着替えて考えよう」


「分かりました」


 宿に帰って裏庭の井戸で行水する。が、混浴(?)なのでフィーリアが隣で身を清める。互いに裸なのでバレバレで恥ずかしい。


「うふっ♡」


 恥ずかしいけど、一緒に寝る。健全に。ベッドが1つでキングサイズでも寄り添うフィーリアを拒めない。でも、健全に。ぐふっ! zzz。

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