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一層も危険が孕んでいる。欲望と言う危険が。サロワナには脱がせてアイテムボックスに隠蔽。無駄に下着で着ていたのがおかしいが、服を着させて奥さん達とギルドへ。
「あれって蒸れると思ったけど、快適だったぞ!」
「戦闘用にするか?」
「いや、可愛くない。あと、音がうるさいんだよ」
「俺もそう思う。サロワナがあれを着るなら別行動だな」
「酷い!」
冒険者ギルド支部へ。相変わらずの暇っぷり。
「買い取りですか?」
「いや、状況報告と……ある意味、買い取りか?」
人が居ないのを再確認してゴブリンフルアーマーを出す。これですべて通じるだろう。
「二層……ではないですね。一層ですか?」
「ああ、一層の奥を探索した結果だ。宝部屋と言われる部屋が四つあった。そのうち二つから出てきた。ああ、ゴブリン200匹が溢れてくるから、今の三層よりも攻略は難しいぞ」
「アリエッタさんが報告や推測をここまで間違えるとは思えませんね。湧きの偏りを更に前の前任者が隠してたのでしょう。全て探索を終えたのでしょうか?」
「いや、奥でも広い。今日でも半分だろう。一攫千金だが、この情報をどう扱う?」
「ドライさんは無傷ですよね。ゴブリンでも200となると危ないです。過去の宝部屋の情報でもゴブリンの階層では50、多くて100です。基本的に宝部屋ができるほど放置されませんので最近は発見例は無いです。このままドライさんが全て駆逐するというのは?」
悩むんだよな。聞いた情報だと、薬師男衆の仕事は薬効ポーションの下拵えだった。薬草の選別はいいのだが、煮込み解かす作業が重要らしい。そうする事で飛躍的に魔力の消耗を抑え、品質も向上するようだ。
ここで考えているプランは、養殖育成の間に生産だ。一時は、少なくとも二文字二重職に就くまではこの流れだ。煮込み解かす作業に必用な鍋と火。フライパンが欲しいのだよ。出来れば一班分の22個。せめてペアで使う11個。
「悩ましいけど、お金もほしい。これっていつ売れる?」
「王都のオークションにかけるので20日以上はかかりますね」
「即金が欲しいが、損もしたくない。どうしたらいい?」
「問い合わせておきます。見積り次第で一部の前払いが出来るかもしれません」
「では、この二つ預けます」
「はい、預か……白属性ですか? 凄い」
「こっちは黒属性ね。お願いします」
「ちょ!? これ、高級……触りたくないので……」
任せた。ゴブリンのハズレレアドロップがこっちじゃ高級品か。戸惑ってる新お姉さんには申し訳ないが、対応頼むよ。
○ ○ ○
面倒だったのが貸与。88人に俺が渡していく。デザインは統一の厚めのTシャツ。誰が誰のでもジャストフィット。真の装備はサイズフリーで共有可能なのがいいね。
「「「ありがとうございまっす!」」」
濃緑に染めている。色褪せてきたら戦闘メイドに染めてもらう予定。ついでに渡すときに、明日の朝から「野心家」と「技工士」と「整体師」の訓練所へ行くように伝達。
「心技体」で魔力の底上げだ。体力も必要でもあるし、生産系は技巧も必要になる。非戦闘員だと思うからこれでいい。いざって時の命綱でもある。体を張れば盾になるだろう。うーん。ボクサーパンツも配るべきか。仕様上、防御力大事。
戦闘メイドが不遇なのも不味いな。ゴブリンで薬師男衆にボクサーパンツを配布後に、コボルトで戦闘メイドにワンピースとコート、それから薬師男衆にオーバーオールか。長いよ! ってか、数が多すぎるのが問題だ! 早く軌道に乗せたい。
手堅く、順々にやっていこう。
「「「古着もありがとうございまっす!」」」
「ああ、適度に配分してくれ」
文句言わせずに古着屋に運ばせている。金は値切りきれないが、今の服は汚すぎる。下着なしも多い。ロザンナに託したお金で用意してもらってるが、88人だ。直ぐには無理。在庫を掃いても足りない様子。
せめて、日中の作業着、Tシャツにボクサーパンツにオーバーオール。この三点は揃えて、寝巻きに古着を使ってほしいものだ。
○ ○ ○
宿で夕食。戦闘メイド達も忙しいだろうが、「強癒」のお陰で体が軽いと喜んでいる。早く長期休みを与えて治療に専念させたいものだ。
「ご主人様、提案があります」
料理上手っぽい戦闘メイド、確かダーレナだな。中衛の娘。
「聞くよ」
「はい。薬師男衆の方には自炊を教えたいのです」
「料理できそう?」
「聞き取りでは煮込みに関しては熟練のようです。味付けさえ覚えれば後は自分達で磨くでしょう。初期と定期的な指導も視野に入れています。ご主人様のお世話が疎かになりますので、お考え下さると幸いです」
確かに煮込みの火加減は薬草の下拵えで熟練だろうな。煮るのが食材になるだけだ。パンに具材たっぷりスープでも贅沢らしいからな。一日三食の時点でビックリだったようだ。
「許可したいが、薪が高くないか?」
「その辺りは、私達が貸与されているご主人様の剣を利用させていただきます。ご主人様には大変なご心労をお掛けします」
高級品らしい剣だ。気軽に使うのも躊躇っているらしいな。まあ、大丈夫だ。薬師男衆にはフライパンを用意する予定だ。薬草の下拵えに料理なら火属性フライパンが一番だろう。
「ありがとうございます」
「いや、助言ありがとう」
お風呂に入って、フィーリアが誘うので、今日はミーディイをお供に。演技派なミーディイを真似してフィーリアが俺のツボを会得していく。興奮が止まないから誘わないで、と思いつつもダウンして寝入った。
○ ○ ○
朝イチに大量の何かが届いた。薬草は分かる。香草も分かる。だが、大量の野菜が意味不明だ。肉は無いが、穀物類もある。これを全てポーションの材料と言うには無理があるが。
「アリエッタさんの指示です。少々萎びているため、不要なものは処分をお願いするとのことです」
差し入れですね。助かります。お礼を言ったら帰っていった。お、大豆もある。豆スープとか旨そうだが出てきたこと無いな。豆は食わないのだろうか?
「あら、豆とは酷いですね」
「美味しくないの?」
「いえ、嫌悪感が強い食材です。家畜用ですね。スラムでは主食なのですが、食堂で出せばその食堂は潰れますよ」
極貧用の食材なのか。豆って日本人は大好きだよ。ふむ。
「塩ですか? 少量なら……はい、用意しましょう」
ふふっ。ポーション作りより良いかもしれない。「乱剤」のスキル『乱雑調剤』。失敗の副産物が狙いだ。まあ、失敗しても材料はアリエッタさんのお陰で浮いてるからな。
このスキルの失敗作はとある場所でしかゲームでは買い取ってくれなかった。こっちじゃどんな物になるだろうか?
楽しみだな。