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 俺が火力で、フィーリアとサロワナが骨布を作り直ぐ様タンクトップへと作り換え、ロザンナとミーディイが染めていく。今回は肉と血は半放置。テンポ優先。


 ゴブリン大虐殺。


 それでも血と肉は惜しい気がするので、拾ったこん棒はマジックスタッフに、ソードはロングソードに。血で染まったらロザンナとミーディイに渡す。これでアイテムボックスの空き容量も気にならない。


「一層も奥に行けば二層並みにいるな」


「そうなんだよ。何故か奥に溜まっててな」


 終わりの基準を決めた。マジックスタッフはゴブリンこん棒100消費、ロングソードはゴブリンソード128消費。まあ、大体合わせて十本出来ればゴブリンを1000匹討伐だろう。そこで一度戻る予定だ。


 転職にも時間は食うだろうから、この討伐ペースだと十五本でも出来ればお釣りがあるんじゃ無いだろうか。時間次第だが、その数を狩ればタンクトップも大体人数分揃う計算でもある。


 その前に、ゴブリン尽きるかな? ん?


「あれ? 扉がある。あれなに?」


「「「おー!」」」


「宝部屋ですよー、ご主人様!」


 フィーリアから聞き慣れぬ単語が。ゲームにも無い要素だ。


「フィーリアちゃん、それだと危険が伝わらないわ。ご主人様、モンスター溜まりは濃度が濃くなりすぎるとダンジョンに部屋を一時的に作るそうです」


 説明によれば、局地的な超モンスター溜まりだ。開ければ無数のモンスターが出てくる。基本はそう。だが、稀に、ほんとごく稀に、真の装備が中にあるそうだ。


「いいね。開けるよ。一応構えといてね」


「「「はい♪」」」


 うーん。身を包んでるのは真の装備なんだけどな。やっぱり天然物の真の装備は違うのか、みんなが期待している。階層に沿ったモンスターが溜まるので、中はゴブリンがすし詰め状態だろう。


 解放と同時に、全く染まっていないロングソードで白属性の『妖刀刺し』による飽和攻撃。


 ん!? 思った以上に広い?


 『魔力薙ぎ』に『魔力落とし』、さらに追加でディレイの消えた『妖刀刺し』の四連コンボで駆逐する。想像以上の広さに数だ。危ないな。


「聞いた、話よりも、規模が大きい。期待大」


「大変だろうが、回収頼む」


 ゴブリンの死骸で埋まった部屋を俺はこん棒とソードを広いながら散策する。これが溢れ出たら圧殺されるな。白属性の太刀を作ってて良かった。これがないと殲滅に大分時間を要したぞ。まあ、倒せるだろうけど、無傷とは怪しいよな。


「あー、これかー」


「「「おぉー!」」」


 ゴブリンアーマー。低確率のゴブリンのレアドロップ。ゲームでは運の無駄遣い。しかし、無駄にフルアーマー。こっちじゃ売れば一攫千金か? 売るのは勿体無いか? 俺の『武具創り(ジャンクリメイク)』じゃ作れないしな。


「白属性だと当たりですよ!」


「それは、大当たり。貴族が、欲しがる」


「だよなー。普通は出ただけで大当たりだって!」


「ご主人様。触れたら効果が分かると聞きますよ」


 触れてみる。どうせゲームなら捨てられる低レベル装備なのにな。期待はしない。そもそも追加効果なんぞ無かった記憶があるぞ。


 えー? 石化軽減。


 本当に追加効果があるのにビックリだが、モンスターでも石化攻撃は少ないんだよな。フィールドじゃまず無い。ダンジョンの悪魔系統位だろう。


「状態異常軽減は当たりの方ですね。防具ですから」


「マジで? これで当たりなの?」


「良くあるネタ話に、ゴブリンフルアーマーに重量増加が付いてたけど頑張って着ていた貴族当主が居たって。効果なしの方が多いそうですよ」


 ふーん。でもね、スキルに反応があるんだよね。『武具創り(ジャンクリメイク)』のデザイン変更が可能なんだよ。


「なあ? これ売る?」


「主人が決めろよ。王都のオークションでぜってー高い金が出るぞ!」


「即金じゃないのか。まあ、弄るね」


「「「弄る?」」」


 『武具創り(ジャンクリメイク)』。消費はこん棒とソードが各3か。問題ない。形状も弄らない。オプションはスロット3。現状は石化軽減に空きが二つ。やり過ぎは怖いので、白属性に重量軽減で空きは一つ。


「どう?」


「「「……………………」」」


「ご主人様。これはない。いや、ご主人様の、装備なら、ありだけど、市場だと、値が付かない、と思う」


「いや、作る気は無いけど、これって作れるようになったんだよ! こん棒とソードが合わせて2000個もいるけど量産可能! 希少じゃないって」


「それは、ご主人様、基準。一般常識では、希少。先ず、宝部屋に、出会えるだけで、稀。真の装備、超稀。有能効果二つ、あっても召し上げられる」


 渋々、重量軽減は外した。


「これなら大当たりで済みますね」


「領主様が買ってくれるんじゃないか?」


「あそこ、全く金払わんから嫌なんだがな」


「何、売ったの?」


「形見の剣の修理、「村正」のスキル」


「「村正」の情報は高いわよ。新職業は一生の財になると聞くわ」


「……あと、バグ職の転職方法」


「「「あー」」」


「ご主人様が「王太子」になった理由が分かったわ。国庫が空になるかもしれないわね」


「それで、足りる? 真の装備、作り放題」


「ぶっちゃけ金で買える情報じゃねえよな」


「ご主人様はここの国王に成れますよ!」


 いや、面倒だって。金は欲しいが地位と責任は不要だ。それでなくても何故か百人規模の従者を養うことになってんだよ。無意味に多い。まあ、見捨てる気は無い。金が尽きなければな。


「さて、まだ足りないから頑張るぞ」


「「「おー」」」


 更に宝部屋を三つ見つけて、もう一つフルアーマーを手にいれた。今度は二番人気の黒属性にしといた。相手に弱体化(デバフ)効果を与えられるからな。面白がってサロワナが装備しているが、ガシャガシャうるさい。


「フルアーマーは無いな!」


 早く気づけ。戦場なら有効だろうが、ダンジョンには過剰と言うかマイナス。動きが鈍くなる。あと、本当にうるさい。


 宝部屋はフルアーマーよりも素材の宝庫で、こっちの方が宝に見える。結果的にマジックスタッフ9、ロングソード7、タンクトップ88に骨布が余った。


 思った以上に短時間で終わったのも宝部屋のお陰だなと合流する。


「ふぅ。おかえりなさいませ」


「もしかして大変だった?」


「転職のサイクルが思うように捗らず……申し訳ないのですが、もう少し欲しいですね」


「あー、宝部屋で捗ったからな」


「多分ですが、サロワナですよね、それ。おめでとうございます。ゴブリンフルアーマーが出たのですね」


 文句言いつつ着ているサロワナに周りの目が集まっている。多分だが、一生お目にかかれない代物なのだろう。と、言いつつ二つ目はアイテムボックスだ。


 アイテムボックスの仕様。複数で複数種類入れると、30センチメートル四方でしか使えない。同種で複数なら微妙に多く入る。単品なら一個は必ず入る。全身装備のフルアーマーはアイテムボックス一つを占領するだけで入ったのだ。


 ちなみに空樽なら入ったらしい。運ばせて悪かった。水が入ってるとアウト。どんな基準で判定されているかはスキルの仕様だ。入ればオッケーなのだよ。更に言えば水単品はいっぱい入るが、出すのが大変なので非推奨。旅人が妥協案で入れるが水も腐るからな。時間停止なんて無い。


「転職は終わってるよな」


「はい。問題なく。失敗しないために時間をかけましたから」


「なら、行くか」


「ご主人様、食事を。肉炒めなら短時間でできますので」


 それでいい香りが漂ってたか。うーん。確かに空いた。用意をお願いしつつ、上限でないレベルを確認。四班がレベル9らしい。ゲームの経験値計算であってるから、最大で256か。宝部屋一つだな。


 ここまで探索しても一層の奥は回れていない。飯の後に宝部屋を一つ見つけて、終了となった。マジックスタッフとロングソードが増えたぜ。


 報告して帰還かな。薬師男衆は戦闘メイドの引率で先に帰す。時間的に夕方だ。部屋の整理を薬師男衆はして、食事の準備を戦闘メイドはする。この人数、フライパンが足りないだろうな。剣は増えたし、何とかしてもらおう。


 ああ、戦闘メイドには帰りに「村正」に就いてもらっておかないとな。それも追加しておく。


「帰還する!」


「「「はい!」」」


「「「うっす!」」」


 薬師男衆は痩せているが体育会系? まあいい、帰ろ。

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