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「ポーションについて詳しくお願いします」


 アリエッタさんが食いついた。確か濃縮魔力ポーションと投擲魔力ポーションが一つずつあったな。フィーリアに指示して受付している「交渉人」に投げつける。一見に如かず。


「うわぷっ!? 何を! !? 本当に何したんです? 魔力枯渇がスッキリです!」


「……私も」


 こっちは濃縮の方を渡す。貪るように飲み込んだ。おー、青い光りか。血色が良くなるが「交渉人」は越えないな。「公証人」が追加を求めてくる。目が怖い。


「飲む方が売り出すポーションだ。投げる方は検証がいるので保留。まあ、どちらにしても数日は用意に時間がかかるぞ。材料がない。人材が育ってない。そもそも生活環境が整ってない」


「効果はしかと確認しました。聖水より効果があるかもしれません。薬効ポーションで良いのですよね?」


「ああ、薬効ポーションだ。最高価格のリサーチを頼む」


「大まかには考えておきます。素材はどうされますか?」


「あらゆる薬草と()()を買い取ってくれ。値段は最高価格の半値から算出してほしい。実験を重ねるがその辺は冒険者ギルドも初期投資と思ってくれ」


「薬草はわかりますが、香草? ある方がいいのですか? そこらに生えてますよ?」


 香草(ハーブ)はゲーム時代の薬草採集(草むしり)のハズレだ。先人は何でも活用しようとした。本来なら捨て値で店売りしかない香草は無駄に重量もあって捨てられていた。それを活用するバグ職業を作ったのだ。


 まあ、ネタ職業だな。ただ単に「()()()()()◯◯ポーション」とか「()()()()()()()◯◯ポーション」とかになるだけで効果は変わらない。その代わり若干だけ本材料となる薬草が減らせる。まあ、ネタだな。


「無いと困る。こっちはバグ職で挑むんだ。正攻法は使えんのですよ」


「……はぁ。よく分かりませんが、薬草の他に()()()用意しましょう」


 これでオッケー。材料は流れてくる。値段も設定してくれる。


 いやね、素人に商売なんて無理だって。ゲームにゃ相場があるが、こっちはある意味で言い値に値切りだ。確実っぽい値段なんて食事くらいだろう。それも裏でどうなってるか怪しいよな。


「では、戻りますね」


「明日にでも持っていきましょう」


「う゛っ! 早くね?」


「ポーション売り場が寂しいのですよ」


 くそう。今日が休みじゃねえ! あ、クラン枠を15枠増やしたよ。15000ルーク、痛い!



  ○  ○  ○



「と言う訳で、飯食ったら動くぞ!」


「ご主人様? 随分と急ぎますね。あと、食事は大体終わっているわ」


「なお良い」


 金がないからな。それに今日は三層では狩らない。戦闘メイドの二文字職が攻撃職じゃないからな。回復中はデメリットしかない「強癒」だ。


 流れはこうだ。


 あー、呼び名は薬師男衆で。全員男だった。


 薬師男衆の意味のないバグ職を上げきる。これは二文字二重職に近付くためだ。年齢が経験値の差になっている。レベル上限の者もいるが、転職も三文字職も許されずに意味のない二文字バグ職を強要され続けていたそうだ。


 88と割りやすい数字。四班に分ける、一班22人。目的の二文字バグ職は「剤治」「乱剤」「村正」「強癒」だ。新顔の「乱剤」がネタポーション作りの職業となる。これをずらして順に覚えてもらう予定だ。


 しかし、三文字職の経験値が勿体無いので、明日は薬師男衆には三文字職に就いてもらう。一日転職一回が痛い。まあ、朝から訓練所を通ってもらうがな。


 今日は色街ダンジョン一層でひたすらゴブリン狩りだ。バグ職をレベル上限にしたら22人一班で転職に向かう。帰って来てダンジョン入り口で待機。俺が稼ぐ経験値で養殖育成だ。目標は転職後にもレベル上限だ。


 この説明を食堂で奥さん達と戦闘メイドに話す。


「エフェロナ、入り口の指揮を執って。私と交代制でもいいわ」


「ロザンナは下着の色染めがあるわ。私がやるからいいわよ。入り口でゴブリン相手ならそうそう遅れは取らないわよ」


 若干脳筋なサロワナには触れず、ミーディイは色染めで触れず、フィーリアは年齢的に指揮には向かない、か。妥当だが、察したサロワナがふて腐れている。文句を言わないのは自覚があるから。


「メモを残せないから転職の手順は口頭伝達だ。覚えてくれ。先ずは……」


 と、お復習しておく。バグ体質は全ての二文字訓練所に通うのが通例だ。抜けはないだろう。


「では、行動開始!」


「はい!」



  ○  ○  ○



 俺のクランは平等でありたいが、伝達が俺頼りだと困る。なので上から順に、俺、奥さん達、戦闘メイド、薬師男衆、となる。自然と薬師男衆の引率は戦闘メイドに任せることとなった。


「多いですね。あー、一層のみならドライさんですから許可します」


 ちゃんとギルドのルールは守る。高年の薬師男衆はレベル上限だったので第一班として戦闘メイドに引き連れられ22人が「剤治」へと転職に向かった。この職の順番は特に考えていない。結果的に「乱剤」「村正」「強癒」と覚えるのだから。


「さて、行ってくる。荷物が増えたら戻ってくるよ」


「こちらは任せてちょうだい。特に難しくはないわ」


 ダンジョン入ってすぐのホールを占拠。少し狭いが勘弁だ。散ると守れないからな。


 ゴブリンを虐殺しますか。

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