058
昼飯はいつもの色街の定食。量は控えめだが味が一番好きだ。なんやと「強癒」も仕事してるようで食が進む。そこまでダメージは無い筈なんだがな。魔力が微量だが消費されてる。
宿に帰り、にやけたおっさんを無視して上がる。何故バレる?
「ご主人様は正直ですよね」
ポーカーフェイスは無理なようだ。戦闘なら冷静になれるんだけどな。ああ、でも、ダンジョンでは動揺しっぱなしだった。感情はコントロールが出来てないのかな?
○ ○ ○
昼からということで、お風呂。湯船がほしい。かけ湯じゃいまいち物足りない。せめてシャワー……の方が難しいか。
「お、元気だな! 美味しいのはエフェロナに持ってかれたから、今日は楽しくしようぜ!」
元気はつらつ、なのにエロい。そんなサロワナと、やっぱり控えめな事を気にするフィーリアとでお風呂だ。一夜のお遊びなら無いより有る方を選ぶよな。日常の営みなら性格と相性だろう。
「ご主人様ぁ。私はこれからです!」
「うーん。今も好きだけどな」
「ご主人様ぁ。さっきも言いましたよね。正直なんですよっ!」
お湯をかけられた。ちょうどいい湯加減だ。その後、二人が俺の体を丹念に洗ってくれるのだが。
「主人は顔に出やすいよな。こうやって焦らすと後が激しいぞ」
「ご主人様のその顔、好き♪」
おもいっきり洗われた。が、不満ばかりが募る。く、早く!
それなのに、それなのに、焦らす。
「いい頃合いだ。フィーリアよぉ。ヤっちゃえ」
「入るかな? いつもより狂暴です♪」
一度決壊したのに、どんどん溢れる。ロザンナの企み通りに激しい攻防を繰り広げた。外が明るいから働かずに怠惰する背徳感がより興奮させた。
○ ○ ○
ダンジョンより疲れたが「強癒」のスキルが仕事する。元気。
「しゃーない。時間だな。次も期待してるぜ、主人」
「私は夜の方が良いですね。見え過ぎます」
この二人にも「強癒」は仕事する。ノンストップで夕方だよ。そして判定敗けだろう。ダウンはしていないが、サロワナも熟練だった。そしてお姉さん達の教育でメキメキと実力をあげるフィーリアもいる。勝てる要素が分からない。
お風呂で清めて汚して清めた。んー、長風呂になったが仕方がない。悔しかったんだ。ここでもいい様に操られたがな。それが気持ちいいから複雑な気持ちなんだよな。
転職神殿で戦闘用にジョブチェンジ。お姉さん達は宿に戻って出迎えるらしい。なので、フィーリアと一緒にギルド本部へ。
夕方は混むが今日は荒れていない。偉そうなおっさんがあるので、冒険者はゴブリンソードでからかっている。力で抑圧されていた冒険者も多かったのだろう。
「お待たせしました。冒険者の遺品の売却額は12089ルークです」
「高いのか安いのか分からんな」
「定宿の荷物は宿の店主のものですので、持ち歩くにはこの程度でしょう。ドライさんほど金銭に余裕があれば、狩り場を変えずに安定した収入を求めますからね」
「確かに。残りは処分で。好きにしてくれ」
「畏まりました。あ、それと」
「なんだ?」
「あれは、どう処分しましょう?」
偉そうなおっさんか。改めて行った決闘も即座に降参したから用事はない。が、六文字職でも精進しないと、将来の冒険者の末路、として展示するのもいい。が、鬱陶しいな。
「あいつの借金を取り立ててくれ。展示は明日いっぱいで。その後は知らんが、危害を加えようとするなら、個人でなく組織ごと潰すことを検討する」
「畏まりました。きっちり処分します」
うん。従順すぎて怖い職員だ。もしかして内々での処分は決定してたのか? 未だに吸血した四肢は死んでいるし、人間としても終わっているからな。命あるだけマシだろう。
「帰るか」
「はい」
○ ○ ○
帰ったら17人がナイトドレスで待っていた。おっさんの鼻の下が伸びているので現役であるとうかがえる。まあ、やらんがな。俺は鬼畜にはなりたくはない。
「「「本日はよろしくお願いいたします!」」」
「ああ、よろしく」
「今日はどのような行為をお望みでしょうか?」
「それは、ここでは、な」
おっさんが前のめりになってる。世話になってるので良くしたいが、これはこれ。あと、ロザンナ達はどんな説明をしたんだ?
一度、一緒に食事に出る。さすがに食事時であり、三回に分けて食事した。まあ、5ルーク定食で勘弁だ。23人も居ると安い定食も結構な金額になるな。
次に宿に戻るが順番を決める。23人も入れるスペースはない。玄関だとおっさんが聞いてるしな。順番は歳の順で若い娘からとなった。
現メンバーで役割分担。17人の夜の蝶は一度二階の部屋に割り振る。七部屋が二人部屋になるが、その辺はあっちで考えてもらった。で、ロザンナとエフェロナは隣の部屋。ミーディイとサロワナはお風呂に配置。フィーリアは俺のお供。
流れはこうだ。お風呂で身を清める。隣の部屋でランジェリーを試着。俺に御披露目。部屋に戻す。以上。
みんなが戸惑う。先ず、ランジェリーと言うかブラジャーが想像できない。高級品らしいからな。次にお湯で清めるのは客であって自分ではないし、本来は拭くだけ。浴びるほどのお湯は使わない。贅沢だからな。
そして、行為なし。いや、17人も持たない……と思うぞ! 「強癒」でワンチャンあるがフィーリアが嫉妬するのでヤらない。
最初に五人をお風呂に突っ込んでおく。絶対に長くなるからな。
○ ○ ○
思った以上に早くて一人目がノックするのでフィーリアが扉を開ける。ふむ。スタンダードな薄緑。良い眺めだ。
「し、失礼します!」
「ここへどうぞ」
俺はテーブルに肘をたてて偉そうに構える。女性はテーブルから少し離した椅子にフィーリアの案内で座らせる。下着姿で。就職面接のような位置取り。フィーリアは俺の斜め後方で立って控える。
「ロザンナ達から聞いているだろうが、俺はクランメンバーとして明日にでもお前を、お前達を引き抜く予定だ。不満はあるか?」
「いえ! これ以上、あそこに居たくありません! 何でもしますから雇ってください」
土下座された。フィーリアに起こすよう指示する。
「話が進まないから、椅子に座っといてね。あと、ロザンナ達を見てどう思う?」
「大切にされていると感じました。医者にもかかっているようですし、とても羨ましい待遇だと思っています」
「俺はみんなにも同じ待遇をしたい。一緒に冒険者をしてくれないか?」
「はい!」
「では、適正を聞くが、偽るな。無理した戦闘は仲間を、俺を殺す行為と思え。なので正直に自分の性格を打ち明けてほしい。後に考えが変われば考え直すから、現状の素直な気持ちで答えてくれ」
「わ、分かりました!」
こうやって、下着姿の女性を愛でつつ、職業候補の初期設定を伝えていく。三文字職は人数固定であるが、二文字職の方は直ぐに変えられるからな。
「剣姫」と「村正」の前衛が2~3、「強術」と「術射」の後衛が2、「剤治」の支援が1。二文字職で大体が組める。大体の戦闘は二文字職のスキルが活きるのだ。
この割合で三文字職は「骨服師」と「肉魔飾」を半々で組み込んでいく。これらは戦闘開始時の判断で使うので、二文字職がこれだから三文字職はこれ、とはしなくて良いと考えている。
17人の面接を終えた。ランジェリーは一度、朝に回収する。俺の戦闘メイドになるまでは油断しない。まあ、夜に着けて寝るくらいは問題ないだろう。
「皆さん、とっても売り込んできましたね」
「気持ちと現場じゃ違うから変更はありそうだが、まあ、熱意はあるな」
「違いますぅ~。あっちも売り込んでましたぁ~」
「無視したから許せよ」
「あの人は流石ですね。あのランジェリーで来ましたね」
今回の最年長23歳は隠さないセクシーランジェリーで来た。流石に見つめてしまったよ。フィーリアが背中つねって痛かった。
「手は出さんよ」
「今は信じます」
くそう。信用無いな。
ロザンナ達を労って、今晩は終了。明日も忙しいから駄目だよー。
「あれ? 煮え滾った欲求を私にって流れじゃ……」
おやすみ。zzz。