051
こっちに来てはじめて寝坊した。
昨晩はフィーリアはとっても頑張ったよ。とっても健気に尽くしてくれた。でも、10年の年期の入った熟練の妙技には敵わない。だが、実地訓練されてるフィーリアの未来が心配だ。
「あっ、起きてましたか。お湯を用意しときますね」
「助かる」
正直、汗だく。搾り取られた。今日の晩は大丈夫か? 皆は先に済ませたようでフィーリアがサロワナから剣を借りていた。もう何本か作っておくか。便利だしな。
洗濯場……もう、浴室で良いや。浴室ではフィーリアがお湯を沸かしていた。湯気が立っているのでもういい頃合いか。
「そちらを掃除したそうなので使えますよ」
リネン置き場は綺麗に拭かれていた。もう脱衣所ってことで。服を脱ぎ、棚に置いて浴室へ。何故か遅れてフィーリアも裸で来た。
「サロワナさんからのお願いですが、私もしたかったので……お体を流します!」
そんな目でお願いされたら断れない。思う存分、フィーリアに綺麗にされたよ。あんなに搾られたのに、なぁ。
「このサービスをすると金が尽きるまで連日で客が来るそうですよ」
うん。元気になったよ。今晩も頑張れそうだ。
○ ○ ○
「またせた……なっ!?」
下着姿で服を作成していた。フィーリアは俺を優先してくれたらしい。服に負けたらヘコむ。
「あー、コートを一着ずつ作って良いぞ。デザイン変更は各種二回までな」
「「「きゃー♪ コート♪」」」
我慢できずにフィーリア参戦。朝飯どうするの?
「「「そんな暇ありません!」」」
寂しくボッチ飯を食った。
○ ○ ○
飯から帰ったら隣の部屋が大層賑やかだ。昼飯までに終われば良いな。こっちはサクッと終わるけど、作っておこう。吸血させておいた方が何かと優位であるからな。
作るのはゴブリンこん棒からマジックスタッフ。MP消費軽減とMP回復補助のオプション付き木剣のような警棒。これがあると「強癒」の負担が少ないらしい。材料的に9本作成。
次にサロワナとエフェロナ愛用の剣。ゴブリンソードを消費して、これも追加しておく。オプションも同じ。材料的に火属性が3で水属性が2となった。これも血で染める。
「今日の吸血はこれでいいな」
コボルト武器は悩ましい。先ず片手杖はアミュレットで決定だが素材が集まり難い。時間を掛ける必要がある。片手剣は俺の武器としてストックしてる。太刀が興味深い。
余ってるのがコボルト片手斧。俺は使わない。ハンマーは使うか? って感じで躊躇うし、アックスは多分スロット2の武器だが突き技が使えない。「村正」と相性が悪い。ハルバードは斧付きの槍で一番の候補だ。消費は多いが、女性にも使いやすいかもしれないな。
ふむ。形状は先の大きすぎないもの。長さは仕方がないな。その代わりにオプションはスロット三つ。黒属性・属性増加・重量軽減とツーハンドソードと同じにした。ツーハンドソードはサロワナに渡すか。
「サロワナ優遇してるか? あれが一番危ないからな」
最後にみんなの防具だが、服を隠すと寂しいだろうな。腕を作っても良いが、うん、靴だな。疲労が違う。装備の靴は上質です。
デザインはブーツをベースにすね当てが付いたもの。すね当てが膝まで伸びているので急所を守っているだろう。すね当てがグリーブか。オプションはダメージ軽減にしといた。
「さっさと渡すか。デザインを合わせたいだろうからな」
持ってった。
「「「ブーツよー♪」」」
「デザインで、すね当て無しがある「「「無しで!」」」……はい」
防具がそれでいいのか? 注文に軽くヒールと言われたが却下……出来なかったので、お姉さんの注文に近い、紐で縛るヒール付きブーツになった。本当にそれ防具なの?
更に白熱したファッション闘争から素早く逃げ出した。
あれ、怖い。
○ ○ ○
「「「すみませんでした!」」」
やっと我に返ったらしい。うん、みんな綺麗な服で可愛いよ。ブーツはそのまま保留にした。ダメージ軽減は本人のスキルとして発動するので大丈夫という無理矢理な納得を自分にさせた。
「そういえば、従者ギルドでの所属変更って時間かかる?」
「雇い主自体ですが、色街の所属変更とは「女を買う」という意味ですから時間はかかりません。むしろ変更の遅れた分だけ品質が下がったとクレームになりますから」
「どうやるの?」
「私達が仲間にしようとしているのは最底辺の顔役が管理してますから、それに金渡せば大丈夫ですよ」
「一人や二人なら良いだろうけど、一気に17人は多いよね。大丈夫かな?」
「その辺は交渉ですね。従者ギルドにも「交渉人」の職業の人はいるので大丈夫ですよ」
うーん。不安はあるが、その時はその時で対応しよう。
「さて、行くか」
「「「はい!」」」
狩りは俺の無双で終わったが、「本部に行け!」と怒られた。支部にも褒賞金の割り振りがあるようで金庫にはもう無いらしい。
本部は人が多いから嫌なんだよな。かと言ってアイテムボックスにコボルトの耳を積めておくのも嫌だろう。
しゃーない、行くか。