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「あはは。お願いします」
「暇なので対応しますが、お休みだったんじゃないですか?」
「昼から暇になったので、つい」
「で、この山ですか。……夕食でも食べてきてください」
「はい。お願いします」
チクッと言われたが、ちゃんと対応してくれるギルドのお姉さん。夕食を食べに行ったが、こっちはこっちでサロワナがフルボッコに口で叩かれる。俺は見守ることしかできん。
「ご主人様。殴る武器が欲しいですね」
「サロワナ用に?」
「はい。体に刻みたいです」
「ちょー! 姐さん、それは勘弁だよ!」
モーニングスターかな?
「主人も本気で考えんなよ! この歳でガチ泣きするぞ!」
それは見てみたい。
「ご主人様ぁ。私に向けてくださいね、その性癖。すべて受け入れますから、私だけを見てくださいね♪」
「暴力は好まないよ。ただ、最近はよく悪戯されるから、負けた泣き顔は見てみたいなって。もちろん平和にね」
「サロワナは、ベッドの上だと、淑やか。ご主人様、哭かせるのは、ベッドの上が適切だよ」
なく、のニュアンスが違う。
「ミーディイ。最近、一番虐めてるのミーディイだよね。スキンシップも過剰になってきたし」
「抱かないのが、悪い」
「ご主人様。私にも鈍器を。ミーディイさん用に」
「い゛! お尻が、へこむ!」
食事も賑やかになったな。さて、褒賞金はなんぼになったかな?
○ ○ ○
In宿。
今日の戦果。
褒賞金466匹分の6990ルーク。
ゴブリン、こん棒77、ソード63、骨布420。
コボルト、丸盾466、片手斧172、片手剣180、片手杖114、骨布2330。
初期目標額がかなり近い。が、宿賃がある。余裕も欲しい。あと二回分は狩りした方がいいだろうな。
『武具創り』による装備の方は、ゴブリン製は新たな仲間に下ろせばいいと思うんだよね。「強癒」は魔力軽減の杖があれば断然楽らしいから、下ろせるなら新規参入のみんなに配りたい。
コボルト武器が困った。集めれば溜まるのだが、お金がたまる方が早いんだよね。一番悩ましいのは片手杖。アミュレットが気になる。ゲームであれば装飾品なんだよね。装備としての杖か重複強化のアクセサリーか。警棒が強いの。作らないと詳細が分からないから悩む。
「悩む必要はありませんよ。ご主人様に集中しましょう」
「いや、いざという時に困るだろ」
「はい。いざという時にご主人様の戦力不足が困ります。経験が違いすぎます。私達四人分を一人で抱えられるのです。その気になれば三層を無双できるでしょう。違いますか?」
いや、キツいって! でも、狭い通路に入れば対応可能か。素材を取りやすいように原型を保つ縛りに、回収のために後ろへ弾く縛り、縛りが多いな。それを取っ払って、ただ倒すだけならいけなくはない?
「少々痛んでいても回収は可能ですよ。私達はあんなに丁寧に首を折って後ろに弾けません。血みどろの死体からでも素材は十分に回収可能です」
へー。ちゃんと真っ二つでも素材になってたか。
「いえ、話が反れました。ご主人様が無事ならどんな状況も覆るのです。ご主人様の装備を充実させてください」
「みんなもそれでいいのか?」
「はい! 服だけはわがまま言いたいです!」
「フィーリアが素直で好きだ。えっと、ワンピースとパンツを各自一着ずつ。前提は戦闘用。デザイン変更は一着二回まで。装備の方は俺の好きにさせてもらおう」
「「「やったー♪」」」
「コボルトは疲労が激しい。明日も午後から潜る。だから夜更かしするなよ」
「「「はーい♪」」」
○ ○ ○
みんなはベーシックなワンピースとパンツを一着ずつ作って、スキルのないロザンナとミーディイに説明しつつあれこれ話し合ってる。隣の部屋でね。最初、俺のベッドで始めたから追い出した。こっちが終わっても眠れないじゃん!
さて、アミュレットの性能確認にサロワナとエフェロナから属性剣を借りている。アミュレット装備で両手が発動すればアクセサリー枠だと思われるからだ。重複は歓迎だが適応されないと無意味な装備だからな。
アミュレットのデザインか。後にガントレットとグリーブをつけるからブレスレットは……それ以前にアクセサリーに抵抗あるな。シンプルにリングにして目立たぬように指に嵌めておこう。大きさで性能は変わらない。
次はオプション。重要です。あー、杖系統のオプションに追加で各種耐性まであるな。耐性は防具に頼る上に「心技体」もあるから現状では過剰。MP消費軽減にMP回復補助を付ける。
実験。先ずはサロワナの方の剣に魔力を通す。消費はこのくらいか。体感だから曖昧なのは否めない。アミュレットを外して同等の魔力を通せば威力が下がる。MP消費軽減は活きてる。
アミュレットを再び着けて、両手に剣を持ち魔力を通す。ふむ。この感じだとMP消費軽減が活きてる。アミュレットは武器の扱いではなくアクセサリー枠だったようだな。
「アミュレットの優先順位が高いな。みんなに欲しい」
ゲームであればアクセサリー枠は二つ。圧倒的に足りないな。ゆっくりと充実させていこう。
次はガントレットとグリーブだが、悩む必要はなかった。薄手の布っぽい長手袋がベース。手の甲と前腕を包み肘まで、要所を硬質素材で守るが動きは全く阻害しない一体型であった。同系統でグリーブもあったので採用。靴に悩まなくて良くなった。オプションはダメージ軽減を重ね掛け。
次は武器か。再利用を考えるとゴブリンからのロングソード一択なんだよな。これって赤い木刀に劣る。オプション付きでも劣る。警棒な杖よりは良いんだけどここは冒険するか?
いや、止めよう。
冒険するならこっちだ。ロザンナ用の候補、ツーハンドソード。ロザンナには二刀流より両手剣が似合う、エフェロナは二刀流が似合うというか、盾が欲しい。無いからロザンナの次の候補のツーハンドソード。
形状か、一番短いのでも結構重量がありそうだ。ヘソの高さまである。俺は片手で使う予定だが、重量次第では重量軽減を入れよう。一番長いと二メートルは越える。太いし大型のボス戦用だな。
オプションは三つか。黒属性と属性増加と……もう重量軽減しとこ。テストプレイでもあるしな。よし、完成。
「へぇ、大きいが木刀並みに軽いな。片手で振れる」
これで、防具は下着に服による保護に、鎧一式でガチガチ。動きは阻害しないしライトアーマーとしてこれ以上の充実は無いだろう。俺の戦闘スタイルでこれ以上盛るのはよろしくない。
武器は、右手は赤い木刀、左手はツーハンドソード、アミュレットなリングも着いている。ツーハンドソードの威力に期待。それにしてもツーハンドソードの装飾が細かくて安物に見えない。帯剣は無しで。
「あー、あっちの夜は長そうだな」
隣なので微かに声が聞こえる。議論が白熱しているな。もう色合いすら考慮したデザインを追求している。染めてからデザイン変更すればいいのにね。
さて、フィーリアも戻らぬだろうから、ゆっくりと休ませてもらおう。おやすみ。zzz。