046
公開チョメチョメで恥ずかしさの余り、限界を越えて寝た。そして朝が来た。
「昨日のは夢でも嫌だな。まあ、夢じゃないか」
昨晩は議論を重ねたようだ。俺のだから適当にシンプルなのでいいのにな。白熱するほどの研究は不要だと思うぞ。俺の下着もマイナーチェンジを繰り返してるしな。まあ、着るけど。
フィーリアは俺のとなりで、お姉さん達は床で、それぞれ爆睡してる。何故かみんな下着姿だ。ああ、着せ替え人形が寝たから自分達で着たのか。ご苦労様です。
みんなが起きる前に聞いておくか。
○ ○ ○
「おっさん、宿を貸し切ったら怒る?」
「何じゃ? そんなに女を抱えても竿は一本じゃろ」
「俺はフィーリア一筋。いやな仲間を増やしたいんだよ」
「金を払えば客だ。二階は一泊100ルークだ。十部屋もあるぞ」
「一部屋二人寝れる?」
「連れ込み宿だぞ。二人で寝て当然だろ。ああ、坊主の部屋のよりはベッドは小さいぞ」
「予定じゃ17人増える。半端に残しちゃおっさんが損するし、全部借りる予定だ」
「そりゃありがてぇが。パーティは6人が最大だろ? クランでも作るんなら家借りりゃ安かろうに」
「その時にゃ相談するよ。なあ、洗濯場とかねえか? シーツとかどうやって洗ってんだ?」
「今は外注だ。使ってねぇ洗い場ならあるぞ。シーツの洗濯もすんのか?」
「いや、体を拭くのにいい場所が欲しいんだよ。排水は大丈夫か?」
「洗や使えるだろうよ」
「それも仲間が増えたら相談するよ」
「毎日満室だと儲かってかなわねぇな!」
いいおっさんだ。しっかりと金を払おう。
○ ○ ○
戻ればゾンビ……睡眠の足りないお姉さん達がのろのろ動いてた。
「ご主人様、おはよう」
「ああ、ミーディイおはよう。ちゃんと寝れたの?」
「微妙。でも朝に会いたい」
「ん。俺も頑張るよ」
「ありがとう。抱かれても、いいよ。永久無料」
「フィーリア、おはよう。ミーディイが話があるって」
「ちょ、ご主人様!?」
「ミーディイさん、こっち来て~」
「「「うわぁ」」」
フィーリアの嫉妬が直接お姉さんに向いた。八つ当たりで公開チョメチョメはもう勘弁。おおう、フィーリアも強くなったな。ミーディイ相手にスパンキングとは。
「痛い」
「俺へのイタズラは懲りてね」
「本気なのに」
「ミーディイさ~ん」
二度目のスパンキングで皆の目は覚めたようだ。ミーディイだけが尻を赤くして倒れ込んでいるがな。
○ ○ ○
フィーリアも混ざってお姉さん達は夜の蝶と話にいった。釘を刺したいらしい。俺は訓練所巡り。特ではあるが無意味に三文字二重職の枠が出来た。予定外過ぎるので準備なんぞしていないのだ。
目的の職業は「野心家」「技工士」「整体師」。ゲームでは微妙な職業であるがリアルになると意味あるよな。ああ、野心家はゲームじゃ賭け事の確率アップがあって意外に多かったぞ。
野心家。公営ギャンブルをするのだが、冒険者ギルドの本部でできるとはな。ちゃちゃっと丁半一回やって終わり。朝から客が多いこと。一口10ルークで負け。訓練所で初めて支出したな。
技工士。歯医者の手伝いだった。言われた事をするが、この世界の歯医者には絶対来ないと誓った。麻酔なく抜歯するとは。怖っ! 歯磨きちゃんとしよ。まあ指で濯ぐだけだがな。あと爪楊枝っぽいのもある。
整体師。医学の分野らしいが、空いていた。なのでそこのオーナーの体をマッサージ。しつこい注文で一時間は揉み叩きしたぞ。腕が疲れたし、おっさん揉んでも面白くない。
「午前中に終わったー!」
一度宿へ。皆が帰っていた。
○ ○ ○
「ロザンナ。腕の調子は?」
「ああ、平気だ! これなら「強癒」もいらねえよ」
「明日、不調を訴えたら即時撤退だぞ!」
「ってか、今からでも行けるぞ!」
半日で終わったもんな。そういえばみんなの用事は?
「順調ですよ。いい具合に客を遠ざけています」
「ご主人様。絶対、守らないと! 痣つくってたよ!」
聞けば体をはって胴元に嫌われようと動いている。体罰くらいは平気で振るうので、それを覚悟で俺の仲間になろうとしているらしい。まだ金は用意できていないぞ!
「途中で抜けるのは、相応のリスク。胴元は、バグ持ちの女を、道具にしかみてないの」
「よし! 一日でも早く解放させるぞ!」
「「「おー!」」」
○ ○ ○
「ご主人様の新たな職業「心技体」はどんなスキルがあるんですか?」
「単純にステータスが上がる。職業レベルでも上がるけど、魔力、技巧、体力、その三点がスキルでもあがるだけ。前を守るのに体力と魔力、無駄なく動ける技巧は必要だと思ってね」
「私がトチったからか?」
「俺も男だ。格好いいとこ見せたいんだよ。肝心なときにへばらないようにしないとな」
このスキル、条件だけ整えばいい壁役のスキルなんだよね。ゲームじゃ数値での計算だけど、こっちじゃ命に関わるから保険になる。俺が倒れたら不味いんだよ。「王太子」なんて職業は知らんしな。使えねぇ。
「さて、行こうか」
「「「はい!」」」
目標は17000ルークと宿賃。そこを越えれば日々稼げばいいだけだ。今回は安全に戦おう!