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 特に魔力回復を必要とはしないが、飯は原動力だ。食べる。その後に転職神殿へ。二文字職業の転職だ。


 俺とミーディイとエフェロナが「杖術」、サロワナが「村正」、フィーリアとロザンナが「剣姫」となった。ロザンナが5つ目、俺と他は4つ目。順調に二文字職業レベル上限の数を増やしている。


「ゴブリンの数が減るまで作戦は同じだ。ロザンナの初撃、ミーディイの追撃、三人は援護、俺は出入口を塞ぐ。行くぞ!」


「「「はい!」」」



  ○  ○  ○



「ちょっと数が減りましたね」


「そうだな。俺の『残虐創設(メイクディザスター)』の二発目が切れる前に片付いたな。今までが異様に多かったのだろう」


 ロザンナの『肉皮剥ぎ魔術(ミートセパレーション)』の効果がよく効いて、行動不能に陥るゴブリンが多数を占めた。ミーディイは引き付けて二発目の『肉皮剥ぎ魔術(ミートセパレーション)』。大半が行動不能となった。


 残敵を『骨下拵え術(ボーンスピードワーク)』で行動不能にした三人と一緒に早々に素材回収へと連携は移った。俺は出入口に最接近して杖術の『魔力杖』で『残虐創設(メイクディザスター)』内のゴブリンを中距離から仕留めて援軍を阻止した。


「次は十字路の占拠ですか?」


「ああ、そのためにゴブリンの死骸が山にならないように仕留めた」


 『魔力杖』で距離を計りながら山ではない死骸を積み重ねた。射線が通る。これで魔法が思う場所に通る。


「今から『残虐創設(メイクディザスター)』を十字路交差点に設置する。俺はそこを越えるゴブリンを阻止するので、ここの効果が切れたら、この死骸を素材にしておいてくれ」


「「「はい!」」」


 十字路交差点に向かって最大範囲で設置する。


 『残虐創設(メイクディザスター)』はダメージが範囲内の生きた生物分だけ分散する。範囲が広ければ威力は劣り、三方向からの進軍で数も多い。だが、今回は二文字バグ職は「杖術」なのだ。


 先の『残虐創設(メイクディザスター)』の効果が切れる。


「回収開始! ()()()()()()()に注意しろ」


「「「えっ?」」」


 「杖術」の『魔力杖』は魔力で伸びているのだ。魔力は自由である。スキルの範囲内であれば柔軟性があるのだ。


「ご主人様、杖が曲がってますよ?」


 棒だけが杖の形状ではない。持ち手が曲がったフックのようなステッキも杖である。痛みに悶えつつ『残虐創設(メイクディザスター)』の上を歩くゴブリンの首を引っ掻けて思い切り引く。


 ゴギッ!


 鈍い音と共に首を折られたゴブリンは、引かれる力に沿って俺の後方へと飛んでいく。


「ちょ! 気持ち悪いのが飛んで……ひぃ! 危ないって! 主人、ちったあ……うぉ! すいません、文句言わないので、狙わないで!」


 こっちも必死に釣ってんだよ。どうにかそっちで処理してくれ!


「素材が飛んできますね。サロワナさん、打ち落としてください。こっちは頑張りますから」


「フィーリアちゃん! 首の折れた血みどろゴブリンはきしょいって、途中で交代して、な!」


 あっちはあっちで連携が取れたようだ。さて、一本釣り、頑張るか。



  ○  ○  ○



「俺の魔力が乏しい。安全撤退。ミーディイ、『肉皮剥ぎ魔術(ミートセパレーション)』で足止め。その後に撤退!」


「「「はい!」」」


「いく! 『肉皮剥ぎ魔術(ミートセパレーション)』!」


「撤退!」


 ゲームでは横湧きが存在するが、自身の側にモンスターが産まれることは夜にしかないそうだ。夜はダンジョンも暗いので難易度が跳ね上がる。特別な事でもないと夜のダンジョンは無人となる。


 まあ、言いたいことは1層への転移魔方陣は無事であるということ。みんな揃って起動する。そして、1層も油断することなく脱出。


「今回はだいぶん効率良かったな」


「こん棒とソードを集めるのが大変でしたけどね」


 エフェロナが『残虐創設(メイクディザスター)』内に落ちたこん棒やナイフを『魔力杖』で引っ掻けて回収した。エフェロナは屈んで回収し、その上を俺の釣ったゴブリンが飛んでいた。絵にすればシュールだな。


「エフェロナも欲しいんだろ?」


「それは、その、欲しいですね」


 エフェロナが必死で回収したのは、ゴブリンソードがサロワナが持つロングソードの材料だからだ。どうしても仕留めたら手放すので『残虐創設(メイクディザスター)』の範囲内に落ちてしまうのだ。


 サロワナが飛んでくるゴブリンをロングソードで叩き落とすから、エフェロナを刺激したんだよね。時々無駄に火の粉を散らして振るからサロワナは楽しいだろうが、持ってないエフェロナには嫌味でしかないよな。


「あれ最高だよ! 握ったら自分の一部のように扱えるし、少し軽いかなって思ったけどとっても振りやすいんだよ! 型はあれを薦めるね!」


「道で声が大きいよ! まあ、型は色々あるけど、デザインからして女性向けではあると思うよ。詳しくは宿でね」


「そうですか。楽しみですね♪」



  ○  ○  ○



 今回の戦果。こん棒299、ソード172、骨布1321。余裕があった分だけ継続して戦えた。その分が過去最高を叩き出した。勿論、全てを回収できてはいないので討伐数はもっと上だ。


 二文字職がレベル1からレベル10になるのに、ゲームでの必要経験値は511。計算していたが、ゲームとこの世界ではゴブリンで得る経験値計算では間違いはない。それを達成しているので511以上は倒している。ここでロザンナが二文字二重職が解放された。


「俺の望みは一つは「強癒」であること。医療にかけるお金がないという情けない理由だ。もう一つは好きなのを選んでいいぞ」


「ご主人様のお知恵に『骨下拵え術(ボーンスピードワーク)』のように単体を攻撃できる二文字バグ職業はありますでしょうか?」


「普通職だと「術師」の『魔力球』のようなものだよね。あ、多分だけどいいのがある。それに「射手」を合わせたバグ職「術射」があるね。これ装備が弓限定だったから除外してたけど、杖かして。棒の方」


「はい、どうぞ」


 形状の中に「これネタだよね」ってやつがあったんだよね。肩の高さまでの長さであるのだが、先端がYの字に割れている。その形状名もスリングショット。しかし弦がない。なので没にしていた。


 八百万(ゲーム)であればスリングショットは弓として扱われていた。銃もな。マジックスタッフの形状名がスリングショットだが、杖判定か弓判定か疑問ではある。最悪、ロザンナは無意味な職に就くことになるな。


「無意味であれば、また転職します。他に候補があるのでしょう?」


「ロザンナは小回りの効く遠距離のスキルや魔法が欲しいんだろ? 一番コストが良いのが「術射」。他はどんどん癖が強くなるよ」


「それぞれを試してみます。次はエフェロナへどうぞ」


「待ってましたよ♪」


 圧がすごい。怖いのでサクッと作る。鍔に丸い飾り彫りがあるグラディウス。水属性と耐久力増加。今回は水。他には風や土に白と黒がある。白と黒がゲームではないな。聖と闇と毒ならあったけどね。


「冷やっ! これは?」


「水属性にしてみた。水というより氷なの?」


「えっと、あ、水滴が。これは調節できるようですね」


「火属性もただ熱いだけと、炎が出る調整が出来るぞ!」


「属性は風や土に白と黒があるけど、全部試す?」


「使って考えます。これはキラキラと雪のようで綺麗ですよ」


 確かに氷の霧が発生して幻想的だ。これはこれでありだな。ついでに俺のマジックスタッフ(MP消費軽減・MP回復補助)とサロワナのマジックスタッフ(魔法威力増加・範囲増加)を作成。これで杖は行き渡った。


 さて、寝るか。男の時間は終わりだ。これからは女の時間だよ。


「また先に寝るんですか?」


「だって、見てたらフィーリアが嫉妬するじゃん。2セットできるから作っていいよ。夜更かしは程々にね。おやすみ」


 ブーブーとブーイングがあるが、俺興奮、フィーリア嫉妬、ちょめちょめ、そんな流れが普通に想像できる。お姉さんは俺の反応を見て楽しんでるからな。


 目を閉じ、睡眠へと逃げる。これが最善だ。zzz。

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